私は地球で楽しく遊ぶために生きている

心はいつも鳥のように大空を飛び 空に吹く風のようにどこまでも自由に

善人の背中〜8〜

2017-12-13 18:58:33 | ミステリー恋愛小説
毎日、仕事で会っている菅田れん子を間違うわけがありません。
帽子をかぶり、眼鏡をかけていても、ガニ股に歩く独特な歩き方、
肩をおとしながら歩く姿勢、菅田れん子です。
しかし、なぜ、れん子がマンションから出てきたのでしょう。
もしかしたら住んでいるのかもしれない、そう思いエントランスを入り
郵便ポストへ向い名前を確認しました。しかし、菅田の表札は見当たりません。
ポストに名前を記載してないのかもしれません。
それにしても、意外な人物に遭遇したものです。
その時まで私は菅田れん子のことを何も知らないことに気づきました。
知っているのは、菅田れん子が独身である事、三年前に中途入社してきた事、
時々昼休みに休憩スペースで一緒になることくらいです。
私は今までれん子の家族構成も、前に何をしていたのかも、
まったく興味がなかったのです。
翌日、私は総務課の同僚がイラリアンランチに行くと言うので
ついて行くことにしました。
総務課なられん子の情報を聞き出せると思ったのです。
「珍しいわ。いつも誘っても来ないのに」おしゃべりな川田麻衣子が言います。
川田なら社内の個人情報を知っていそうです。
私と数人の女子従業員は、会社を出ようとした時でした。
異様な大きな声が聞こえてきます。その声の方に視線を向けると、
一人の男性従業員が大声で叫びました。
「佐川キオが殺された!」

続く…