川崎和男がデザインしたものは高いと世間でよく言われますが、
僕は、手がけたメガネにしても、10万円以上のものは作ってません。
理由は単純明快。そこまでのモノではないからです。
10万円する陶器を見た時に、僕のメガネは勝てていないんです。
例えば、50万円の軽自動車があるとします。
その横に50万円の腕時計があるとします。50万の腕時計というと、結構な時計ですね。
これらを見比べた時、僕は圧倒的に軽自動車が負けていると思います。
50万円の腕時計をしてる人間と、50万円の軽自動車に乗っている人間とでは、
とても単純な言い方ですが、どっちがセンスがいいかに見えると思いますか?
ヨーロッパの高級レストランでは、カメラでパチパチ撮影するのは禁止されていますよね。
例えちょっとした記念撮影でも。
ただし、ライカのカメラで撮影するのはOKなんですよ。キャノンやニコンはまだダメなんですよ。
この事実を日本人はあまり知らない。
そして、日本のカメラメーカーも知らなさ過ぎる。
だから、僕は「カメラのデザインをやらせてくれ」って言ってるんですけどね。
ひとつも話が来ないですね(笑)。
陶器でも50万円するものは、
それだけ素晴らしいからその値段がついているわけです。
でも、日本には悪しき慣習がまかり通っていて、
デパートが日展などの名のある作品展を通った作家を囲い込んで、先生呼ばわりしてしまう。
そして、一気に値段を吊り上げる。
このブランド化のビジネスの方程式はダメですね。
人間国宝でも、あの作品はダメとか、あの作品は素晴らしいとか、
ちゃんと見る目を養わないといけない。
見えてる人は見えてるのに。
僕は陶磁器で300万と言われても買えませんから、
陶磁器だったら、10万くらいが限度かな。
別にあの世に持っていけるものでもありませんしね
というか、比べてしまうんですよ、工業製品と。一応、工業製品を作ってますから(笑)。
僕が手がけた壁掛けの時計の「HOLA」が5000円くらいで販売されています。
iPhoneのアプリでは115円!
僕の出身大学の後輩の鋳物作家が作った鋳物時計は10万くらいする。
ユニットは同じものを使っていて、時計という同じものなのに、
値段にとんでもない開きがあります。
なんだか複雑です。
モノの価値観とは実に不思議な世界ですね。
今回、陶磁器について、たくさん話を書いてきました。
このブログを通して、普段使っている茶碗やお皿の見る目が変わり、
次の器を選ぶ時、これまでとは違った選び方をしてくれると、僕はうれしく思います。
ところで、日本の細川元首相が、
今じゃすっかり陶芸家になったのをみなさんは知っていましたか?
そして、米国の日本大使館に入ると最初に飾ってあるのが、九谷焼で
金沢美大先輩の作品です。
徳田八十吉(正彦)氏の作品です。
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