お産・育児ママネットワーク パム

皆様の周産期医療・産科医療に関するご要望、ご意見をお聞かせください。合わせて私達の活動記録です。

上田広報誌 3月1日発行 第二部 今後の目標

2007-03-01 06:38:29 | 新聞記事
出産育児ママネットワーク パム→どうする日本のお産の開催報告が完成しました。

第1部 医療の危機へ
◎第二部 今後の目標

救命救急体制の充実のためには


市長 次に私どもが中核病院になにを求めるかということ、やはり高度医療的なことや救急体制の充実なんです。この辺が、今以上に充実してくれれば住民の皆さんは安心して生活できますから。
 そこで、次に救急医療体制についてお話をいただければと思います。 
 今の救急医療が初期、二次、三次という体制がとられていることは我々も良く理解しなければいけないと思います。その上で、この地域は長野病院が二次救急を担い、三次救急は佐久総合病院となつています。
 しかし、住民の安心を考えると上田地域でできるだけ完結できる体制、つまり三次救急的なものも担ってもらいたいと考えます。しかし、年に何件か長野方面や佐久方面への救急搬送が生じますと、中核的病院があるのになぜなのかと思ってしまいますよね。
 上田地域の救急体制をどのように充実できるのか、県のお立場ではどう考えておられますか。

渡辺 三次救急については、県内を4ブロックに分けて、そのブロックごとに救命救急センターを整備しました。ただ、広い地域においてはミニ救急という形で少し分散させることにして、南信は3箇所の病院にベッドを分けて救命救急センターを作りました。
 ただ、最終的には救命救急センターをやりたいという病院が出てくることが大きな課題になると思ますが、現状を見ると、この地域では運営体制を作れる病院があるかが一番問題になつてくると思います。

市長 そこのところは、やはり医師の充足ということになってしまいますね。勝山病院長のお立場ではどうお考えですか。

勝山 信大病院が高度救命救急センターを引き受けたいと手を上げたときに強調したのは、「大学病院でなければ救命救急担当の医療従事者は育てられない」ということです。その後、順調に救命救急に携わる専門医師が養成されてきていまして、いずれ県内の各病院で救命救急専門の医師を派遣できると思います。
 強調したいのは、一つの病院ですべての領域を担うのは不可能ということです。今後の医療の中で非常に重要なのは、役割分担をどう作っていくのか、ネットワークをどうやって構築していくのかだと思っています。
 上小地域も全県の中での位置付けを含め、地域内のネットワークの構築ができるかというところが、大きな鍵になると思いますね。
 ただ、救命救急センター機能を担うとなると、それなりのマンパワーが必要になりますので、この上小地域では病院の規模からいって長野病院しかないだろうと思いますね。ただ、長野病院にぜひやってくれと言っても、現在のままでは物理的にできません。例えば、麻酔科医が常駐していないとかの問題がありますからね。

行政の医療機関へのサポートは

勝山 ですから、地域として長野病院をどうやってサポートしていくのかが大事だと思います。そして、救命救急センターやミニ救命救急センターを引き受けられるだけの体力をどうやって付けてもらうのか、そういう観点でも、考えていただければと思いますね。もちろん信大病院としても、長野病院が地域の中核的病院として非常に重要な病院であるという認識なので、今の苦しい時期を乗り切れるように地域がサポートしていただければと思います。

市長 我々にとっても、どのようなサポートができるのかということが課題ですね。それには、地域のコンセンサスも一定のものがないとダメです。応分の負担の中で協調してやることの意思統一を図る必要があると思っています。
 信州大学の長野病院に対する見方も良くわかりましたし、地域の中核的病院として「何とかしなければ」ということを言っていただいて大変ありがたく思います。

勝山 後は、やっぱり常勤麻酔科医が不在であることですね。医師を確保しようというときに、医師の給料の問題はよく議論になりますが、めちゃくちゃな高収入を求めているような人は(旧)国立病院に元々勤務しません。

