KEIJYU's Second Short Story

圭樹の妄想にお付き合いいただきありがとうございます。

ほのかな期待は裏切られる運命にある

2018-02-15 12:56:06 | K.Black

 いつもと変わらない朝である。

「おはよう」

「……」

 今日も黒木はすこぶる機嫌が悪い。無愛想選手権に出たら優勝するに違いない。

「朝御飯できてるよ」

「……」

 金髪の髪はボサボサ、昨夜の酒が残ってるのか、顔は浮腫んでパンパンだし、目にはクマ、目やにもついたまま、挙げ句の果てには……

「おっさん、お尻掻かないでよ!100年の恋も冷めるよ、もう!」

「あぁ?」

 あ、怒らせたみたい。

「そんな片眉上げても、全然怖くありませんよーだ!ロッキーさんかよ。ロッキーさんなら自分の女を大切にするっつうの。わたしゃ、白鳥さんになりたいわっ!」

「ひひひひっ」

 突然、黒木が笑いだす。

「なによ」

「わたしゃ……わたしゃって、お前こそババァかよ。ひーひひひひっ」

「うっさいなぁ、もう! 遅刻するよ!」

「ひひっ、ひひひっ」

 引きつり笑いのままで食べ始める黒木。箸の持ち方が独特で、これで痛い目にあったこともあるというのに、直す気配はまるでない。頑固というか、何というか。まあ気にしてないだけか。

「ほら、ここついてるよ。なんでこんなとこにつけれるのよ」

 萌え袖になっているパジャマの袖口についたご飯粒。ぶつぶつ言いながらもそれを取ってあげると、ニコッと笑う黒木少年、若干38pop。か、かわいいじゃないか、おっさんのくせに。

「くくっ、おかんかよ」

「何ですって?」

 前言撤回、まったくかわいくない。
 
 私たち二人は一事が万事こんな調子である。ラブラブ期はおろか倦怠期なんてのもとうに過ぎました。まぁ、黒木もアラフォーのいいおっさんですし? 同じチームのロマンチック王子のような甘いムードはこれっぽっちもお持ちじゃありませんし? 外では女の子を口説きまくってるらしいですけど、私の前ではいつもこんな感じですし? なんなら普通に屁だってこきますしねぇ……あ、失礼、私としたことがはしたない。

 それでも、こうやって、毎日アスリート用の朝食を作る辺りが、慣れ親しんだ習慣っつうか、惚れてる弱みっつうか。

「ごっそさん、あんがと」

 どんな日でもこうやって小さくお礼を言ってくれる辺りが、黒木啓司らしいっつうか、かわいいっつうか、惚れ直しちゃうっつうか。

「お代わりないからね。今の仕事が終わるまで体型維持しないとね」

「あぁ、腹一杯食いてぇー!くそっ」

 分かりやすく頭を垂れる黒木。ぷぷっ、子どもかよ。

「ふぁー、諦めて仕事行くか。あ、お前、今日休みだよな」

 背伸びをしていた黒木が急にこちらを向いた。え、何? びっくりするじゃん。

「そ、そうだけどどうした?」

「5時に迎えに来るから家にいろよ。飯でも食いに行こうぜ」

 え?  

「う、うん。分かった」

 ま、まさかね。

「じゃ、シャワーいってくる。~♪」

 何がそんなに楽しいのか、鼻歌を歌いながら、風呂場に向かう黒木少年。もう、こっちまで移っちゃうじゃんね。

「~♪」

 私まで、お皿を洗いながらついハミングしちゃう。そんな2月14日、始まりの朝。
 

*****

「でさー、絶対バレンタインデーって分かってないと思うんだよねー」

「ふふっ。そんなこと言いながら、ずっとご機嫌じゃないですか」
 
 ただいま、美容院の個室でカット中。美容師の登坂くんが鏡越しにこちらに向かって微笑んでいる。あぁ、美しい。目の保養だわぁ。

「え、なんですか?」

「いやー、相変わらず整ったお顔だなぁって。ほんと惚れ惚れするよね」

「ぷっ、何言ってんですか。相変わらずおもしれーな、この人」

 もちろん、会話をしながらも手を休めることはない。私の髪がどんどんと軽く艶やかになっていくのがわかる。さすがイケメンカリスマ美容師。

「でもさ、絶対そんなつもりじゃないんだよ、またチキン南蛮にレモンサワーだって。期待するだけ、損、損」

「ちょっ、前向いてください」

 登坂くんが、後ろを向いてしまった私の両頬に手を添えて顔を前に向かせた。ひんやりと冷たい感触。少し細めた真剣な瞳が、私をじっと捕らえる。鏡の中のそれはそれは麗しいお顔に、私は思わず目線を逸らしてしまった。

