お産・育児ママネットワーク パム

皆様の周産期医療・産科医療に関するご要望、ご意見をお聞かせください。合わせて私達の活動記録です。

4/16 合同意見交換会 ディスカッションまとめ

2006-04-19 12:31:59 | 活動報告
最新記事→3・21県シンポ    
麻酔科医ゼロの恐怖 
→最新号『紙REBORN』に掲載
→守りたい最後のとりで県立こども病院
→◆430勉強会のお知らせ



Special Thanks usiki@篠ノ井 さん
レポートをまとめていただきました。

→開催報告 PDF資料

 「4/16信州で産みたい!育てたい!母の会合同意見交換会」

これがそのまま公式見解というわけでもないと思いますが、参加者一人一人が真剣に自由闊達に意見交換をした充実した話し合いが行われました。参考までに白熱のディスカッションの内容を抜粋でご紹介します。

<医師不足・医療体制の危機について>
■産科医側から出た意見
・医師の人事権はそんなに大きくはない。大学の医局所属の医師だけで問題を解決しなければならず大変だ。
・産科医の育成が必須。産婦人科医療を(研修制度や勤務体制など)魅力あるものにしていかなければいけない。
・問題発生時に送られる(搬送先の)立場の病院の存続確保が使命である。
・この病院でしかいいお産ができない。という考え方ではなく、どこの病院でもいいお産を実現していくという環境作りの方法を考えていきたい。信大でも会陰切開は減ってきている。カンガルーケアやフリースタイルも取り入れている。私はいいお産は総合病院でも実現できるという信念を持っています。
・集約化は自宅出産を否定するものではないと思う。
・母親の声に上がってくる「近くに産婦人科が欲しい」という時間的・物理的距離を具体的に何分・何キロということを具体化することが必要。県内をいくつのエリアに分けていくかどう設定するかということに役立つ。
■助産師側から出た意見
・行政や病院でやっているマタニティーセミナーにもっと人的・金銭的な投入をして妊婦の自己管理をもっとしっかり行えば医療現場の負担を減らすことができるはず。
・医療体制を考えていくときに、救急搬送システムについてもっと本格的な体制を構築することで安全性を確保してくことも手段として考えられる。
■報道側から出た意見
・集約化された2段階診療は、里帰り出産と似ていると感じた。
■母親側から出た意見
・長野市で活動しているお産を語る会うむうむネットというグループで上田市産院の見学会をさせてもらえることになった。BFHといっても今まであんまり注目されず、視察も来なかったと聞いた。BFHのことなど、いいお産を県内に発信していく開かれた病院になって欲しい。
・女性の気持ちに寄り添っていく医療であって欲しい。そのためにもお産を経験した女医さん・助産師さんが増えていけるようにして欲しい。
・赤ちゃんも妊婦も少なくなって、自分自身の妊娠ではじめての体験という人が増えました。自分は一人目の出産で、雑誌などでずいぶん慎重に勉強したつもりだったけれど、終わってみてもっとこのことをわかっていればということが沢山あった。産む当人が意識を持つということはとても大切。妊娠中に知るべきことを知れるようにして欲しい。お産のことを色々学び始め、母親たちのお産の振り返りの会も毎月開いていく中で、二人目のお産は「やれるだけのことはやった。ここから先何か起きるのならそれはもう神様の領域で受け入れるしかない」と思えた。妊婦が「自分が産む」という自覚を持てるように妊娠出産子育ての情報はマイナスの情報を隠そうとしないで伝えることが大切。お母さんたちの井戸端のようなものだって実践的でとても役にたつ。もっと産める女性を作ることに力を注いで欲しい。