市長 使命感の話ですね。

勝山 そういう医師が求めるのは、むしろ医療を行う環境です。つまり、(旧)国立病院の大きな問題は、医療を行う環境が悪いのです。公務員組織の中で、医師をサポートする体制が非常に弱いです。これは(旧)国立病院に共通した現象ですね。
 例えば、看護師を増やすとか、医療が分かっている事務職員が現場でサポートするということが、医師の勤務環境を著しく向上させて、それが医師のやる気をすごく引き出します。何らかの形で、医師が少しでも働きやすい環境を作ってやれば、高い給料が出るからそっちの病院へ行こうとか、開業しようとかそんなことにはなりませんね。

市長 医師確保に対する新たなご提案をいただいたと思います。

機能分化と連携がキーワードに

市長 地域医療に対する新たな取り組みとして、県で平成17年度にドクターヘリを導入されていますが、現状はどうですか。

渡辺 ドクターヘリは佐久総合病院に置かれていますので、南信地域のカバーが少し弱いですね。そのために、松本空港にある防災ヘリなどを使いながらカバーしようという状況です。これからの救急は、機動力を使うことによって、広範囲な患者さんの移動を考えなければならないと思っています。
 このように救急のことだけを考えても、一つの地域内で自己完結型の医療は成り立たなくなつてきています。すべての病院が重装備をしていたら、これからの医療はやっていけなくなるわけです。例えば、ここの病院だったらこの検査ができる、検査だけやってもらってまた患者さんを元の病院へ帰すといった連携を、うまく取っていく必要があるのだろうと思っています。

市長 機能分化と連携ですよね。

渡辺 これからのキーワードになつてくるでしょうね。

市長 連携となれば、自らの医療圏内だけでなく、”圏外との連掛もありますよね。

渡辺 そうですね。場合によっては、隣県、あるいは他県なども考えられますね。

市長 今度、第五次保健医療計画を県で作られるようですが、機能分化、役割分担など、自己完結の方向ではないという話が出ていますが、そのことについてはどのようになるのでしょうか。

渡辺 地域での連携、医療機関同士の連携が非常に重要であるということは、平成17年に県が掲げた信州新医療圏構想の中にうたわれています。それを今度の第五次保健医療計画の中へ移行していくような形になると思います。
 ただ、理念としては非常に重要で、やらなければいけないことですけど、だれがどのように動かすかというところで止まってしまっています。必要性はわかっていても、うまく動かす手法が見つからないのです。

市長 経営主体の違いや医療現場の考え方の違いなど、確かに難しい問題ですね。

渡辺 ただ、自治体立の病院がいくつかある地域がありますが、いくつかの自治体が集って経営統合することも方法ではないかと思います。広域的に経営することによって、それぞれに役割分担を持たせて、一つの単位としてその地域の医療を考えていく方法もあると思いますね。

市長 そうですね。合併効果というか、そういう意味でのスケールメリットをどう生かせるかということもあると思います。

勝山 少しずつ進み出してはいますよ。例えば、岡谷市では塩嶺病院と岡谷市立病院とが経営的に統合されました。でも同一の経営母体なのに統合できない例もたくさんありまして、なかなか難しい問題ですね。可能ならば中核的な機能を持つ病院から地域の小さい病院に医師を派遣するとかいうことが、経営母体を超えてもできるようになるといいですね。

現状を知ってもらう努力が必要

市長 長くなりましたが、医療を受ける患者側として、県のお立場で感じていることがあれば、最後にお話いただきたいと思います。

渡辺 最近、病院志向がすごく強くなつていると感じています。統計的に見ても、何でも病院へという志向が強いです。やはり身近でかかれて相談できる家庭医というのか、主治医というのか、それをぜひ持って欲しいと思います。そこで、解決できる治療が結構ありますからね。
 今は、どんな症状でも病院へかけ込むようを現状がありますから、そういうことを少し気にするだけでも、だいぶ病院の医師の負担は和らぐと感じています。

