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借入金で取得した不動産の評価で控訴棄却

2020年08月06日 | 税務・会計
今年度の路線価価格も7月初めに公表され、今年度の相続について土地の評価額が算定できることとなりました。
ところで路線価については1月1日の時点で評価されるため、今年度については新型コロナの影響により地価の大幅な下落があった場合には、国税庁において10月以降に路線価の減額調整する「補正率」の設定などを検討するとの事となりました。もちろん軽微な下落にとどまればそのまま今回発表された路線価価格が生かされることになるでしょう。
この事から分かるように相続税計算のもととなる財産の評価は時価を超えないように設計されています。(ちなみに土地の評価額である路線価は時価の8割程度と言われています)

本件では、不動産業を営む会社の代表であった被相続人が銀行から約10億円を借り入れ、生前(2年6ヵ月前及び3年5ヵ月前)に賃貸用不動産を取得。相続開始後、相続人は本件不動産を評価通達に基づき評価し、借入金を債務控除するなどして相続税をゼロで申告した。
これに対し税務当局は財産評価通達6項(この通達の定めにより評価することが著しく不適当と認められる財産の価額は国税庁長官の指示を受けて評価する)の規定による鑑定評価額で更正処分をし、裁判所は1審2審とも税務当局の主張を支持しました。
平成7年度までは、相続開始前3年以内に取得した不動産については取得価格で評価するという規定がありその後廃止されましたが、この6項規定により租税回避行為は勿論、評価通達によって申告したものについても不合理であるとされるものは否認されることとなりました。
誰でも税金は安いほうが良いですね、でも即効性の節税法なんてありません。「結果的に税金安く上がったね」というくらいで良いのではないでしょうか。