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されど鉛筆 1

2009-10-15 10:53:29 | 過去のBlog記事

まず、本題に入る前に、述べておきたい話があります。
私の大好きなアニメーションの「クレヨンしんちゃん」の作者である
臼井儀人氏が先月、不慮の事故で亡くなられました。
半年前にアップしたブログでも「クレヨしんちゃん」の溺愛ぶりを綴ったばかり。
ですから、訃報を知った時は、本当に落ち込みました。とても悲しいです。
今、自分自身を商品化して売り出すデザイナー、クリエーター、そしてマンガ家が多く見られます。
しかし、臼井氏の場合は、それを一切していない。あの潔ぎよさはすばらしい。
報道では、遺影や位牌すらもない葬儀だったとか。
本人は「夢を与える仕事だから」と頑なにこだわっていたんですね。
私もかつては、取材を受けずに、自分の姿を世間に公表することがありませんでした。
それでも「取材させてほしい」という声は多く届く。
それはなぜか?
取材の真意は、私が「車椅子のデザイナー」だから、珍しいということでした。
僕が作り出した作品の素晴らしさよりも、
ゴシップ的なことが話題の中心として捉えられているのは、どうにも不本意だったのです。
今となっては、私のデザインが認められるようになったので、
「作品について取材を」ということが主になりました。
かく言う私も、よく考えれば、自分自身をすでに作品化しています。
臼井氏のスタンスには敬意を払いたいと思います。
「クレヨンしんちゃん」の作家は亡くなってしまいましたが、作品は生き続けます。
また、山崎貴氏と以前あったとき、「これは内緒の話だけど、次の映画・・・・」ということで
やっと「BALLAD(バラッド)―名もなき恋のうた―」になりました。
実はこれは「クレヨンしんちゃん」のあの名作「嵐を呼ぶアッパレ!戦国大合戦」がヒントでした。
山崎監督もどれだけ悲しかったでしょうか。
「サザエさん」が好例でしょう。
あのように作家亡き後も、アニメーションは生き続けることはできます。
しかし、本当に作家が伝えたいことは、やはり作家の頭の中にしか存在しません。
ですから、今後もしも、しんちゃんが放送され続けることがあっても、
それはオリジナルであって、オリジナルではないのです。
臼井氏には、心からご冥福を捧げたいと思います。



では、本題に移りましょう。
今回のテーマは「鉛筆」です。
私はデザイナーという職業柄、筆記用具を手放すことがありません。
特に鉛筆とは、ほとんど物心ついた頃からの付き合いで、
結局、デザイナーというプロでもあるので膨大な数のコレクションもしています。
それは美大に入った頃から、さらに詳しくなりました。
入学するまでは、絵がとても下手で、
まともに絵の勉強をし始めたのは入学をしてからなんですよ。
講義でトレーニングを積んだ。というよりは、積まされた(笑)。
それが影響してか、今僕は、自分の生徒やスタッフたちには、
鉛筆に関して、ものすごくうるさく言うようになってしまったんです。
絶対に、シャープペンシルを使わせませんからね。



みんなは「たかが鉛筆にそこまでこだわるの?」と怪訝な顔をするかもしれませんが、
そのたかがのモノですら、手にすることができない国があることを意識したことはありますか?
現在、私が進めている「Peace-Keeping Design Project」では、途上国の子どもたちに
鉛筆と紙を届けようと企画そしてデザインを考案しています。
いくつもの企業や団体と交渉をしていますが、なかなか前に進まず、イラッとしていますが(笑)。
それはさておき、こうして「途上国に紙と鉛筆を届けるプロジェクトを!」と動いていた矢先、
ある映像を見たら、果たしてこのプロジェクトは正解なのかどうかを疑問に思ってしまったのです。
その映像は、チョモランマ周辺の国の話だったんですが、
ある地域に住む子どもたちは、学校に行く時に小さな黒板を持って登校するんです。
そして、登校途中、道端に落ちている小石を拾い、それを鉛筆替わりにして持参した黒板に文字を書く。
下校すると、その黒板を屋外に出しておく。そうすると、朝露が黒板の文字を消してくれるのです。
これはもう確立されたその国の文化だと悟りました。
ここに鉛筆を持ち込むことが、その国特有の文化を汚すことになるのではないかと思ったのです。
しかし、昨今、日本の生徒や学生たちの荒れっぷりを耳にすると、
勉強をしない子たちに筆記具のデザインなんかよりも
こうした途上国の子どもたちに普及させた方が
はるかにデザインの本質であり、未来のためになるのではないかと思ってしまいました。




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「クレヨンしんちゃん」のグッズに、
今、最も美しいと思っています。
カランダッシュの消しゴムつき鉛筆で
いかにもスイス製らしさがあり、
会議テーブル上にあれば、デスクトップとして
なかなかの「存在感」になるはずです。





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これは私デザインの鉛筆削りとロディアの鉛筆。
ロディアの鉛筆自体は、それほど質は高くないが、
メモ鉛筆としてのイメージが高い。
鉛筆削りはすでに25年もロングライフ商品であり、
MoMA・ニューヨーク近代美術館の永久収蔵作品。
750年の伝統工芸・「越前打刃物」火造り鍛造技術




さて、次回は、僕の鉛筆偏愛ぶりについて書きたいと思います。



* * * *
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