市長 そのいい例として、小児初期救急センターという場があると思うのです。夜、一定の時間をセンターに交替で勤めていただくことによけ、先生の負担軽減が図られ、長野病院側のそれも実現し、利用者の評価も高い。同様に、機能分化というか、初期の段階と高度な医療という違いを私たちも認識していかなければいけませんね。
勝山病院長、最後にお願いします。

勝山 そうですね、これはなかなか難しい問題ですよね。日本の場合、開業医も医療機関もそれぞれ独立した企業体ですからね。
 それと医療機関側からの情報発信も極めて少なかったと思います。今の医療機関が置かれている状況について、もっと知っていただく必要があると感じています。また、我々も知っていただく努力を怠っていたの
かなとも思います。
 いよいよ地域医療が立ち行かなくなって、住民の方から困るという話が突然浮上してきています。大学病院にいるものとして、我々がもっと早くこういう状況をお伝えすべきだったと責任を感じています。
 それから、日本の医療費はGNP比でアメリカの半分ですから、アメリカではこうだからという例えは通用しません。ですから、限られた医療資源の中で、どの程度を医療として提供できるかということを、一般の方、特に行政機関の長の方に理解を深めていただきたいと思います。

市長 非常に幅広い視点で、勝山病院長、渡辺衛生部長にお伺いすることができまして、大変有意義でした。いずれにしても、今後、上田地域においても各自治体が共同、協調しながら、限りある医療資源をどう機能分化あるいは連携させるか、この辺が今日のポイントだったと思います。本日はどうもありがとうございました。

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上田広報誌 3月1日号発行 特集 これからの医療とは 第1部

2007-03-01 05:36:55 | 新聞記事
上田広報誌 3月1日号発行 記事掲載
 
 上田市で発行している上田広報に特集カラー8ページで、「これからの医療とは」をテーマに座談会が開催され、その内容が事細かく掲載されました。長野県の現状と、信大の今進むべき方向、そして上田市への提案が満載の記事となっていました。私たちがこれからの地域に望むもの、そして、私たちがこの地域で安全にお産や子育てができる心構えなど話し合いをもったとしても、行き着くところは「長野病院の医師の充実と対応」になってしまいます。
 私たちが福祉部にたびたび顔を出しお話を伺っても、なかなか方向性を示してもらえず、市議会の答弁等を見ながら、市としても大変困った状態だということを理解しました。しかし、市民、私たち母は、それを知る手段がありません。何度も何度も「今の長野病院と上田市の実状を市民に伝えて欲しい」と要望。医療シンポも3回進めると公言していながら、一回限りとなっていました。しっかり口を閉じてしまった貝のような状態でした。
 今回の広報で、はっきりとした上田市の方向性は見えないまでも、市民に大きな意思表示をしてくれたこと、嬉しく思います。ここには掲載していませんが、医療体制のシステムや、医療スタッフの人数なども図で分かりやすく解説してあります。
市の願いは、「今の実状を知って欲しい」「市民にも理解してもらい」私たちが可能な「家庭医をもつ」ことや、近くで信頼できるお医者様や相談できる方と各家庭で連携をもち、その上で高次医療を必要としている人に正しく利用していただきたいということを理解しました。
私たちが、強い妊婦であったり、見守れる強い母であるよう努力が必要です。
全国的な医師不足、「どう魅力をもってこの地域に医療スタッフがきてくれるだろうか」がテーマ。私たちができることは、 私たち母が子供が病気の時、どう動くべきか どう手当てしたらいいかという判断力の学習と、それを相談できる家庭医や、地域でのネットワーク・家族をもつということだと思いました。 
  パム saito  
 


 
特集 これからの医療とは

特集●座談会
これからの医療とは


特定の診療科の全国的な医師不足の影響を受け、私たちの地域も医療に大きな課題を抱えています。
しかし、それは地域を越えた広い視点で解決の方向を探らなければなりません。
そこで、安心して医療を受けられる体制を構築していくための機会にしたいと、このほど信州大学附属病院長の勝山努さんと県の衛生部長の渡辺庸子さんを招き、母袋創一市長との座談会が開かれました。

