アクセスVISION

Webサイト『読書アクセス』を運営するカズノリによる事業・市場動向分析。
読みはアクセスビジョン。

損害保険代理店の保険募集事業

2019-03-18 19:52:00 | 対面型
日本損害保険協会のデータによれば、損害保険について、元受正味保険料(お客さんから払われる保険料)ベースでみたときの募集チャネルは、
・2008年度は代理店92.9%、直接6.8%
・2012年度は代理店91.9%、直接7.8%
・2017年度は代理店91.5%、直接8.0%

である。2007年にスマートフォンが発明され、総務省の情報通信白書によれば国民のほとんどまで行き渡っている現在にあって、確かに損害保険会社と直接やり取りする割合は微増傾向であるものの、代理店の優位は揺らいでいない。

この優位は続くのだろうか、また、続くとしてどのような代理店が増えるだろうか。
損害保険の募集プロセスを考えると、
①車や住宅の購入・海外旅行申込みといった保険のニーズ発生局面で消費者との接点を持つ
②保険の付加による利点を説明し、加入してもらう
③保険販売手数料を保険会社から受け取る
という流れになっている。
このうち、③は代理募集である限り変化しない構造なので、①と②についての動向を考える。

①について、大きな変化を起こすのは所有の減少である。
交通エコロジー・モビリティ財団の統計データによれば、カーシェアリングの会員数について
・2009年3月には約6000人
・2014年3月には約46万5000人
・2018年3月には約132万人
と、5年ごとに桁が変わる勢いで普及している。
日本の自動車保有台数は乗用車で約6100万台なので、まだ所有の減少が目につくレベルには至っていない。
但し最大手(タイムズカーシェア)の勢いが全く衰えていないことや、自動車最大手のトヨタもカーシェアリングに積極的(記事)であることなどから、今後数年で目に見えて乗用車の在り方を変化させる確率は高く、自動車関連(販売、修理等)の代理店は減る可能性がある。

また、海外旅行はJTBの調査でパッケージより個人手配が増えており、この場合の保険加入は代理店よりインターネット経由と思われる。

住宅に関しても、大和ハウスの記事によれば賃貸への移行が見られている。
・売買だと販売代理店が保険代理店として一人一人に販売する
・賃貸だと賃貸業者に保険代理店もしくは保険会社がまとめて販売する
と仮定すると、
不動産売買に関わる保険代理店は減り、賃貸業者の一括契約になることが想定される。

②の説明については、日常生活から、損害保険について詳しく対面で説明を受ける必要性は微妙と言える。
同じく金融商品を扱う証券会社でネット系が個人顧客でのシェアを広げていることから(記事)、インターネットが広がると考えるのが妥当と思われる。

以上から、損害保険代理店の保険募集事業は今後、保険会社の直接募集の拡大によって減少する、というのが僕の見解である。

損保業界の収益変遷
過去10年ほどのメガ損保の業績や関連統計の分析から、より詳細に損保業界の動向を考えている。

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野菜工場運営事業

2019-02-27 21:37:04 | IT活用
セブンイレブンが先月、初となる専用植物工場を稼働させたことがニュースになっている。
・6階建ての巨大工場
・生育状況に合わせた光の供給により露地栽培の倍の速度でのリーフレタス収穫
・天候によらず安定調達が可能
と、野菜仕入能力の強化ができる内容が報道される。

IOT技術の向上は、既に野菜の最適栽培を工場内で実現していたのだ。
野菜ナビによれば、レタスは現在、1キロあたり約120円ほどで台湾から輸入されており輸入量は増加傾向なので、輸送費用+価格を下回る供給を達成すれば、成り立つ事業と考えられる。

成り立つのだろうか?それとも話題集めの先行投資なのだろつか?
記事では1日3000kgのレタスを生産するという。330日稼動させたら約100万kgで、120円をkg単価とすると1億2千万円だ。
投資は60億円らしく、回収には単純計算で50年かかる。配当金狙いの株式投資でも、配当が株価の4%なら25年で回収である。そう考えるとなかなかの先行投資だ。

それでは、今後植物工場の運営はあまり増えないのだろうか?
これまで増えなかった理由はNHKの記事を読むかぎり、大まかに適正な管理をするに足るセンサーと自動分析・調節の技術の不足である。
しかしこれまでの記事にもあるように分析や調節に用いるコンピューティング機能は急速に高まり、センサーからコンピューターへデータを送る通信コストも低下を続けている。
また、3Cの観点でみる以下の理由からも増えるとみるのが妥当だろう。

