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■■【経営コンサルタントのお勧め図書】 「日本人の勝算」大変革時代の生存戦略

2019-08-04 16:01:38 | 経営コンサルタントの本棚

■■【経営コンサルタントのお勧め図書】 「日本人の勝算」大変革時代の生存戦略

 「経営コンサルタントがどのような本を、どのように読んでいるのかを教えてください」「経営コンサルタントのお勧めの本は?」という声をしばしばお聞きします。

 日本経営士協会の経営士・コンサルタントの先生方が読んでいる書籍を、毎月第4火曜日にご紹介します。

■      今日のおすすめ

 

『「日本人の勝算」大変革時代(ターニングポイント)の生存戦略』

 

    (デービッド・アトキンソン著 東洋経済新報社)

 

   人口減少を直視せよー今という「最後のチャンス」を逃すなー(はじめに)

 

 著者は在日30年になるイギリス人で、その間、ゴールドマン・サックスやアクセンチュアを経て、現在は文化財補修の最大手「小西美術工藝社」の社長を務めています。2017年には日本政府観光局特別顧問に就任。

 

 

 この様な著者が、日本が直面する最大の課題である「人口減少・高齢化」の問題に関し、先入観を持って誤った判断をしがちな日本人の思考(著者は『日本人の「変わらない力」は異常』と表現)を排除し、外国人(著者)の目と、海外118人のエコノミストの「人口減少と経済」に関する論文から得られた分析と、加えて、世界中の統計の分析から、客観的・冷徹に「人口減少・高齢化」を直視し、対応戦略をプラス思考で『日本人の勝算』として著書にしたのが紹介本です。

 

 紹介本が示す、「人口減少・高齢化」を乗り越える対応戦略『日本人の勝算』を、次項で見てみましょう。

 

 それは、我々の先入観を覆し、その通りと頷首出来る、日本の進むべき方向を示しています。しかも、今から始めなければ遅くなる「最後のチャンス」でもあります。

 

  外国人だから分かる『大変革時代の「日本人の勝算」』

 

【資本主義を「High road capitalism」にアップデートせよ】

 

 著者は現在の日本の経営を「Low road capitalism」「低付加価値・低所得資本主義」と位置付けます。言い換えると「いいものを安く」「同類の商品の価格競争」「仕事の自主性が低い」「管理する側の層が厚い肩書主義」だと主張します。このままで行くなら、日本は三流先進国に成り下がると言い切ります。『「人口減少・高齢化」時代に、日本の現システムを維持するため、GDPを維持していくには「人口減少・高齢化」で下がるGDPを生産性向上でカバーしていく必要がある』と主張します。何故ならば「経済成長=人口×生産性」が成立つからです。更には「経済成長=人口×一人当たりGDP」と考えるならば、一人当たりの所得を上げていく必要があります。その為に「High road capitalism」「高付加価値・高所得資本主義」にパラダイム転換を図っていく必要があるのです。それは「よりいいもものをより高く」「専門性の高い分野での品質競争」「労働者と経営層との階層が少ない」「一般社員の給与が相対的に高くなる」経済社会への転換であると著者は主張します。日本の不勉強な経営者に任せず、政府の政策転換(最低賃金引上げ政策等)で行わないとパラダイム転換はできないとまで言い切るのです。

 

【輸出小国から脱却せよ】

 

 日本は輸出大国と言われていますが、実は、輸出小国なのです。著者はこう指摘します。『日本は、輸出総額では世界第4位ながら、一人当たり輸出額では44位、GDP比では117位。日本の輸出潜在能力が十分に発揮されていない。今までは人口増加により国内市場が拡大し、日本企業は国内市場を相手にしていればよかった。しかし人口減少社会で国内市場が縮小し、生産設備余剰・供給過剰の状態になる。その状態を乗り越えるには、輸出を増やす必要がある。世界のGDPに対する輸出比率の平均は41.07%、総額3位のドイツは46.1%。これに対し日本は16.1%。ドイツのある大学の研究結果によれば、輸出をしたいという意思が重要で、輸出の結果として生産性が高まる等の良い結果が出てくる。』

