中学生の時,友人の家に遊びに行くと,決まって友人の父親に高校1年の数学のさわりを教わった。そのとき2次関数のグラフの平行移動について習ったのだが,全く理解できなかった。
「なんで x 軸方向に +2 だけ平行移動したのに,x を x-2 に書き換えるの?」
高校に進学した後も,高校三年間の間にその疑問が解消された覚えはない。自分できちんと考え直して納得できた気になったのは大学生活を終えようとしていた頃だったように思う。
(まあ,「x 軸方向に右に 2 だけ平行移動する」というのは -2 で,「左に 2」なら +2,という風に,意味を全く考えずに書き換え規則だけを丸暗記するというので高校数学程度なら十分にやり過ごすことができるが。)
その後,三角関数の単元でグラフの拡大と縮小の知識が必要なことに気が付いた。高校で習った当時はもちろん,その後しばらくの間そのような認識をしていなかったのである。高校時代は学校の授業で真面目に学ばなかったので,数学教師がきちんとそのことを教えてくれていたのかどうか,今となってはわからない。
ある関数のグラフを平行移動したり拡大縮小した後のグラフを表す関数がどうなるかの統一的な解説をここにまとめておく。似たような話題は過去にこのブログで何度か取り上げたことがあり,そのうちのどれかと全くかぶっているかもしれないが。
関数 y=f(x) のグラフを x 軸方向に p,y 軸方向に q だけ平行移動したあとの曲線を表す関数はどのような式で表されるだろうか。
関数 y=f(x) のグラフ上の一点 (a,b) は、この平行移動によって点 (x,y) に移ったとしよう。このとき,y が x のどのような式で表されるかが問題であるが,いま手がかりは二つある。
<手がかり壱>
点 (a,b) は曲線 y=f(x) 上にあるから,x 座標 a と y 座標 b との間には b=f(a) の関係がある。
<手がかり弐>
点 (x,y) は点 (a,b) を x 軸方向に p,y 軸方向に q だけ平行移動したものだから,x=a+p,y=b+q の関係がある。
これら二つの手がかりを組み合わせて平行移動後の点 (x,y) の x 座標と y 座標の間に成り立つ関係式を求めたい。
我々があらかじめ知っているのは<手がかり壱>の a と b の関係のみである。
そして<手がかり弐>では x,y と a,b の関係がわかっている。つまり,a と b を仲立ちにして x と y とが結びついているわけである。その仲立ちである a と b を「消去」すれば x と y の関係がはっきりする。
<手がかり弐>から,a=x-p,b=y-q という関係がわかる。これは要するに平行移動後の点 (x,y) を逆に x 軸方向に -p,y 軸方向に -q だけ平行移動すれば元の点 (a,b) に戻るということである。
<手がかり壱>にある b=f(a) という等式に,この a=x-p,b=y-q という関係式を代入すれば
y-q=f(x-p)
という,x と y との間に成り立つ関係式が得られる。これがつまり平行移動後のグラフを表す関数に他ならない。□
曲線 y=f(x) を x 軸方向に m,y 軸方向に n だけ拡大して得られる曲線の式を求めよう。考え方は平行移動のときとまったく同じである。
曲線 y=f(x) 上の点 (a,b) を移した先の点を (x,y) とおく。このとき,
b=f(a),
x=ma, y=nb
という関係式が成り立つ。二番目と三番目の式から a=x/m,b=y/n という関係が得られるので,これらを一番目の等式に代入すれば
y/n=f(x/m)
となり,拡大後の曲線を表す式が得られる。□
平行移動と拡大縮小の合成
「なんで x 軸方向に +2 だけ平行移動したのに,x を x-2 に書き換えるの?」
高校に進学した後も,高校三年間の間にその疑問が解消された覚えはない。自分できちんと考え直して納得できた気になったのは大学生活を終えようとしていた頃だったように思う。
(まあ,「x 軸方向に右に 2 だけ平行移動する」というのは -2 で,「左に 2」なら +2,という風に,意味を全く考えずに書き換え規則だけを丸暗記するというので高校数学程度なら十分にやり過ごすことができるが。)
その後,三角関数の単元でグラフの拡大と縮小の知識が必要なことに気が付いた。高校で習った当時はもちろん,その後しばらくの間そのような認識をしていなかったのである。高校時代は学校の授業で真面目に学ばなかったので,数学教師がきちんとそのことを教えてくれていたのかどうか,今となってはわからない。
ある関数のグラフを平行移動したり拡大縮小した後のグラフを表す関数がどうなるかの統一的な解説をここにまとめておく。似たような話題は過去にこのブログで何度か取り上げたことがあり,そのうちのどれかと全くかぶっているかもしれないが。
平行移動
関数 y=f(x) のグラフを x 軸方向に p,y 軸方向に q だけ平行移動したあとの曲線を表す関数はどのような式で表されるだろうか。
関数 y=f(x) のグラフ上の一点 (a,b) は、この平行移動によって点 (x,y) に移ったとしよう。このとき,y が x のどのような式で表されるかが問題であるが,いま手がかりは二つある。
<手がかり壱>
点 (a,b) は曲線 y=f(x) 上にあるから,x 座標 a と y 座標 b との間には b=f(a) の関係がある。
<手がかり弐>
点 (x,y) は点 (a,b) を x 軸方向に p,y 軸方向に q だけ平行移動したものだから,x=a+p,y=b+q の関係がある。
これら二つの手がかりを組み合わせて平行移動後の点 (x,y) の x 座標と y 座標の間に成り立つ関係式を求めたい。
我々があらかじめ知っているのは<手がかり壱>の a と b の関係のみである。
そして<手がかり弐>では x,y と a,b の関係がわかっている。つまり,a と b を仲立ちにして x と y とが結びついているわけである。その仲立ちである a と b を「消去」すれば x と y の関係がはっきりする。
<手がかり弐>から,a=x-p,b=y-q という関係がわかる。これは要するに平行移動後の点 (x,y) を逆に x 軸方向に -p,y 軸方向に -q だけ平行移動すれば元の点 (a,b) に戻るということである。
<手がかり壱>にある b=f(a) という等式に,この a=x-p,b=y-q という関係式を代入すれば
y-q=f(x-p)
という,x と y との間に成り立つ関係式が得られる。これがつまり平行移動後のグラフを表す関数に他ならない。□
拡大縮小
曲線 y=f(x) を x 軸方向に m,y 軸方向に n だけ拡大して得られる曲線の式を求めよう。考え方は平行移動のときとまったく同じである。
曲線 y=f(x) 上の点 (a,b) を移した先の点を (x,y) とおく。このとき,
b=f(a),
x=ma, y=nb
という関係式が成り立つ。二番目と三番目の式から a=x/m,b=y/n という関係が得られるので,これらを一番目の等式に代入すれば
y/n=f(x/m)
となり,拡大後の曲線を表す式が得られる。□







