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女達の恋愛事情~理香子の章1~

2016-06-05 04:02:48 | オムニバス恋愛小説
田島俊介はセックスが上手だ。
人間の特徴を語る場合、その人物の輪郭のイメージがわく。
たとえば、真面目な人とか、ユニークな人とか静かな人とかだ。
しかし、田島俊介という男を表現するとすれば、不確かな男という形容詞しか浮かばない。
不確かな男、掴めない男、しかしセックスが抜群上手い男。

夏が終わろうとしていた9月の江の島で田島俊介と出会った。
ユリは幼稚園のお泊り保育で明日の昼のお迎えまで自由な時間だった。
江の島の夕日を見たいと思い江ノ電に乗って江の島へ出かけた。
そこには白い雲とオレンジ色の夕焼けのコントラストの夕日が広がっていた。
私は海に向かって歩き夕日をみながら歩いていた。
目の前に2人の男性がサーフボートを持って歩いて来る。
その一人の男と目が合った。その男が田島俊介だった。
きらりと光る瞳から説明のできない淫靡なものを感じ取っていた。
淫靡さを求めているから同類の淫靡さを持つ田島に惹かれていったのだろう。
オレンジ色の夕焼けは、グレー色に変わり辺りは闇が堕ちた頃、
誰もいなくなった暗い海を見つめていた。後ろに気配を感じた。
近づいてくる影。「誰?」「俺だよ」田島だった。
私は田島が来ると思っていた。
同類は求めているのがわかるのだ。
傍に近づいてきた田島は私の身体を抱きしめ暗い闇の中に倒した。
言葉はいらない。私は男を求め、田島はその求めていることをキャッチした。
いつのまにか全裸になった体に砂とまみれになりながら
2人は抱き合い砂だらけの身体を絡ませ合った。
暗い世界の中で聞こえるのは波の音と私の声だけが闇の中で響いていた。
既に出産をして、脂肪のある身体は田島の嗜好に合っていたようだ。
ふくよかなウエストや太ももを愛撫し、私の快感の場所をすばやく発見した。
「ほんとはこれも欲しいんだろう」と言い田島は顔を下半身に移動して
私の中に入る。まるで生きているように動く田島の舌。
何度も言うが田島は不確かな男だ。良い人なのか。悪人なのか。利口なのか、
愚かなのか、有能な男なのか、無能なのか、ハンサムなのか、醜いのか、
優しいのか、冷たいのか。あやふやな不思議な人間だ。
人間は誰でも多面的だ。それが時に魅力的に表面に出たり奥底に
眠っていたりと多様に表れるのだろう
彼の魅力はセックスだ。そして愚かにも私はそれにハマった。
シングルマザーであることを告げても、
初めて娘ユリと会った時にも驚く様子もなかった。
そして、田島との生活が始まった。
上手くいくと思っていた。
田島とユリと3人の生活が平凡だが、穏やかな生活が始まると思っていた。
しかし、田島の雄本能が、娘のユリにまで及ぶとは想像もできなかった。
生理もまだない10歳の子供に。

続く・・・