「ぷぷっ、何、ドキッとしてんすか。啓司さんに言いつけますよ」

「し、してないし」

「……まあ、それ狙ってんですけどね」

「ん?」

 その小さい声は聞こえなかった、というか聞こえない振りをした。そんな私に、登坂くんは何事もなかったように笑いかける。

「何でもありませんって。まぁ、でもそんな軽口叩いたって、ちゃんと今日を狙って予約を入れてきてるんですからねぇ。素直じゃないから、まったく(笑)」

「そ、そんなことないもん」

「やっぱり、そういうところが可愛いんですよね。はい、もっと可愛くできましたよ」

「な、なんてことを」

 カリスマ美容師はさらっとうまいこと言っちゃうから困る。キョドりながらも、登坂くんに渡された鏡で全体をチェック。

「わ、やっぱり、登坂くんに頼むと女のランクが上がるわ~。ありがとう~!」

「なんすか、それ。面白いこと言いますよね、いつも」

 登坂くんが笑いを堪えながらもコートを着せてくれ、預けていたバッグを渡された。

「それ、フルーツ好きな啓司さんにぴったりじゃないですか、さすが彼女さんですね。今日のデート、楽しんできてくださいね」
 
 登坂くんが指差したそれは、さっき青山のショコラティエで買ったチョコレート。ドライフルーツのチョコレートがけとスカル型チョコの組み合わせが黒木らしくて一目ぼれしたもの。

「ふふっ。ありがとう」

――やっぱりねぇ、付き合いが長いとはいえ、バレンタイン当日のデートだもの。普段より甘めにすごせたらねぇ。ほんのり期待はしちゃうよねぇ――

 そんな声にならない思いを抱え、自分でもわかるくらい気持ち悪いであろうニヤケ顔で、個室のドアを開けた。

――その時、そのほのかな期待は簡単に裏切られた。


「逆バレンタインだからさ」

 目の前には、なぜか少し照れくさそうな黒木。そして、その言葉とともに、デザイナーズブランドの大きな紙袋を店長の亜依さんに渡していた。

「啓司……」

「うわっ、どうしてお前がここに!」

 絵に描いたようにびっくりしている、目の前のアホ面男。

「どうしてじゃないわよ、何よこれ……」

「……見つかっちゃったか。しょうがないな」

 得意の前歯を出したクワッカワラビーのようなヘラヘラ顔に、血管の切れる音がする。

「しょうがないって何よ!」

 我を忘れて美容院を飛び出した。歩みが一歩ずつ速くなり、気づくと走っていた。

――逆バレンタインってどういうことよ、何よあの大層なプレゼントは! しかも元カノの亜依さんに! ヨリを戻す気なら何で今日私を誘ったのよ、なんなの、一体! いいわよ、出て行ってやるから!