・(市場)生産+輸入量が増加傾向にある日本の状態から、価格を既存レベルにするだけでも野菜の進出余地はまだある。
・(競合)露地栽培の倍の生産量、今後も技術向上見込みとなれば、露地栽培業者はコスト面では植物工場にかなわず、「有機栽培」「安心」という価値をアピールして高値圏に向かうだろう。安値圏で勝てそうだ。
・(競合)仮に世界の露地栽培よりも低コストで供給可能になれば、海外に植物工場を建てて運営することもビジネス的に成立しうる。
・(自社)データ分析とセンサー技術がますます向上することを考えれば、生産量の増加は今後もありえる。
・(自社)管理のレベルが高まり、高級な果物なども生産出来るようになれば採算性は飛躍的に高まる。

以上から、植物工場運営事業は今後、技術向上を織り込んで積極的な進出が増えてくる
というのが僕の見解である。

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旅館・ホテル運営事業

2019-02-22 21:06:00 | 対面型
人口減少が進むことで消費者が減り、市場縮小するというサイクルを歩んでいる日本にあって、逆に消費者が増えている成長産業が存在する。
伸び続ける訪日外国人を消費者とする観光産業である。
今回は、その観光客と直接的に関わる旅館・ホテルの運営事業について考えたい。

旅館・ホテル運営事業については、2年程前に旅館運営事業の記事にしており、当時の結論は

①2020年に4000万人呼ぶという政府目標は達成する
②旅館は高級化路線を辿るか、エンターテイメントを強化して宿泊客でない消費者も取り込む路線を辿る。
③そうでない旅館は民泊などのイノベーターに敗れて衰退する。

というものだった。
これらがどうなったかを確認しつつ、現在の視点から見えてくる動向を改めて探っていきたい。

JTBの統計によれば、
・2016年の訪日外国人は約2400万人
・2017年の訪日外国人は約2780万人
・2018年の訪日外国人は約3120万人
で、オリンピックも考慮すればまず確実に達成するだろうと思われる推移である。

旅館の高級化・エンタメ化についてはどうだろうか。
みずほ総研のホテル市場レポートによれば、宿泊料金は上がり続けているものの伸びは鈍化しており、外国人観光客の宿泊先で民泊が増えてきている。
2年前から現れ始めていた変化のようだが、民泊が増えているのに単価が伸びるのは、単なる需要増の追い風の他に高級化があるという仮説は残る。

観光経済新聞によれば、日本の宿泊料金は、
・国内で13000円程度、
・訪日外国人が16000円程度
なので、平均15000円程と思われる。
これに対して新規開業はどうか。
ダイアモンド誌の記事によれば箱根は高級路線が拡大中であり、日経ビジネスによれば京都も高級ホテルが相次いで進出している。
マイナビニュースによれば、この高級化路線は何年も続いてきているらしい。

※また、気付くのは旅館のようでも中は洋風だったり、ホテルではあるが温泉があったりと、旅館とホテルの垣根が曖昧になっているケースの増加だ。区別にこだわる必要もないので、ここからはまとめて考える。

増えているのはホテル全体だろうか?高級ホテルだけだろうか?

旅館の総数については観光経済新聞の報じる厚労省の調査で、5年以上毎年約1000軒減っていて、2018年3月には約38500軒である。
まとめると、
・総数は減っている中で新規開業する高級ホテルが数多い
ということである。高級化は正解で良いだろう。

高級化の続く条件を、3C分析の形で
①十分な消費者層の存在
②低価格で高水準なサービス提供を行う競合の不在
③高級化できる自社の能力
としたとき、現在の脅威は②だけだ。
これは低価格ホテルがエンタメ化で高水準のサービスを達成するときに起こりうるイノベーションだ。
高級路線の低価格進出は、『イノベーションのジレンマ』からすればあまり考えられないケースだ。
日常感覚からしても、高級ホテルが作った廉価版と言われるのと、エンタメ化で高水準になった新興ホテルなら後者を選ぶだろう。

宿泊客以外へのエンタメ化は、リーズナブルな階層で見受けられた。カフェの2階はホテル、というような、快適な時間をそのまま翌日まで広げられるような、使い勝手の良さそうな印象のホテルである。
こちらはまだウェブ記事で数件見るのみだが、読書カフェやねこカフェなど多様なカフェが増えるなど、「快適な空間への需要」は確実に在る。
今後ホテルが一階をカフェにする、というケースは増えていくだろう。

以上から、前回予測は、エンタメ化以外は目に見える形で正解と見受けられた。
また、今後の旅館(ホテル)運営事業については、高級化の継続はしばらく続くが、エンタメ化の加速がどこかで状況を変える
というのが僕の見解である。

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地方都市のサービス業

2019-02-09 23:50:00 | 対面型
地方郊外の映像がテレビで流れる時、長い間受け継がれてきた伝統行事のもつ雰囲気に見いるようなことがあった人が、特に年末年始など、多かったことだろう(ゆく年くる年など)。

反面、行事がおこなわれている以外の通常の風景を見て、改善の余地を感じる人も多いのではないだろうか。
とりわけ、多くの人にリーチできる生活インフラの設計に先駆けることができれば、かなりの利益が見込めるはずだ。今回は、その改善がビジネスチャンスになっているかどうか、統計から考えていきたい。

