不動産事業を営むA社が、約1億8000万円を貸し付けていたB社に返済能力が無かった為、B社所有の土地(時価約7000万円)を1億8000万円で買い取り、債務を相殺しました。
さらにその土地を第三者に販売した際、買取り価格である1億8000万円を売上原価に計上し法人税の申告を行いました。
税務署はこれに対し「買取り価格と時価との差額である約1億1000万円は売上原価として損金に算入することは出来ない」として更正処分をしたため、A社はこれを不服として提訴したものです。
裁判でA社は「B社に対する債権を放置すれば、利息負担などにより大きな損失を被ることが明らかであった」と主張、時価との差額の寄付金性を否定しましたが、
東京地裁は、棚卸資産(A社は不動産会社である)の高額譲受けのケースでも、時価との差額は買い主から売り主に対する経済的利益の無償の供与であり、寄付金と評価されることもあり得ると指摘。そのような場合、時価との差額は売上原価とは異質なものと言わざるを得ず、時価との差額を損金に算入することは出来ないと判断。A社の請求を棄却しました。
土地は売り手、買い手、諸事情によりその取引価格は変動しますが、合理的な説明が出来るという事が必須ですね。