四月九日(日) 君棲む街角
2006-04-09 07:03:28
角川「短歌」四月号からー
連載中の秋葉四郎氏の 短歌清話 佐藤佐太郎随聞 第二十四回
斉藤茂吉の一首について興味ある挙言あり。
・・昨日の話でその時の歌があると言っていたことから類推すると、歌集『開冬』にある昭和四十五年の「又某日」と題する一連の歌の内、
*二十年人をうらみていふことば聞くため遠く老いてわが来つ
(他一首略)
が、該当するように思える。山上次郎氏が『斉藤茂吉恋と歌』云々・・・
この歌が実に今の小生の状態に鑑みると、心に響く歌である。
歌として決して秀歌に入れられるものではないし、今まで茂吉の詳細な記述を見ても取り上げられたことは無いと思う。
しかし、現在の私の心を、まさに言い当てて妙である。この感慨、ある ひと は解ってくれる筈である。もっとも、その ひと が此処を見てくれることはいまや絶対無いと思うので、小生の備忘のため記しておくだけである。
・ 君棲む街角
*呆けつつ歩む足取り軽からず君が棲む宿いよよ近づく
*窓にふと映るひと影君ならずグリーン・ヒルズに春の陽の墜つ
*若し逢はば声を掛くるか隠るるかグリーン・ヒルズに陽の沈む頃
*窓にふと君の影在りしょうねんのごとときめきを押さえかね居り