kazuフォトローグ

「徒然なる日常」を写真で語ります。

アナログからデジタルへの移行~印象派を超えて点描の画家たち

2013年11月07日 | アート
分割主義なんて言葉知らなかった。
絵は感性で描くものだと思っていた。
モネ、スーラ、シニャック、ゴッホ、モンドリアン…
これらの画家達が、表現方法で互いに影響を受けていたとは。

六本木・国立新美術館へ、オランダ・クレラー=美術館所蔵作品を中心にした
「印象派を超えて点描の画家たち」を見に行った。
ゴッホの絵が見られるというだけで、何の前知識を持っていなかった。

点描派なんて、よくもこんな点を使った緻密な作品を描いているものだ、
となかばあきれ返って見ていた。
それが、ちゃんと印象派の色彩理論を取り入れた表現だったというのだ。
日本でいえば、明治初期のころだから驚く。

スーラは、色の三原色(RGB)を、広がりのある、これまでの色層から、色点を併置する表現に変える、いわばアナログから現在のデジタルへの変換を試みた。
これを分割主義とも言うそうだ。
気の遠くなるような作業である。

ミレーに影響を受けたゴッホは、はじめの頃、暗い色調の絵だったが、点描派の技法を試みるようになると、タッチも色使いも変わったようだ。

会場の解説には、点描は忍耐と冷静さが必要で、ゴッホの気性には耐えられなくなった、とあった。
なんだか分かるような気がする。
それ以降、点描技法を独自の表現法に変えていった。

夕陽を背にした「種まく人」は、ミレーのモチーフだが、まったく別物になっている。
この、荒々しい絵具の重なりと、エネルギッシュな躍動感が好きだ。

しかし、静の表現のスーラと動のゴッホがつながっていたとは…
カメラ爺は、あらためて絵画の奥深さを感じさせられてしまった。