「おい、待て! 話を聞け!」

 後ろから黒木の声がするが、顔を見るのも嫌だ。振り向かず、そのまま走ったが、180cmの男に追いかけられては逃げ切れるわけがない。すぐに手首を掴まれた。

「うっさいな、離してよ。亜依さんと楽しいバレンタインを過ごせばいいじゃん! 邪魔者はいなくなるからさ!」

「馬鹿か、お前。今すぐ、亜依の店に戻るぞ」

「は? 何でよ、あんたと元カノがいちゃいちゃしてるところなんて見たくないわよ! 」

 掴まれた腕を離そうと振り回すが、もちろんびくともしない。

「あぁ、もう、めんどくさいっ! 」

 気づいた時には足が浮き、私の体は黒木の肩の上に。

「ちょ、やめてよ! 下ろしてよ! 」

「うっせえ、黙れっ! 言うこと聞け!」

 私を担いだまま、美容院までの道を戻る黒木。

「もう帰る! 離してってば! 」

 足をバタバタして抵抗するも、筋肉バカの前ではそんなものは無力で。

「静かにしろっ! 犯すぞ、てめぇ」

 ドスのきいた声で一喝され、黙るしかなかった。この声、本当に怒ってる。何で私が怒られないといけないのか、納得できない。怒鳴りたいのはこっちの方。でも、こうなった黒木には誰も逆らえない。

 お互い無言で数分。美容室に戻ると、黒木はドアを乱暴に開けた。私は、どうしてここに連れ戻されないといけないんだろう。

「もう、啓司くん、乱暴すぎる」

 あの大きな紙袋を腕に下げたまま、心配そうにこちらを見る亜依さん。私は、どうしてそんな目で見られないといけないんだろう。

「亜依、頼むわ」

 無愛想にそう言った黒木が勢いよく私を下ろしたせいで、私はうまく着地できずによろけた。

「わっ」

 とっさに目の前の何かを掴むと、それは登坂くんの手で。 

「大丈夫ですか?」
 
 登坂くんが、心配そうに私の顔を覗き見た。

「うん、ありが、」

 お礼を最後まで言えず、目の前にあるのは黒木の背中。登坂くんの手を握っていたはずの私のそれは、黒木に掴まれていた。

「登坂くん、こいつの髪、きれいにしてくれてありがと。あとは亜依に任せるから」
 
「……いえ。仕事ですから」

 黒木の睨みを受けて、登坂くんは俯き、一歩下がる。黒木は、自分のことは棚に上げてやきもち妬きだったりする。こんな状況なのに。

「何がしたいのよ、私なんていたって邪魔でしょ。もう帰るから、放っておいてよ 」

 いたたまれない。早くここから立ち去りたい。それなのに、どうして黒木と亜依さんの元サヤに立ち会わないといけないのか。唇を噛むことしかできない。

「はい、これ」

「へっ?」
 
 思いもよらず、変な声が出た。何故なら、亜依さんが、持っていた黒木からのプレゼントを私の前に差し出したから。

「啓司くんからのプレゼントよ」

「だったら、何で私に?」

 意味が分からない。

「だから、何、勘違いしてんだよ、お前にだよ!」
 
「へっ?」

「いいから早く着替えてこいっ! そのぐちゃぐちゃな顔も、今すぐ直してこい! 亜依、連れてけ!」

「へっっっっ?? ちょ、ちょっと」

 こうして、私は訳も分からず、亜依さんに背中を押されて、個室に連れていかれた。後ろで不機嫌そうにしかめっ面をしている黒木と、苦笑いしている登坂くんを横目で見ながら。

*****

 今日はバレンタインで、久しぶりに黒木に誘われて、まあ、きっと馴染みの宮崎地鶏の店で、文句言いながらレモンサワーで乾杯してるはずで。それでも久しぶりのデートをわちゃわちゃ言い合いながら楽しんで、最後には用意したチョコレートを渡して、きっと黒木は喜んでくれる。

……はずだったのに、そんな私のほのかな期待は見事に裏切られた。

 連れてこられたのは、なかなか予約がとれないと有名な創作フレンチのグランドメゾン。もちろん個室。目の前には、繊細だけど豪奢な料理たちと年代物のワイン(ソムリエさん、違いがわからなくてごめんなさい)、そして、夜の街が作り出した眩いくらいの蛍光の海。

 そして、目の前にいる、この恐ろしく上等な男は一体誰なんだろう。白いタートルネックに白いダブルジャケット、黒い細身のパンツに黒ブーティ。背が高く筋肉質だけど小顔な彼のスタイルならではの着こなし、上品だけど堅苦しすぎないこのいでたちが、この男の魅力を際立てている。それは、男臭さと少年ぽさが共存している黒木啓司そのもの。

