外積の場合は,a×x=1 という方程式を考えようにも,右辺の "1" が何を意味するかが不明である。
左辺はベクトルだから,右辺の "1" も何らかのベクトルを表すはずだが,どんなベクトルだろうか?
なお,外積においては,数の掛け算における数字の1や,行列の積における単位行列に相当する「単位元」は存在しない。
すなわち,どんなベクトル a に対しても必ず a×e=a となるようなベクトル(「右単位元」) e は存在しないのである。(もちろん e×a=a が必ず成り立つような「左単位元」 e もない。)
ところが,授業である問題を扱ったとき,あるアイデアがひらめいた。
その問題とは,次のようなものである。
ここで示せといっていることは,
b×(a×b)=a
であることである。
これは,不正確な言い方ではあるが,「a に b を外積したものにさらに b を外積すると a に戻る」ことを意味している。
(ちなみに,上の等式から,d×(b×a)=a を満たすベクトル d としては,-b があることがわかる。)
これは外積の逆元を考える上で大きなヒントを与えてくれることに(問題を解説しているときに)気づいた。
つまり,普通の数においては s-1(st)=t という等式が常に成り立つことを考えると,外積についても,例えば,任意の a に対して u×(b×a)=a を成り立たせるようなベクトル u が,b の「外逆(そとぎゃく;外積に関する逆元を仮にこう呼ぶことにする)」であるとみなしてよいだろう。
そうすれば,例えば方程式 a×x=b を解こうと思ったら,a が外逆を持てば,それを c とおくとき,c×(a×x)=x なので,方程式の両辺の左から c を外積して x=c×b と解けることになる。
この問題に関する考察はまだ途中であるが,現時点では次のことまではわかった。
b と a はどちらも零ベクトルではなく,しかも平行ではないとき,
c×(b×a)=a
を満たすベクトル c の一例として,c=a×(b×a) がある。
しかしこれは a の要素までも含んでしまうので,「b の逆元」と呼べるようなシロモノではない。
その点に不満が大いに残るので,a を含まない表現があるかどうかを調べるのが今後の課題である。
左辺はベクトルだから,右辺の "1" も何らかのベクトルを表すはずだが,どんなベクトルだろうか?
なお,外積においては,数の掛け算における数字の1や,行列の積における単位行列に相当する「単位元」は存在しない。
すなわち,どんなベクトル a に対しても必ず a×e=a となるようなベクトル(「右単位元」) e は存在しないのである。(もちろん e×a=a が必ず成り立つような「左単位元」 e もない。)
ところが,授業である問題を扱ったとき,あるアイデアがひらめいた。
その問題とは,次のようなものである。
a と b がいずれも単位ベクトルで,互いに垂直であるとき,c=a×b とおくと,b×c=a が成り立つことを示せ。
ここで示せといっていることは,
b×(a×b)=a
であることである。
これは,不正確な言い方ではあるが,「a に b を外積したものにさらに b を外積すると a に戻る」ことを意味している。
(ちなみに,上の等式から,d×(b×a)=a を満たすベクトル d としては,-b があることがわかる。)
これは外積の逆元を考える上で大きなヒントを与えてくれることに(問題を解説しているときに)気づいた。
つまり,普通の数においては s-1(st)=t という等式が常に成り立つことを考えると,外積についても,例えば,任意の a に対して u×(b×a)=a を成り立たせるようなベクトル u が,b の「外逆(そとぎゃく;外積に関する逆元を仮にこう呼ぶことにする)」であるとみなしてよいだろう。
そうすれば,例えば方程式 a×x=b を解こうと思ったら,a が外逆を持てば,それを c とおくとき,c×(a×x)=x なので,方程式の両辺の左から c を外積して x=c×b と解けることになる。
この問題に関する考察はまだ途中であるが,現時点では次のことまではわかった。
b と a はどちらも零ベクトルではなく,しかも平行ではないとき,
c×(b×a)=a
を満たすベクトル c の一例として,c=a×(b×a) がある。
しかしこれは a の要素までも含んでしまうので,「b の逆元」と呼べるようなシロモノではない。
その点に不満が大いに残るので,a を含まない表現があるかどうかを調べるのが今後の課題である。
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