K's factory

まぁ、のんびりと。

美術館で夏休み

2006年09月04日 | 美術館・博物館等々
最近、柄にもなく美術館などに行く機会が増えております。

あんな静かなところで絵などをじっと見て何が楽しいのかと。
しかもおばさんたちは「この○○の~のところがいいわね」など小声で話していたりするんだが、正直なところ「はぁ?わたしにはわかりませんが?」といった感じである。
しかも美術館の絵は目の前の手の届くところにありながら触れることが出来ない。
わたしは触りたい!

まぁ、趣味というものはそんなもんだろう。
例えばわたしの趣味であるクワガタ飼育なども興味のない人にはどのクワガタも同じに見えるだろうし、虫嫌いな女性には姿かたちなどゴキブリと変わらないだろう。
そんな人たちに「いやぁ~、この顎のラインが美しいんだ」などと見せたところで共感は得られまい。

それなのになぜかわたしは美術館に行っているのである。
というわけで、昨日はメナード美術館に行ってまいりました。

駐車場に車を停め、ラフな格好で男がひとり、入り口に向かうと駐車場の誘導のおじさんが挨拶してくれる。
暑い中、立ちっぱなしにもかかわらず柔和な物腰で挨拶してくれると館内に入る前に心が和みますな。

今回のテーマは『美術館でなつやすみ 美術のなかの人間たち』である。
まぁ、内容は夏休みの子供向けの展示という感じであった。
ちなみに最終日であり、夏休みが終わったにもかかわらず普段はあまり見られない親子連れの姿がちらほらと見られた。

今回まず最初に目を引いたのは岸田劉生氏作の「信行之像」である。
絵を見た瞬間、「なんかどっかで見た顔やな」と思ったら同氏作の「笑ふ麗子」のいとこ(だったかな)の絵らしい。
「笑ふ麗子」は写真などで何度か目にしていたのでピンと来たわけだ。
「麗子ちゃん、いとこがおったんかいな」と妙なところで食い付いてしまった。(笑)
もちろん「笑ふ麗子」も飾られていた。
しかも並んで飾られているのではなく別の部屋に飾られていたというのはナイスな演出だったと思う。

さて、ピカソや棟方志功、アンディ・ウォーホルなどなど見たり聞いたりした美術家・作品もあるのだが、いまひとつピンと来ないんだな。

美術館で絵を見ていてふと思うのは女性との出逢いに似ているなと。
パッと見た瞬間のインスピレーションっていうのかな。

わたしは買い物に行くとついでに家具や電化製品、リサイクルショップなどをよく見に行く。
そして、わたしは結構キョロキョロ周りを見渡すように歩くんだな。
すると店員が『なにかお探しですか?』と近寄ってくる。
わたしは『いや、特に何というわけじゃないけど「ピン」と来るものがないかなと思って』と答える。
ほとんどの店員が「この人は買う気はなくて冷やかしやな」とばかりに笑顔で「では、ごゆっくりご覧ください」と去っていく。
一度だけとある家具屋で女性店員が『あー、家具っていうのはそういうのありますよね。出逢いっていうか』と答えたことがあった。
なかなかええこと言うやんけと思ったが、残念ながら二人には出逢いはなかったようである。(笑)

さて、美術館に話を戻そう。
展示室を出ると入口右手に資料室のようなものがある。
そこに一冊のファイルがあり、その中の海老原喜之助氏の「金魚鉢と少年」の絵の輪郭だけが描かれた紙に子供たちが顔を書き込みセリフをつけるという夏休みの子供向けのイベント?があった。

それを見ていると子供たちの素直な気持ちが非常に伝わってきた。
笑顔で「おおきくなれよ」
笑顔で「げんきにそだってね」
心配そうな顔で「だいじょうぶかな?」
なかには「あー、そういう発想もあるか」と素直に驚かされるものもある。
まさに「ピンと来る」ものがいくつか見られた。
あなたもちょっと遊んでみてください。

金魚鉢と少年
http://www.menard.co.jp/museum/collection/japanese-w_ebihara.htm

メナード美術館
http://www.menard.co.jp/museum/home/index.htm

目当ての作品もなくふらっと美術館に行きながらいつの日か「永遠の恋人」に出逢う日が来るのかもしれないなとふと思った。