ハリーの「聴いて食べて呑んで」

日々増殖を続ける音源や、訪問した店、訪れた近代建築などの備忘録

ルパン @東京・銀座

2015年01月27日 | 東京都(老舗)

数多ある銀座のバー。その中で一番古い店のひとつと言えば「ルパン」。創業は昭和3年(1928)というからすごい。現在の建物は昭和49年(1974)に建て直されたものだが、内装は全て開業当時のものを移設したとのこと。著名な文化人が集まるバーとしても知られていて、いろいろな本や雑誌に取り上げられているので、以前からずっと名前は知っていた。今回の上京では思い切って訪問してみることに。場所は知っていたつもりだったが、夜に近辺まで行ったら迷い、携帯電話で地図を見る羽目に。みゆき通りから入った路地にその看板はあった。有名な照明看板の下には扉があるだけ。もちろん中の様子は分からない。少々緊張して扉をあける。

明かりが灯されていて、地下に続く階段が見える。白い塗りの壁は長い年月、人に触れられて黒ずんでいる。なんだか「秘密結社」なんていう言葉が頭に浮かぶゾ(笑)。階段を折れるとやっと中の様子が分かった。すでに大勢の人が腰かけていて、カウンターの一番奥の空いた席に案内された。低い天井の店内を進み、風格あるカウンター前のスツールに腰かける。そのすぐ横にフレームに入った写真が飾ってあったのだが、その席がまさに、かの有名な太宰治の腰かけていた席(↓下の写真・林忠彦:撮影)だった! 自分は特に太宰のファンでも何でも無いのだが、さすがにこのかっこいい写真は前から何度も目にしていたので、偶然を素直に喜んだ。壁もカウンターもスツールも写真のまんま。

さほどカクテルには詳しくないので、いつもよく呑むモスコー・ミュールを注文。やっと周りを見回す余裕も出てきて、老舗らしい煤けた暗い店内を観察する。カウンターの後ろにはボックス席もある。店内の雰囲気は意外にもざっくばらんとしていて、賑やかなグループ客なんかも居て、特に緊張を強いられるような空気や排他的な雰囲気はない。自分の前のバーテンダーは高齢の女性だが、しっかりと背が伸び、慣れた手つきで注文をこなしていた。その女性によって目の前に出されたモスコミュールは、定石どおり銅のマグカップに入れられていて、ゴロっとしたレモンが浮いている。ジンジャーエールは甘くなく、ドライな味わいで旨い。お通しは胡瓜のピクルス。のんびりとしていたら、隣の紳士から「煙草吸ってもいいですか?」と訊かれる。どうぞ、どうぞ。ここはバーだもの。でも、こうやってバーでも気を使って訊かなくちゃならないほど愛煙家は肩身の狭い思いをしているんだなァ。気の毒…。1杯呑み終わる頃、だんだん店が混んできたので席を立った。来てみてよかった。(勘定は¥2,000程)

 ↓ お店のカードに描かれた看板と同じイラストと、店のマーク

 

バー ルパン 

東京都中央区銀座5-5-11 B1F

(銀座ルパン バールパン Bar Lupin 銀座バールパン ルパン 太宰治 林忠彦 文壇バー)

 

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