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【高校数学のツボ】 グラフの平行移動と拡大縮小。

2014-11-14 23:43:07 | mathematics
中学生の時,友人の家に遊びに行くと,決まって友人の父親に高校1年の数学のさわりを教わった。そのとき2次関数のグラフの平行移動について習ったのだが,全く理解できなかった。

「なんで x 軸方向に +2 だけ平行移動したのに,x を x-2 に書き換えるの?」

高校に進学した後も,高校三年間の間にその疑問が解消された覚えはない。自分できちんと考え直して納得できた気になったのは大学生活を終えようとしていた頃だったように思う。

(まあ,「x 軸方向に右に 2 だけ平行移動する」というのは -2 で,「左に 2」なら +2,という風に,意味を全く考えずに書き換え規則だけを丸暗記するというので高校数学程度なら十分にやり過ごすことができるが。)

その後,三角関数の単元でグラフの拡大と縮小の知識が必要なことに気が付いた。高校で習った当時はもちろん,その後しばらくの間そのような認識をしていなかったのである。高校時代は学校の授業で真面目に学ばなかったので,数学教師がきちんとそのことを教えてくれていたのかどうか,今となってはわからない。

ある関数のグラフを平行移動したり拡大縮小した後のグラフを表す関数がどうなるかの統一的な解説をここにまとめておく。似たような話題は過去にこのブログで何度か取り上げたことがあり,そのうちのどれかと全くかぶっているかもしれないが。

平行移動



関数 y=f(x) のグラフを x 軸方向に p,y 軸方向に q だけ平行移動したあとの曲線を表す関数はどのような式で表されるだろうか。

関数 y=f(x) のグラフ上の一点 (a,b) は、この平行移動によって点 (x,y) に移ったとしよう。このとき,y が x のどのような式で表されるかが問題であるが,いま手がかりは二つある。


<手がかり壱>
点 (a,b) は曲線 y=f(x) 上にあるから,x 座標 a と y 座標 b との間には b=f(a) の関係がある。

<手がかり弐>
点 (x,y) は点 (a,b) を x 軸方向に p,y 軸方向に q だけ平行移動したものだから,x=a+p,y=b+q の関係がある。


これら二つの手がかりを組み合わせて平行移動後の点 (x,y) の x 座標と y 座標の間に成り立つ関係式を求めたい。

我々があらかじめ知っているのは<手がかり壱>の a と b の関係のみである。

そして<手がかり弐>では x,y と a,b の関係がわかっている。つまり,a と b を仲立ちにして x と y とが結びついているわけである。その仲立ちである a と b を「消去」すれば x と y の関係がはっきりする。

<手がかり弐>から,a=x-p,b=y-q という関係がわかる。これは要するに平行移動後の点 (x,y) を逆に x 軸方向に -p,y 軸方向に -q だけ平行移動すれば元の点 (a,b) に戻るということである。

<手がかり壱>にある b=f(a) という等式に,この a=x-p,b=y-q という関係式を代入すれば

y-q=f(x-p)

という,x と y との間に成り立つ関係式が得られる。これがつまり平行移動後のグラフを表す関数に他ならない。□


拡大縮小



曲線 y=f(x) を x 軸方向に m,y 軸方向に n だけ拡大して得られる曲線の式を求めよう。考え方は平行移動のときとまったく同じである。

曲線 y=f(x) 上の点 (a,b) を移した先の点を (x,y) とおく。このとき,

b=f(a),

x=ma, y=nb

という関係式が成り立つ。二番目と三番目の式から a=x/m,b=y/n という関係が得られるので,これらを一番目の等式に代入すれば

y/n=f(x/m)

となり,拡大後の曲線を表す式が得られる。□


平行移動と拡大縮小の合成

平行移動によって,y=f(x) という式の y は y-q に,x は x-p に置き換わる。

拡大縮小によって,y=f(x) という式の y は y/n に,x は x/m に置き換わる。

上で得られた結果をこのように単なる式の書き換え操作としてとらえれば,平行移動と拡大縮小を合成したようなより複雑な曲線の変換にも容易に対応することができる。

例えば y=sin(2x-π/3) は y=sin(x) のグラフをどう加工したものなのかは,大きく分けて次の二通りの解釈がある。


<解釈その壱>

まず y=sin(x) のグラフを x 軸方向に 1/2 倍すると y=sin(2x) になる。その後,x 軸方向に π/6 だけ平行移動すると,x に x-π/6 を代入して

y=sin(2(x-π/6))=sin(2x-π/3)

のグラフになる。


<解釈その弐>

y=sin(x) のグラフを先に x 軸方向に π/3 だけ平行移動すると y=sin(x-π/3) になる。その後 x 軸方向に 1/2 倍すると,x に x/(1/2)=2x を代入して

y=sin(2x-π/3)

となる。


このように,y=f(ax-p) という形の関数のグラフは,拡大縮小後に平行移動したもの,もしくは平行移動後に拡大縮小をしたものとみなすことができる。ただし,実際問題としてはこのように二つの変換を組み合わせたものとして段階を追ってグラフの概形を突き止めるよりも,x 軸との交点の座標やグラフの頂点の座標を求めてそれらを滑らかな曲線で結ぶ方がよっぽど速く処理できるであろう。

なお,グラフの拡大縮小については高校ではきちんとした取り扱いはしていない。また、拡大縮小の議論がなぜ三角関数の単元でようやく顔を出すのかについてはそれなりの理由がある。三角関数の前に登場する関数は 1 次関数と 2 次関数,反比例の関数だけである。これらのように多項式を用いて表すことができる関数に対してはグラフの拡大縮小をわざわざ持ち出す必要がない。例えば

y=x2/4

という関数のグラフを,プロトタイプ(原型)である y=x2 のグラフを y 軸方向に 1/4 倍したものだなどと思わなくてもグラフの概形はただちに描ける。

また,x や y を定数倍しても,それらの倍率は多項式の各項の係数の中に取り込まれてしまい,x 軸方向や y 軸方向に何倍したのか,解釈が何通りも出てきてしまう。先ほどの例でいえば,

y/(1/4)=x2

とみなせば y 軸方向に 1/4 倍したものと言えるし,

y=(x/2)2

とみなせば x 軸方向に 2 倍したものと言える。さらには

y/(1/2)=(x/√2)2

のように,x 軸方向に √2 倍,y 軸方向に 1/2 倍したものという解釈も可能である。このように考えれば,どのように拡大縮小したかは解釈が無限にあることがわかるであろう。解釈の幅が広すぎるというのもかえって扱いにくいものである。


ここまで考えたので,ぼちぼち高校数学におけるグラフの平行移動と拡大縮小は卒業してもいいかな,と思っている。

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