たゆとう小舟の・・・☆

近所の美しい場所、日本の美しい場所をいっぱい見て歩きたい♪

『赤猫異聞』読了。

2013年09月01日 | この本!この一行!この歌詞!
浅田次郎先生の『赤猫異聞』読了。

↑・・・なんか表紙が怖い感じだし
 『赤』だし『猫』だし、意味わからんしで
 購入後、ほったらかしてた本である・・・
 (浅田先生ごめんなさい・・・)

・・・・・傑作だ!!!
大好きな『壬生義士伝』に続く第二弾だ!!
読み始めてから一気に読んでしまいました!!

数ページ進んだところで
「これって『三人吉三』じゃないかねえ・・・」
・・・って思わず、勘三郎さんを思い浮かべてしまった(涙)
(物語終盤にて、やはり『三人吉三』が出てきました♪)

随分前に、勘三郎さんのエッセイかなんかに
「浅田先生に歌舞伎をなにか書いてくれてとお願いしてて・・」
・・・いや、ちがう・・・
浅田先生のエッセイに「頼まれて・・」と書いてあったのかな?
どっちだか忘れたけど、この内容は確か!!

・・・もう
その話が頭の中でぐるぐる・・・

そのお約束の『本』なんですかっ?!
浅田先生っ!!・・・と心の中で叫びながら読んでしまった・・。

コクーン歌舞伎の『三人吉三』の
大雪がどっかんどっかん降る映像が
このお話を読みながらも、つねに頭を離れない・・・。
物語の季節も『冬』だったし・・・。
物語は全然違う話なんだけど・・・(こちら映像♪)
神仏のご加護の下、この三人のもう一つの『バージョン』的な
感じで涙・涙で読み進めてしまった私は
『三人吉三』ファン♪(・・好きです。この話・・と言いつつ忘れてるけど)

とにかく、そんなこんなで
読みながら、勘三郎さんと橋之助さんと福助さんの三人で
頭の中で映像化されて物語が進む・・・

・・・のも、我ながら面白かったけど

最後のどんでん返し・・・っていうか
ラスト2ページの物語の締めくくりの重さに
涙を流させていただきました・・・(涙)

『雪ぐ』という文字がでてくるんだけども
『雪ぐ』・・・という字が『雪』なんだねえ・・・・に
またしても
『三人吉三』のあのラストの大雪のシーンを思い出すとともに

またまた吉野弘さんの『雪の日に』の詩を思い出してしまい
紐解く私・・・(涙)

雪の日に 吉野弘    

 雪がはげしく ふりつづける
 雪の白さを こらえながら

 欺き(あざむき)やすい 雪の白さ
 誰もが信じる 雪の白さ
 信じられている雪は せつない

 どこに 純白な心など あろう
 どこに 汚れぬ雪など あろう
               
 雪がはげしく ふりつづける
 うわべの白さで 輝きながら
 うわべの白さを こらえながら
 雪は 汚れぬものとして
 いつまでも白いものとして
 空の高みに生まれたのだ
 その悲しみを どうふらそう

 雪はひとたび ふりはじめると
 あとからあとから ふりつづく
 雪の汚れを かくすため

 純白を 花びらのように かさねていって
 あとからあとから かさねていって
 雪の汚れを かくすのだ

 雪がはげしく ふりつづける
 雪はおのれを どうしたら
 欺かないで 生きられるだろう
 それが もはや
 みずからの手に負えなくなってしまったかのように
 雪ははげしく ふりつづける

 雪の上に 雪が
 その上から 雪が
 たとえようのない 重さで
 音もなく かさなってゆく
 かさねられてゆく
 かさなってゆく かさねられてゆく


↑・・・そのまんま、物語でございます・・・・・と、
 思うのは私だけか!(笑)
 吉野先生の『詩』も素晴らしすぎる・・・・。
 
 いやしかし、素晴らしい作品には普遍的に通じる
 『何か』があるのでございますよ・・・。


・・・通りすがりの
なんでもない人の言葉やしぐさが
忘れられなくなったり、たった一言の言葉や
肩に置いてもらった掌一つで・・・・
運命が変わるってことも・・・・
あるんだろうな・・・

どの一行も素敵な『本』でございました・・・・。
心の『小箱』へ収納本♪

やっぱり好きです♪浅田先生・・・・
題名見てなんだか読む気になれず・・・・・
放置していた自分を情けなく思います・・・(笑)!


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