<助産師の活躍について>
■産科医側から出た意見
・プライマリ助産師の制度は実現するために経営的な課題が大きいだろう。
・産婦人科医が少ないから助産院(院内助産院)という考えで良いのか。
■母親側から出た意見
・助産所の開業は大変なことだということも聞き、産婦人科医の危機も知り、ずっとずっと考えてきた中で院内助産院という存在を知った。医師に頼りずぎず助産師さんにもっと活躍してほしいという考えは安易だろうか。
・開業助産院でも助産学校の生徒さんなど、自然分娩の学習の場として開かれて行って欲しい。
■助産師側から出た意見
・地域の独立助産システムを作りたい。助産院で産むには産む側のかなりの決心と自覚が必要です。豊科日赤の分娩休止後、流れてきたと思われる相談の方に「自分で産める人しか受けない。おまかせの方はお受けできません」と伝え助産院での出産について説明しているが助産院での出産をするという方は今のところ一人もいない。しかし助産院で産みたいというニーズは確実にあるので、現在年間10数件のお産数だが断る方がいる状況だ。地域の若手の助産師さんと一緒に自分の助産所を使ってお産の受け皿を増やしていきたい。
・開業助産師と病院側との顔の見える連携関係を強くしていく必要がある。
・正常分娩にも全部ドクターが立ち会うようになったが、それでますます大変になっているのでは。異常産を察知し正常産と見極めることができて、分娩をできる助産師を育てていかなければならない。
・アンケートの結果を見ても、妊娠中の不安の解消のために医師に相談している人がいるが、診療時間の制約の中でお互い大変だ。助産師外来など身近なところで相談できるシステムを作る必要がある。
・産科医が十分足りても、助産院や自宅出産を必要とする人はいると思っている。
・病院、開業助産院問わず、お産では良い人間関係の構築が必要である。
・助産院のマンツーマンのケアは大変なこと。病院の8時間労働・給料制の中で実現していく場合採算性は厳しいことを覚悟して。
・病院の中で自然なお産や母子への十分なケアをすることに限界があると感じて、自分で助産院を開業して1年が経つ。病院勤務で2000例以上のお産にかかわってきたが、担当者も時間で変わっていく、ベルトコンベア式のお産で母子とじっくり接することがとても厳しかった。平成9年にはプライマリ助産師の制度を試験的に経験し、二人の妊婦さんを受け持ったが当時は自分の休日を利用して家庭訪問するような状態でこのシステムではとても難しいと感じた。

<行政への要望など>
■産科医側から出た意見
・理想を語っていくことと、現実にできることをやっていくことの、同時進行で進める必要がある。
・豊科日赤の中で院内助産院のシステムを確立できないか模索しているが、「院内助産院の開設には常勤医が1名以上いなければならない」という法律的なハードルがあり、医者探しに奔走している。分娩はいつでも再開できるように人・設備は用意している。ドクターが確保できたらシーツをはがそうね。とスタッフと言い合っている。法律など、運用面でももうちょっとなんとかならないかこれからも努力を続けていく。
■母親側から出た意見
・上田市で母の会の活動をやっていたり、今回の学習会の準備の中で、行政や医療側の人たちにアクセスすることがなかなか大変と痛感している。今回は信州大学の金井先生も来てくださってとても感謝している。南信の産科問題懇談会のように、医療者・行政・母親ぐるみで顔の見える関係でホットラインでつながっていければと希望を持った。
・妊娠中・子育ての時にほんのちょっとしたことでも聞ける環境が必要。先生の確保とはまた違った、母親同士の相互扶助みたいな関係でも、草の根的にでもつながっている環境が欲しい。
・安曇野で行ったアンケートの中からは、主体性なくお産の場を選んでいる人が実に沢山いることが見えてくる。豊科日赤でお産した人の中にも、総合病院だからなんとなく安心でしょ。近いし。という回答が何人もある。じゃぁどこが良くて、ということに答えられない。でもきっかけがあって、情報がちゃんと与えられれば「私がやりたいのはこれだ。して欲しくないことはこうだ」気づく人は沢山います。行政の母親学級(妊娠5ヶ月前後)よりもっと前の段階で、母子手帳の交付の時に公平で誠実な情報提供をすべきだと考えます。セミナーや、母親たちが市民セクターとしてそれを行うこともできないか。とにかくきっかけが必要。

<長野のお産のこれからについて>
■産科医側から出た意見
・今回具体的に聞けたような母親たちの声を、地域の8割、9割といった世論として具体化して盛り上げていけば(行政が動いて)体制の実現に近づくだろう。
・地域に応じた形があると思うので、地域ごとの対応が必要。
・こと、お産に対する母親のパワーというのはすごいと改めて感心した。産科医でよかったと思えます。
■助産師側から出た意見
・産科医も診療所の医者と総合病院の勤務医の間で意見の相違がある。助産師も開業と勤務では違う。当事者の母親たちも含めて、これからの体制づくりを決めていくときに意見集約の間口はもっと広くとって欲しい。今やらなければならないことを考える場を全員参加でもっと作っていかなければならない。
■母親側から出た意見
・さまざまなお産がある。お産を考えるときに、自分の家族の経験だけでいい、悪いと考えることはして欲しくない。それでも、どんなお産でも、「赤ちゃんが生まれたとき、医師や助産師は祝福してくれましたか」「自分らしいお産、幸せなお産でしたか」「赤ちゃんをかわいいと思えましたか」との3つの質問にいいえと答える母子が誰一人いないように、そういうケアを医療者は目指していって欲しい。私の子どもに出産時の重症仮死から生還して元気になってきている子がいますが、その子の誕生を、私以外の家族や、社会、医療者の中でも、あってはならないこと、と祝福できない空気を感じてしまい辛かった。
・母親たちが声を上げていくことはすごいと思うが、組織をネットワークとして広げていく(参加しやすくする)ことが必要。
■報道側から出た意見
・安心して産み、子育てできる社会にという提言は、行政・マスコミへと活発に出していって欲しい。

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