最近,次のような3つの方向性から,自分の中で曲面論を勉強したいという機運が高まっている。
今,曲面論が僕の「マイブーム」(死語?!)なのである。
3つの方向性とは,次のようなものである。
雑誌「数理科学」2010年10月号で「曲面の不思議」という特集があり,その中で逆井卓也氏の記事「曲面に親しむ」という,空間曲面の理論の非常にコンパクトなよみやすい記事があったので,それを読んでみた。
そこでガウス曲率が紹介されていて,円柱の側面(に限らず,もっと一般の柱面についても)の曲率が至る所で 0 であることが述べられている。
ピンと来た。
さっそく,直円錐のパラメータ表示を一つとってガウス曲率を計算してみると,思った通り,それは 0 であった。
あと,計算するまでもなくほぼ自明なことであるが,1次式で表される平面の曲率も 0 になる。
ところが,半径 r の球面のガウス曲率は至る所で 1/r2 に等しく,決して 0 ではない(らしい。まだ自分で確かめていない)。
というわけで,どうやら,
という関係があるのではないか,という確信が得られた。
ただ,雑誌の記事では紙数の制限のため曲率の定義は天下りに与えられているため,それがなぜ『曲率』という名を与えられているのか,現時点で僕には理由がさっぱりわからない。
『曲率』と呼ばれる理由については自分で考えてみようとは思っているが,しかるべき教科書できちんと学ぶことになるかもしれない。
曲率の意味がわかっていないため,上の確信は実のところ極めて根拠が薄弱なのだが,それを補うため,直円錐の展開図が平らになることの違った説明を現在試みている。核心となるアイデアはあるのだが,それをどう説明すればいいのか,まだ少し考えがまとまるまで時間がかかる見込みである。
地形の測量の仕事に従事したガウスが曲面論を飛躍的に発展させたという史実を鑑みれば,地球が丸いという事実から物事がどのように説明されるのか,という,まさに己の足元である地球の知識を固めようという方向に意識が向かうのは自然な成り行きだろう。
そういうわけで,高校のときにほんのちょっとだけ習って当時ちんぷんかんぷんだった地学も学び直したくなってきた。
また,平にのすことが出来ない地表の様子を平面の地図に投影する様々な作図法にも興味が出てきた。
球面を理解したいという熱い想いの裏には,もともと丸い地球の特性を理解したいという動機があったわけだから,関心が地球物理という壮大な分野へと移っていくのも,知の世界が広がる興奮を味わえる,絶好の機会に違いない。
※ なお,曲率の計算そのものは僕が担当している学部2年生対象のベクトル解析の知識を使えば簡単にできるので,できれば講義にもっと曲面論を取り入れたいところだが,それは欲張りすぎというものだろうか。
最も身近な曲面である地球という球面について少し深く学ぶというのも,刺激的な事柄もたくさんあって非常に面白いと思うのだが。
まあ,授業で習うと「受け取り手の意思とは無関係に勝手に知識が与えられる」という受身な姿勢でいるために興味を持てないという学生が一般的だろうから,たとえ球面論の初歩を取り入れたところで,「何いってるかイミフなんですけど」という学生の拒絶に会い,教師の自己満足に終わるのがオチだろうけど。
今,曲面論が僕の「マイブーム」(死語?!)なのである。
3つの方向性とは,次のようなものである。
- 中学レベルの平面幾何や立体幾何をなんとなく見直したい気分になっていて,いざいろいろ考えてみるとやはり奥が深くて面白く,その先に曲面の幾何があるように思えるのである。特に,ユークリッドの『原論』に関する非常に優れた一般向けの解説書を現在読んでいるところであり,ユークリッドに『原論』の他に天球(つまり球面)上の天体の運行を論じた『ファイノメナ』という著書もあるということを初めて知ったので,ちょっと運命を感じてもいるところである(天が,僕に,今こそ球面についてお勉強するときだ,とささやいているとしか思えない)。
- 中学レベルの天文の知識に興味が湧いてきて,地表から見える太陽や星の動きと,太陽系を外から眺めた視点から捉えられる天体の動きとの相互関係を詳しく理解したいという欲求が芽生えてしまった。
- 曲面に関係する専門的な研究に関わりたいなあ,という淡い欲望をここ数ヵ月ほど抱き続けている。
雑誌「数理科学」2010年10月号で「曲面の不思議」という特集があり,その中で逆井卓也氏の記事「曲面に親しむ」という,空間曲面の理論の非常にコンパクトなよみやすい記事があったので,それを読んでみた。
そこでガウス曲率が紹介されていて,円柱の側面(に限らず,もっと一般の柱面についても)の曲率が至る所で 0 であることが述べられている。
ピンと来た。
さっそく,直円錐のパラメータ表示を一つとってガウス曲率を計算してみると,思った通り,それは 0 であった。
あと,計算するまでもなくほぼ自明なことであるが,1次式で表される平面の曲率も 0 になる。
ところが,半径 r の球面のガウス曲率は至る所で 1/r2 に等しく,決して 0 ではない(らしい。まだ自分で確かめていない)。
というわけで,どうやら,
展開して平らにのすことができる曲面=至る所でガウス曲率が 0 の曲面
という関係があるのではないか,という確信が得られた。
ただ,雑誌の記事では紙数の制限のため曲率の定義は天下りに与えられているため,それがなぜ『曲率』という名を与えられているのか,現時点で僕には理由がさっぱりわからない。
『曲率』と呼ばれる理由については自分で考えてみようとは思っているが,しかるべき教科書できちんと学ぶことになるかもしれない。
曲率の意味がわかっていないため,上の確信は実のところ極めて根拠が薄弱なのだが,それを補うため,直円錐の展開図が平らになることの違った説明を現在試みている。核心となるアイデアはあるのだが,それをどう説明すればいいのか,まだ少し考えがまとまるまで時間がかかる見込みである。
地形の測量の仕事に従事したガウスが曲面論を飛躍的に発展させたという史実を鑑みれば,地球が丸いという事実から物事がどのように説明されるのか,という,まさに己の足元である地球の知識を固めようという方向に意識が向かうのは自然な成り行きだろう。
そういうわけで,高校のときにほんのちょっとだけ習って当時ちんぷんかんぷんだった地学も学び直したくなってきた。
また,平にのすことが出来ない地表の様子を平面の地図に投影する様々な作図法にも興味が出てきた。
球面を理解したいという熱い想いの裏には,もともと丸い地球の特性を理解したいという動機があったわけだから,関心が地球物理という壮大な分野へと移っていくのも,知の世界が広がる興奮を味わえる,絶好の機会に違いない。
※ なお,曲率の計算そのものは僕が担当している学部2年生対象のベクトル解析の知識を使えば簡単にできるので,できれば講義にもっと曲面論を取り入れたいところだが,それは欲張りすぎというものだろうか。
最も身近な曲面である地球という球面について少し深く学ぶというのも,刺激的な事柄もたくさんあって非常に面白いと思うのだが。
まあ,授業で習うと「受け取り手の意思とは無関係に勝手に知識が与えられる」という受身な姿勢でいるために興味を持てないという学生が一般的だろうから,たとえ球面論の初歩を取り入れたところで,「何いってるかイミフなんですけど」という学生の拒絶に会い,教師の自己満足に終わるのがオチだろうけど。