長野県衛生部長
渡辺庸子さん
松本市出身。昭和48年3月に新潟大学
医学部を卒業。同年6月、県職員に。
各地区の保健所長などを歴任し、平成
18年11月から現職。地域医療の課題解
決や、県民の健康維持向上にまい進し
ています。

信州大学理事医学部附属病院長
勝山努さん
松本市出身。昭和42年3月、信州大学
医学部を卒業、信州大学附属病院に勤
務。外科病理学、臨床検査医学、遺伝
子診断を専門に活躍し、平成15年7月
から病院長。地域医療を担う医師の育
成や、高度先端医療の現場で陣頭指揮
しています。

◎第1部 医療の危機

県下共通の悩み
医師不足の現状


市長 今日の座談会のテーマである地域医療ですが、県下各地に共通した悩みが多くありまして、市長会の定例会でも、多くの市長から県に要望が寄せられました。そういう状況の中で私が感じている地域医療の課題は、一つ目に医師不足、二つ目は救急医療、三つ目が医療制度についてです。
 わが上田地域においても、公立、私立を問わずに多くの病院で医師不足が生じていて、難儀をしております。そこでまず、県全体の医師不足の状況について、渡辺衛生部長にお伺いします。

渡辺 長野県の医師数は、平成16年の統計では人口10万人に対して181・8人です。全国平均は201・0人ですので、19・2人少ない状況で、47都道府県の中で35番目という医師が少ない県です。
 多くの病院関係者から医師を確保して欲しい、派遣をお願いしたいと言われていますので、いったいどれくらいの求人があるのか調べてみました。その結果は、県内に138箇所ある病院の約6割が医師不足で、全体で327人の求人があることが分かりました。これが、長野県で足りない医師の数といっていいと思います。
 県内でこれだけの医師を確保することは難しいですから、いかに他県から来ていただくのかを考えない限りは、長野県の医師不足は解消できません。しかし、医師不足は全国的な傾向ですから、各県が医師を奪いあっているような状況です。

市長 327人とは、すごい数字ですね。大きな課題であるということをつくづく感じます。

大学病院を取り巻く環境の変化

市長 そういった状況で、病院が医師をどこに求めるかというと、まず地元の信州大学医学部へ、ということになるわけですが、大学病院の現状について、勝山病院長にお請いただきたいと思います。

勝山 これまで大学病院は、医学部の学生の教育だけでなく、伝統的に医局と言われる制度の中で専門医師を養成してきました。加えて、看護師や臨床検査技師、理学療法士や作業療法士も養成しなければなりません。 
 また、そういった医師を含めた医療専門職を養成するために一般的な医療を行いながら、研究機関として高度先端医療の分野も担っています。
 そんな中で、県内唯一の医学部附属病院として地域医療にも責任を持たなければならないし、さらに、最近では国の行政改革の一環で独立行政法人として経営的に自立しなければならなくなりました。
 大学病院が経営的に自立するということは、公立病院や民間病院と競合的な環境に置かれているということです。競合状態に置かれながら、そこへ医師を派遣するように求められるという、極めて矛盾した状況に置かれています。

専門医養成の機能が不透明に

勝山 医師一人を養成するのには、10年ぐらいの期間と数千万円の経費がかかると言われていますが、その経費の多くを大学病院だけで担っていて、派遣される側の病院や行政機関は一切負担していません。
 このような制度的な環境の変化があったにもかかわらず、地方国立大学附属病院の果たすべき医師養成機能が、あいまいなままになっているのです。というのは、その医師養成機能に対して財政的裏づけが十分に保障されないまま独立行政法人化されて、民間病院や公立病院と競合し、さらに国全備の国立大学附属病院と競争しなければならない環境に置かれているということなのです。
 このことによって、今まで伝統的に大学病院の担ってきた医師養成機能が今後どうなるのか、現段階では不透明と言わざるを得ません。その不透明感が、大学病院の医師養成機能を低下させてきています。