――こんな長身で造作のよい極上の男が、バレンタインデーに暴れてる女を担いで歩くなんて、人目を引くに決まってるよね、うん。あぁ、私ったら恥ずかしい。

「うん、似合ってる。まあ、俺が選んだからね」

 黒木が目を細める。

 そんな私は、黒のシンプルなマーメイドラインのロングドレス。背中が大きく空いているのが恥ずかしい。胸元と耳には大きなパールとダイヤがキラキラしており、亜依さんにヘアメイクもしてもらって完全装備のプリンセスモードである。

 黒木は、そんな私を満足そうに眺めながら、ワインを口に含んだ。

「ありがと……」

 顔が熱いのは、珍しくワインを飲んだせいだ。

「お、珍しく素直だな。まあ、あんだけ大騒ぎしたらなぁ、恥ずかしいよなぁ」

「だって、まさか、亜依さんに渡してたのが私のためのドレスだって思わなかったから……。てっきり、亜依さんとヨリを戻すのかと……」

「は? バッカじゃない? んなことするわけないし。朝、ちゃんと待ってろって言ったじゃん」

「そうだけど……黒木、いつも気まぐれだし……」

「黒木?」
 
「……啓司さん」

 黒木が、よろしいといわんばかりに頷いた。かと思うと、意地悪そうに口の片端を上げた。

「で、感動した?」

「うん! 本当にそれは感動した。服も靴もアクセサリーもどれもこれも素敵だし、素敵なレストランで、お料理もおいしいし、それに」

「で、惚れ直した?」

「……そ、そんなこと」

 私が口ごもっていると、おもむろに黒木――啓司さんが席を立ち、私の前まで来て。そして……跪いた。上目使いでこちらを見つめる琥珀色の瞳がどこまでもどこまでも透明で、私はその中に吸い込まれていく。

「で、惚れ直したの? してないの?」

 啓司さんが、俯いている私の手を優しく取った。ごつごつとした大きな手に包まれるぬくもり。そして、私の右手薬指にそっと落ちる唇。

 本当に、この人には抗えない。

「……惚れ直しました。啓司さん、素敵なバレンタインをありがとう……」

 恥ずかしい気持ちを振り絞ってそう告げると、啓司さんは嬉しそうに目を細め、その手を私の頬に添えるから、私を見つめる琥珀色の瞳に魔法をかけられた私は、素直にそっと目を閉じた。


 …………


「いひゃい」

 つねられた頬の痛みで、魔法が一瞬でさめた。今どき少女漫画でもこんなベタなことしないよっ、黒木!

「ふふっ、かわいいとこあんじゃん」

 楽しそうに私の両頬をぐりぐりとつね回す黒木。

「ひゃなしてぇ」

 その言葉を合図に、目を細めていたずらっ子の顔をした黒木が、両手を思いっきり引っ張った。

「痛いっ! 痛いでしょ、もう!」

「離せっていうからさー。ひーっひひひっ」
 
 出たよ、お得意の引きつり笑い。前歯出しちゃって、このクワッカワラビーめっ! かわいくなんてないんだから!

「で、チョコは?」

 私の前で腰を落としたまま、お菓子くれないとイタズラしそうな黒木が、私に両手を差し出した。

――か、かわいいっ!

