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■【成功企業・元気な会社・頑張っている社長】107 「首からぶら下げる」柔軟な発想 1310

2021-08-02 13:33:40 | 【経営】 成功企業・元気な会社

■【成功企業・元気な会社・頑張っている社長】107 「首からぶら下げる」柔軟な発想 1310

 経営コンサルタントを40年余やってきた経験から、すこしでも皆様のご参考になればとお届けしています。

 成功企業・元気な会社・頑張っている社長】は、皆様から寄せられたり、私が支援したり、見聞したりした企業の事例を紹介していますが、お陰様で、毎回拍手をいただいています。

 また、あなたのクライアント・顧問先やお知り合いの会社で、ここで紹介したい企業・団体等がありましたら、是非ご連絡ください。

■ 「首からぶら下げる」柔軟な発想 1310

 新型コロナウイルスの感染拡大に伴い、影響を受けた業種の一つが理容・美容業だ。「髪を切る、洗う、染める」「顔を剃る」といった理美容サービスを提供する上で「3密」の一つである「密接」が避けられないからである。最初に緊急事態宣言が出た2020年4~5月は理容室や美容院に足を運ぶ人が激減し、大幅な減収や休業が相次いだ。

 そうした状況に対し、いち早く美容業界向け専用のフェイスシールドを商品化したのが真辺工業(広島県府中市)だ。一般的なフェイスシールドのように頭部に装着するのではなく、「首からぶら下げる」という方法を考案。顧客が装着したまま、髪を切ったり、洗ったり、染めたりできる。一般的なフェイスシールドやマスクを着けたままでは難しい普段の美容サービスを提供できる上、飛沫感染などの危険性から開放される。

 形状は一般的なフェイスシールドを逆さまにしたような姿をしている。顧客はステンレス製のフレームを持ち、樹脂製のシールド先端を額に当てるだけで、後は美容師がネックストラップを締めて固定する。シールドの位置は個人単位で調整でき、フレーム部分は300回以上の繰り返し使用が可能。シールド部分はその都度取り外して交換し、清潔なシールドを常に用意できる。

 開発したきっかけは、「コロナの感染リスクに晒されている医療従事者らに貢献できれば」と考えた真邉崇正社長が、一般向けフェイスシールドを4月中旬に開発・発売したことだ。府中市内で美容院を経営している友人が聞きつけ、「美容院向けもつくってもらえないか」と相談された。顔にフィットするよう形状を工夫し、首からぶら下げるところまで到達するのに何度も試作を繰り返した。

 また素早く製品化するため、地元製造業の若手経営者に協力を呼びかけた。この結果、板金・曲げ加工は五敬工業(福山市)、ステンレス部分の塗装は府中メッキ(府中市)、ネックストラップなどの部品調達は伊豆義(福山市)が担い、5月中旬には商品を完成。ネット販売を中心に、美容業界向けだけで150万円以上を売り上げた。

 実は真辺工業は、アルミ・マグネシウム合金製をはじめとした自動車部品製造が主力。75台以上の工作機械を備え、1次サプライヤーを通じて自動車メーカーにエンジンやトランスミッション部品を供給しており、フェイスシールドはまったくの専門外だ。とはいえ、門外漢だからこそ、「首からぶら下げる」という柔軟な発想とスピーディーな商品化を可能にしたともいえる。中国や米国市場の好調を受けて自動車需要は急回復しているが、真邉社長は「美容業界向けのフェイスシールドはいまだに競合製品が出てこないため、今後も販売を継続する」と力を込める。

 

  出典: e-中小企業ネットマガジン掲載承認規定に基づき作成

 

 
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