市長 大学病院の大変厳しい実情と、医師養成機関としての位置づけが不透明になつてきているとのお話でした。

産科、小児科はかなり深刻

市長 次に、診療科目によっても、お医者さんが目立って不足している問題があると思います。
 例えば、依然として上小圏域ではお産を扱う産科が四つしかありません。この医療機関で、年間1800から2000人のお産を担っていかなければならないのが現実です。18年度において上田市産院は、700件を超えるお産を担う見込みですから、数年前の400件台から一挙に増えてきたということです。
 そこで、県内の産科、小児科の医師不足の状況について、渡辺衛生部
長にお伺いします。

渡辺 産婦人科、小児科の全体の医師数は、長野県は全国平均から比べてそれほど少ないわけではないのです。ただ、同じ産婦人科でも、お産を取り扱う医師が年々減ってきています。特に、上小地域は産婦人科も小児科も、人口当たりの医師数が県平均、国平均に比べるとかなり少ない状況です。この減少は、全国的な傾向ではありますが、子どもを安心して生んで育てる機能が本当に低下してきているということで、非常に心配しています。


労働環境の悪化が要因の一つ

市長 産科、小児科の医師のなり手がいないと最近よく耳にしますが、このことについて勝山病院長はどのように見ておられるのでしょうか。

勝山 様々な要因が働いているので、一概に言えないとは思います。個人的な印象ということになってしまいますが、一つは保険医療制度の矛盾かなと思いますね。今の日本の診療報酬は、各診療科に著しい偏りができないような形で設定されている面があります。つまり、産科医や小児科医が不足しているからといって、その診療報酬が大幅に引き上げられるようなことはめったにありません。
 現在、不足と言われている診療科については、今後報酬の面でも手厚い措置をするなどのインセンティブを与えないと、医師を増やす方策は多分ないと思いますね。医師も医療という特別な仕事に携わっていますので、それなりの使命感は持っていますが、特別な人間ではないのです。
 それからもう一つは、労働環境というのが大きいですね。仕事がきつい診療科が、だいたい医師不足に陥ってきています。

渡辺 悪循環になっていますね。労働条件が悪くて耐えられなくなった人が病院を辞めて開業してしまって、残された人たちが余計に過重労働に陥っています。その割には、給料が比較的余裕のある診療科と同じなので、「自分たちはこんなに働いているのに、なぜ同じ給料なの」というような不満を持っていることがありますよね。

勝山 医師不足と最近言われるようになってきましたけど、医師が不足しているのではなくて勤務医が不足しているのです。
 それからもう一つ申し上げたいのは、長野県では医師だけではなく医療人不足だということです。看護師も助産師も医療にかかわる事務職貝も不足しています。勤務がきついという中でも、医療にかかわる医療チームが充実していれば、医師の負担はかなり減ります。医師の医療以外の業務が、すごく増えているのです。

渡辺 書類を書く作業がすごく増えています。証明書も以前の比ではないですよね。

勝山 生命保険の証明書も、すごく多いですよ。それから、大きい病院になればるほど、医療安全とか、院内感染とか、この役割がものすごく大変です。つまり、患者さんと直接対面して診断や治療に当たる以外のことが、ものすごく増えていますね。特に著しいのが、小児科や産婦人科なのだと思います。あと長野県で深刻な問題は外科医ですね。

渡辺 今度、問題になる診療科は外科ではないかと言われていますよね。

市長 どういうことですか。

勝山 外科医が今、重大事態になっています。全体的に言うと、医師の勤務環境が非常に劣悪になってきているということです。医師の業務量がものすごく増えてきています。

渡辺 それを放っておくと、地域医療が崩壊してしまいますから、いかに防ぐかが私たちの仕事でもあるのです。
 今、県でも産科・小児科医療対策検討会を設置していまして、緊急避難的な対策ではありますが、一人二人でぎりぎりに働いていた医師たちをある程度集めて、周辺の病院と連携を取りながら医師が過労に陥らな
いような方策を考えています。