「ある! あるある、はいどうぞ!」

 やっと、チョコレートの出番! 絶対に気に入ってもらえると思って買ったチョコ! 私は、自慢げにそのチョコレートの箱を黒木の掌の上に乗せた。

「えっ、手作りじゃねぇの?」

 黒木の反応は意外なものだった。

「え。でもこれ、啓司さんの好きそうな……」

「あーぁ、手作りだと思ったのになぁ」

 分かりやすく項垂れながら、自分の席に戻る黒木。

「だ、だって、私の手作りなんて気持ち悪いでしょ」

「あーぁ、かわいい彼女なら、ここで手作りのチョコレートを恥ずかしそうに差し出すんだけどなぁ」

 まだため息をついている。

「はぁ?」

 落ち着いて、落ち着いて、私。今日は黒木が用意してくれた素敵なバレンタインデー。もう今日は怒っちゃダメ、怒っちゃダメ。

「それで、あーんって食べさせてくれるだろうなぁ、かわいいかわいい彼女ならなぁ」

 イラッ。プチッ。
 
「じゃ、そのかわいい彼女とやらを捕まえてきなさいよ、得意でしょ、そこら辺の女の子、ナンパするの。どうぞ、私にお構いなく」

「俺は、お前の手作りが欲しいって言ってんの」

 黒木はこちらを横目で見たあと、大きなため息をついた。

 あ。やられた。キュンとしちゃった。アラフォーのおっさんが何をかわいく駄々をこねているのだろうか。

「はぁ。今日は、お前を亜依のところに連れてって、用意したドレスやらアクセサリーやらをバーンッと目の前に並べて、ドヤってやりたかったのに。お前の驚く顔が見れるはずだったのになぁ。で、お前が柄にもなく感動して泣いちゃったりしてさぁ。で、亜依にお前を目一杯着飾ってもらってさ、綺麗になったお前の指に、俺が指輪を嵌めながら、『いつもありがとう』とか言う予定だったのになぁ。そしたらお前はまた泣いてさぁ。あぁ、やっぱ、どっかのロマンチック王子みたいなことしてもダメだな。今日に限って、お前が登坂くんのところに行くと思わないもんなぁ。そもそも登坂くんみたいなイケメンに髪の毛触らせる必要ねぇじゃん。亜依でいいんだ、亜依で。ったくさぁ……」

「ぶっ!」

 とりとめもなくぶつぶつ言っている黒木に、思わず吹き出してしまった。

「っんだよ、笑うなよ」

「いや、いつもどおりのグダグダだし。さすがだわ、黒木啓司。最後、登坂くんへのやきもちになってるし。黒木、かわいいぞ」

 テーブル越しに黒木の頭をくしゃくしゃにしてあげる。

「あ゛ぁ?」

「それに、途中、指輪とか言ってたよね? 」

「あ、やべぇ!」

「まだ何かしてくれるつもりだったの? でもサプライズじゃなくなったね、さすがすぎてもう、さ」

 噛み殺していたものを押さえきれず、つい漏れてしまう笑い声。分かりやすく低くなった黒木の両肩とため息。

「笑うなって。あーぁ、俺の壮大な計画も、手作りチョコっていうほのかな期待も、裏切られる運命なんだなぁ」

「ふふっ、黒木のくせに、難しい言葉使ってんじゃないわよ」

「んだよ、てめぇ、犯すぞ」

 黒木の片眉が上がった。だからロッキーかよっ!

「はっ? 犯せるもんなら犯してみなさいよ」

 売り言葉に買い言葉。気づいたときは遅かった。大きな前歯とともに現れた黒木のニヤリ顔。

「言ったな、今。お前が犯していいって言ったんだからな。忘れんなよ、今夜は手加減しないからな? 」

 余裕の表情の黒木が、お皿にのった最後のマンゴーと周辺を彩るチョコレートソースを、スプーンで大きく掬い、私の口に運んだ。

「んぐっっ」

「ほら、早く食べて家に帰るよ?」

 満面の笑みを浮かべる黒木。口の端にできる窪みが、幸せでたまらない子どものようで、私はこの顔に逆らえない。

「う、うん……」

――どうやら、明日の朝は起きられそうにない。黒木に朝食を作ってもらうことになりそうだ。

End




Thanks *MIKI*
ジャンル:
小説
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2 コメント

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黒木・・・ (SONO)
2018-02-16 17:36:42
٩(๑>∀<๑)۶キャハ󾬏
もう最高😂👍💕でした!
啓司くんの性格、仕草、考え方・・・
とにかく黒木啓司そのものがめちゃくちゃ
詰まってて可愛かった💕
登坂くんの言い方も、めっちゃアリですよね!
又つぎの投稿楽しみにしてます
Re:黒木・・・ (keijyu0121)
2018-02-16 18:13:20
コメント第一号!! 嬉しい!!
ありがとうございます。
おっさんだけどかわいくて、スマートだけど残念だ、ワガママで怒りっぽいけど素直で優しい、でもひたすらにかっこいい啓司さんが少しでも表現できてたら嬉しいです。
コメントありがとうございました。

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