現在、地方都市はコンパクトシティ計画が進められている。(国土交通省サイト
これは少子高齢化の進む国土で効率的な生活インフラを供給するために進められているものだ。財政支出を削減しようというときに、高齢者が
・たどり着くのも難しいような山間に散在しているのと
・都市近辺に集住しているのと、
どちらが合理的か考えれば分かりやすい。おそらく使える策を打ち尽くすような相当なモチベーションで取り組んでいるのではないか。

この動きの成果なのか、便利な都市生活を望む自然な感情の結果なのか、地方都市の中心部がどのような経緯を辿っているかといえば、JRのサイトに表れているように、全国的に駅の活性化が起きているのだ。
駅の利用者の増加ということは、駅を利用するエリアに人口が増えているということだ。
例えば北海道は2010年から2015年にかけて
・550万人→540万人
と減少していたが、札幌駅の1日あたり利用者は、
・約8万6千人→約9万5千人
と大幅に増加している。

例えば宮城県は2013年から2018年にかけて
・約232万8000人→約231万3000人
と微減だが、仙台駅の1日あたり利用者は、2012年度から2017年度にかけて
・約8万人→約8万9000人
と大幅に増加している。

例えば群馬県は2010年から2017年にかけて、
・約200万8000人→約195万8000人
と減少しているが、前橋駅1日あたり利用者数は2010年度から2017年度で
・約9400人→約10500人
と増加している。

このトレンドの勢いを観れば、今後も全国での人口減少に関わらず、政策が出され、インフラ投資も都市部(鉄道沿線)へ集中し、人口の集中は続く可能性は十分にあるだろう。
サービス業の多くは、飲食店・美容・医療と対面サービスである。人口がほとんど唯一の決定的な要素である為、
これから伸ばせる余地は全体的に多いはずだ。

以上から、地方都市の対面サービス事業は、鉄道沿線のような中心部において成長の機会を持っている
というのが僕の見解である。

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ねこちゃんねる
随時更新されるねこの画像を見て癒やされたり、都内ねこカフェのねこ検索が出来るサイト
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インフルエンザ判別機器事業

2019-02-05 22:52:11 | IT活用
NHKのニュースで、インフルエンザが流行っていることがうかがわれる。
インフルエンザが流行るのは、インフルエンザと分からずに人混みを歩き、それを拡散するからだろう。
感染経路は大塚製薬のサイトに詳しい。

拡散を抑えることは、社会の課題である。課題は消費者のニーズであり、ビジネスマンとしては解決手段を収益化するべく動きたい。

解決策は、複数考えられる。
・特定の時間帯には電車の改札を通るときにインフルエンザを識別するようにし、インフルエンザの人には空かないようにする
・会社の入口に、インフルエンザ識別装置をつけて空かないようにする。
・学校の入口に、インフルエンザ識別装置をつけて空かないようにする。
・腕時計がインフルエンザの可能性が高いと知らせてくれる
・インフルエンザ判別キットが低価で売られ、みんな検査するようになる
等々

これらはどのように可能だろうか。
インフルエンザ状態だと息にインフルエンザの菌があるというなら、空気の審査を行うことが考えられる。
アルコール検査の簡易番のように「この機械に息を吹きかけて下さい」というのだ。
…これは、会社や学校ならあり得るかもしれないが、改札口では守られないだろう。

次に、IOT機器を着けたマスクを開発して、それを10分着ければ判定してくれるというのはどうだろうか。
これなら配って付けてもらうだけで済むのが、これも改札口は無理だろう。

首都圏にいると最も効果的なのは改札口での除外である。開発されれば国が補助をつけてでも導入するだろう。

一瞬でどうやって識別するのか?
或いは定期券と体調をリンク出来ないだろうか?

前者が無理そうなので、後者を考えると、確かに定期券購入時に名前を登録している。
これとスマートウォッチをつなぎ、インフルエンザでなくとも体調不良(38度以上の熱など)の人を除外する仕組みを構築したら良い。

インフルエンザの治療は、個人が例えば平均5000円払っているとすると、国の負担としては10000円以上払っている。これが220万人いる現状を半減させれば、
・直接の経済効果は110億円
・彼らが本来の経済活動をすると考えればそれ以上
の価値がある。

しかしそんな行動の制約を付けるスマートウォッチを誰が付けるだろうか?
普通に考えたら誰も付けないので、
・スマートウォッチ導入企業の表彰
・スマートウォッチ導入で税負担軽減
などの動機付けが必要だ。
しかし、医療費負担の上昇が続く国はいずれこのような措置にふみ出すだろう。

以上から、インフルエンザ判別機器事業は今後国と交通機関との協調によって育まれていく
というのが僕の見解である。

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