ハリーの「聴いて食べて呑んで」

日々増殖を続ける音源や、訪問した店、訪れた近代建築などの備忘録

十三代目 市川團十郎白猿襲名披露巡業「祝成田櫓賑」「口上」「河内山」@名古屋市・愛知県芸術劇場大ホール

2024年09月27日 | 歌舞伎・文楽

十三代目 市川團十郎白猿襲名披露巡業「祝成田櫓賑」「口上」「河内山」(9月20日・愛知県芸術劇場大ホール)

十三代目市川團十郎の襲名披露巡業公演で愛知県芸術劇場へ。歌舞伎の大名跡ということもあって令和4年から続いている襲名披露興行。全国を廻るのはこれで3回目だそう。以前は2月の御園座での公演に参加した。口上も入るので2月と比べて演目としてはちょっと寂しい気もするが、今回の演目「河内山」は團十郎家の歌舞伎十八番や新歌舞伎十八番ではない演目というのが興味深い。今回は新之助の出演は無し。チケットは随分前に入手していたので忘れていたが、2列目・花道七三(見得をする場所)の真横というなかなかの席。

入場すると、どーんと三枡(團十郎の紋所)の入った幕が下がっている。この会場は4階席まであるのだが、さすがに名古屋2回目の襲名披露公演とあってかあまり客入りは良くなく、2階席もまばらでちょっと寂しい感じ。

まずは右團次と九團次が鳶頭を、廣松が芸者を演じる「祝成田櫓賑」。題名の通り襲名を祝う内容で、人気役者の團十郎を観に行く途中で茶屋で留められる情景を芝居にしているので、もちろん團十郎を贔屓にする台詞や祝言が出てくる。右團次の独特の口跡に拍車がかかっている気もするが、やっぱりこういういなせな役柄がよく似合っていてかっこいい。自分の席が花道の七三の真横なので九團次が振り回す棒が当たるかと思って避けてしまった(笑)。

引き続きご当人、十三代目市川團十郎白猿と梅玉による口上。梅玉は團十郎の襲名披露公演に全部同行出演しているのだとか。梅玉がしゃべっている間、顔を伏せている團十郎は含み笑い。もう何度も何度も繰り返した口上だけに詰まったりすると笑っちゃうんだろう。團十郎は名古屋の思い出として父(十二代目)と通った御園座近くの「香蘭園」の餃子の話を(笑)。役が人を成長させるのだろうが、貫禄が増し体躯から滲み出す圧が強い。

幕間を挟んで「天衣紛上野初花・河内山」。團十郎が河内山宗俊を演じる。自分は橋之助(現・芝翫)で見たことがある演目。この形での初演は明治14年(1881年)だそう。自分の先祖が150年前に何をやったかが全部分かっているという家系に生まれるってどんな気分なんだろう。演目には”質屋”とか”茶坊主”という言葉が出てくるが、現代のそれと意味合いが違うので、この辺りを混同してしまうと話の背景が分かり辛くなる。イヤホンガイドではもちろん説明があるだろうが、歌舞伎は事前にちゃんと話の筋を予習していくことが必要(→舞台では九團次が現代語で説明していた)。この河内山という役も、茶坊主と言いながら将軍に面を通すことも出来る、言わばフィクサー。善悪併せ持つクセのある人物だ。これがどうして歌舞伎の演目として人気が出たのか分からないが興味深い。團十郎が花道に来ると目の前で見上げる形になる。台詞の前の小さな咳払いや額の汗、息遣いも分かって迫力が違う。狙って取った訳ではないが、やんごとなき人達はいつもこんな席で観ているのかァ(笑)。

 


 

一、祝成田櫓賑(いわうなりたしばいのにぎわい)

鳶頭     右團次
鳶頭     九團次
芸者     廣松
芝居茶屋亭主 市蔵
     
二、十三代目市川團十郎白猿襲名披露 口上(こうじょう)

海老蔵改め團十郎
     幹部俳優出演

河竹黙阿弥 作
天衣紛上野初花

三、河内山(こうちやま)

河内山宗俊  海老蔵改め團十郎
高木小左衛門 右團次
宮崎数馬   廣松
腰元浪路   莟玉
桜井新之丞  九團次
北村大膳   市蔵
松江出雲守  梅玉

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竹内酒造 @岐阜県大垣市

2024年09月27日 | 岐阜県(西濃・老舗)

酒造の直売所は平日しか開いていないことが多いのでなかなか買う機会を作れない。こちら岐阜県大垣市の竹内酒造(創業は延享元年・1744)も同じ。この日はたまたま土曜だったので開いていた。この機を逃すまいと付近をウロウロして駐車場を探すも見つからない。仕方がないので店の横の道に一時駐車して店に入った。風格ある店内の棚に整然と酒瓶が並べられている。普段なら最初に購入するのはその酒造の代表銘柄の普通酒だが、この日は暑かったせいか綺麗な水色の瓶に目がいった。購入したのは”夏酒”と書かれた代表銘柄「美濃紅梅」の純米吟醸生貯蔵酒(訪問7月末)。

家に持ち帰って冷蔵庫に入れ、冷やしてからいただくことに。ラベルには鵜飼いの様子が描かれている。ガラス製のぐい吞みに注いだ酒は吟醸酒らしくすっきりとした口当たり。最近はいやらしいほどの吟醸香のするものもあるが、こちらはそんなことなくすいすいと喉を通っていく。ま、冷やしているので酒本来の風味とかは味わいづらく、特徴が出にくいのでどれも似たような感想になってしまうのは仕方がないところ。食中酒としていただいたが、日中気温が高かったこともあってつい何杯も冷たい吞み口の杯を重ねてしまう。4合瓶だったので一晩でほとんど無くなってしまった。反省。次は「美濃紅梅」の本醸造か、「大垣城」の純米酒を買ってみよう。(勘定は¥1,650)

 

 

武内酒造 (武内合資会社)

岐阜県大垣市伝馬町1

 

( 大垣 おおがき 酒造 酒蔵 たけうちしゅぞう 武内酒蔵 美濃紅梅 大垣城 一滴千山 日本酒 吟醸酒 )

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