勝山 選択と集中という流れが、生まれてこざるを得ないということだと思いますね。

県内医療機関の多くが経営危機に

勝山 もう一つ、ぜひ市町村長に分かっていただきたいのは、長野県の医療費の問題です。一人当たりの老人医療費は、全国最少でしたよね。

渡辺 最下位ですよね。国民健康保険の医療費も年齢構成で調整すると低いほうで平成17年度は33位です。

勝山 つまり長野県全体の医療費が小さいのです。結果的に何が起きているかというと、長野県内の医療機関の多くが経営危機状態ということなのです。これは皆さんによく認識していただかないといけませんが、トータルの医療費が少ないのに医師の数を平均以上にしようというのは無理です。その中で、さらに「経営を改善しなさい」と圧力をかけられて、どこまでこの庄力に耐えられるかが現実の姿だと思います。本当に深刻な事態だと思いますね。
 多くの市町村長が、まだ経営効率化の余地はかなりあると幻想を持っ
ているのだと思います。元々公的な性格を持っている病院は、非採算部門をたくさん持っていますよね。

市長 政策医療的な意味合いもありますものね。

渡辺 簡単に言えば、「これくらいの赤字だったら仕方がない」という線がやはりあるのだと思います。しかし、公立病院、公的病院としては、その範囲で収める努力はしていかなければいけないですよね。

勝山 努力は必要ですが、ただそれは十分医療の現状を理解した上でやっていただかないといけないと思います。もう一つの問題は、多くの市町村に病院の経営能力がないということですね。その要因の一つとして、公立病院では、昨日まで全く別の職場にいた人が突然事務長になって、経営改善をしなければならないというようなことがあります。それでは何をすればいいのか分からないですよね。
 結論として何を申し上げたいかというと、公的病院を抱えている市町村としては、自分たちがどの程度の医療の質と量を求めているのか見定めていただいて、そのために最低限の投資を覚悟していただきたいということです。財政難だからお金は出せないが質と量は維持したい、というのは不可能です。

集約や連携による対処を広域で

市長 地域によって医療資源や状況が違う中で、財政的とか医療の在り方の目標設定について、地域内の合意形成を図らなければ話は進んでいかないということですね。
 先ほど渡辺衛生部長が言われた集約化と重点化ということですが、今、検討会で議論されているということですね。その辺も含めて、今後の計画などをお話いただけますか。

渡辺 産科・小児科医療対策検討会の提言は、3月中には出てくると思いますが、実質的にはもう大学の医局人事が動き姑めますので、4月からはある程度の動きが出てくると思います。
 例えば、この地域のこの病院の小児科医がいなくなるかもしれないとか、産婦人科医が他の地域の病院へ集約されるかもしれないといったことが、県内のいくつかの地域で出てくる可能性がありますね。そういう時に、総論賛成各論反対を言っていたのではうまくいきません。
 この現実を受けて地域としてどう対応していくのか、市町村長をはじめとして地域の医療関係者が知恵を絞っていただいて、より良い医療の提供を地域ごとにやっていただきたいというのが一つの願いです。

市長 その地域ごとということですが、例えば、上田地域の中では、中核的病院として長野病院があり、この充実をどうするのかが大きな課題であると思います。しかし、上田地域も上小という単位だけでなく、さらにその周辺の市町村の住民の方が、症状によっていろいろな病院に行かれる状況があります。そういう中で、地域の合意形成においては、単独の市町村がまとめるのは難しいですから、県の役割が重要であるとかねがね強く思っています。
 例えば、中核的病院をどうするかという視点でも、それぞれが自治体立病院を持っていますから非常に温度差があります。ですから、今日の様々な課題についてどう市町村が取り組めるのか話し合うときに、県の立場でも協力をお願いしたいのです。

渡辺 県として努力するつもりです。新年度に向けて、そのための予算も計上してあります。

市長 その辺はぜひお願いしたいと思います。

第二部 今後の目標へ

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