 

 著者は、日本が輸出潜在能力を発揮し、生産性の向上に結び付けられていないのは、中小企業を中心として、輸出したいという意欲・識見が欠如していることを問題にしているのです。

 

【企業規模を拡大せよ】

 

 著者が注目すべき試算をしています。日本の生産年齢人口(15歳~64歳)は、現在(2017年)の7,682万人が2060年には4,418万人に減ることが予想されています。この4,418万人を大企業から順に割り振ると、352万社中299万社(10人以上30人未満企業の43.5%と10人未満企業すべて)には一人も割り振れないのです。生産性の観点から言えば、先進国では小規模企業に勤務する労働者の比率の低さと生産性の高さの相関係数は0.93と極めて高いことが統計上明らかにされています。人材評価で世界4位(世界経済フォーラム「人的資本指数」2016年)に対し、生産性は28位となるのは、小企業で働いている日本人の比率が高いからと著者は指摘します。

 

 著者は、生産性の課題解決、輸出潜在能力発揮、「High road capitalism」へのパラダイムシフト等の点から、『企業規模の拡大』の重要性を主張します。

 

【最低賃金を引き上げよ】

 

 前述したように、GDP(=人口×生産性)を維持しようとするならば、人口減少社会では生産性を上げていく必要があります。著者は、生産性を上げるには意図的に誰かが上げる「人為的に伸ばす経済モデル」に転換していく必要性を強調します。

 

 マッキンゼーのレポートを引用し、問題になるのは中小企業の経営者の質の低さであると指摘します。中小企業の経営者の質を高める時間的余裕はもう有りません。著者は、そこで、強制的に経営者の質・生産性を高めるために、最低賃金の引上げを社会政策ではなく経済政策と考え、政府の所管を厚労省から、経産省に移し実施すべきと主張します。また、最低賃金の経済政策的引き上げは、併せて、経済成長、女性活躍、格差の是正、福祉問題、財政問題などに大きく貢献すると言います。

 

 著者のこの様な確信は、イギリスの最低賃金引上げ政策の実例があるからです。イギリスは1999年から2018年までの20年間に、12回、年率平均4.17%、金額では2.175倍最低賃金を引き上げました。失業への影響はなく、生産性の低かったサービス業の生産性が上がり、生産性の高い企業ほど雇用が拡大し生産性の低い企業の雇用は増えず、個々の企業の生産性の向上だけではなく、国全体の生産性を向上させた実績を残しています。

 

【その他の「日本人の勝算」】

 

 字数の関係で、上述に留めますが、他にも大切な「勝算」が書かれています。是非紹介本を手に取ってお読み下さい。

■   大変革時代の生存競争に生き残る「最後のチャンス」(むすび)

 

 

 紹介本から発信される「日本の勝算」を参考にしながら、かなり先と思えるものが、あっという間に到来する変化に対応すべく、今日から、前項で記しました仮説(生存企業数確率約15%)の生存企業に入る対策・改革を始めましょう。

 

 「最後のチャンス」の覚悟で取組むことで、良い結果を得る事が出来るのではないでしょうか。

 

【酒井 闊プロフィール】

 

 10年以上に亘り企業経営者(メガバンク関係会社社長、一部上場企業CFO)としての経験を積む。その後経営コンサルタントとして独立。

 企業経営者として培った叡智と豊富な人脈ならびに日本経営士協会の豊かな人脈を資産として、『私だけが出来るコンサルティング』をモットーに、企業経営の革新・強化を得意分野として活躍中。

  http://www.jmca.or.jp/meibo/pd/2091.htm

  http://sakai-gm.jp/

 

【 注 】

 著者からの原稿をそのまま掲載しています。読者の皆様のご判断で、自己責任で行動してください。

 

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