ハリーの「聴いて食べて呑んで」

日々増殖を続ける音源や、訪問した店、訪れた近代建築などの備忘録

全身全霊 ~Life To Soul~ / 泉谷しげる

2014年08月15日 | ロック(日本)

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全身全霊 ~Life To Soul~ / 泉谷しげる (1996)

1996年に発表された泉谷しげるの編集盤。過去の曲やカヴァー曲の単なる寄せ集めではなく、新録音とライヴ音源で構成されていて、書き下ろした曲1も収録されている。プロデュースは長年の相棒・吉田健で、ブックレットには短文も寄せている。ルーザー(The Loser)期の11を除く、2、5、9、12がライヴ録音で、95年渋谷公会堂での録音。他は96年のスタジオ新録音。基本のバンド・メンバーも吉田建の他に、村上’’ポンタ’’秀一、藤沼伸一他と勝手知ったる仲の面々。

歓声が入るライヴ録音曲と、スタジオ録音曲との差が大きいとアルバムとしてのまとまりが悪くなるのが常だが、このアルバムに関しては歓声が入りこそすれ、その辺の差があまり感じられず、意外と統一感があるので聴く分には違和感はない。いわゆるフォーク期の泉谷の曲は、当時多くあったしみったれたような生活感あふれるフォーク曲とは世界を異にして、演奏スタイルこそフォークでも、一筋縄ではいかない都会の孤独を唄うような曲が多かったので、彼自身も一流のバンドスタイルでやり直したいという気があったのだろう、ルーザー期以降のライヴでは盛んに取り上げるようになっていた。

こうして聴いてみると、テレビなどでは暴れん坊のイメージのある泉谷がどれだけ繊細で、サービス精神が旺盛で、ちょっと独特な言葉選び(遊びか)の才能があるかをよく知ることができるんじゃないか。まぁ、それを美談に仕上げようとは思わないが、泉谷をそうしたイメージだけでしか知らない人には、なぜ泉谷が若いアーティスト達とも接点を持ちつつ、音楽界で生き残っているかがわかるんじゃないかと思う。自分はルーザー期の泉谷が大好きだったのでもちろんなのだが、このアルバムを聴くと、泉谷自身もルーザー期にはかなり思い入れがあるんじゃないかなと感じる。ただ(泉谷のフェイヴァリットなのだろうが)2、7、9、11のようにどうしてもいつも同じ選曲になってしまうなァ。

オークションにて購入(¥638)

  • CD (1996/7/24)
  • Disc: 1
  • Label: ビクターエンタテインメント
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