東京国際フォーラムでの用を済ませた後、ブリジストン美術館へ行った。
ドビュッシーを軸として絵画----印象派は当然のこととして、ドビュッシーといえば浮世絵まで幅広く集められているだけでなくやガラス工芸、彫刻、仏像、扇子、そしてドビュッシーの様々な写真など150点が並べられている。
特にドビュッシーの肖像画としてよく見ることができるマルセル・バシェのもの---そのサイズは思いのほか小さい---やピエール・ルイスの、独特そして強い印象をあたえるトリミングをされた写真、ローマ賞の褒美としてのローマ滞在中の写真、ショーソンあるいはストラヴィンスキーと一緒にとられたものなどが見られるのも嬉しい。
さらに、なんといっても音楽ファンなら見逃せないドビュッシーの自筆譜やスケッチ、初版(と思うのだが)の楽譜(Durand社など)も見られる。そういえば親友サティのもあった。
ペレアスなどの自筆譜から受ける印象、細かくそして丁寧に書き込まれている様は、武満徹のそれと似ており、これは単なる偶然以上のものがあるだろう。
ドビュッシーはラヴェルとともに印象派の作曲家として(一般的にドビュッシーについて書かれる場合に)括られており、(絵画における)印象派をそのまま音楽、特にドビュッシーに当て嵌めるのは難しいと思うのだが、展示された品々からドビュッシーが活躍していた19世紀末から20世紀初頭の「時代の空気」といったものは濃厚に感じることができる。さらに展示されはしていないが、ある絵画からはムンクを、別のものからはムハ(ミュシャ)に近いところを感じさせる。
会場で配布されている目録(でいいのかな)にはオルセー美術館、オランジュリー美術館との共同企画とあるように、これは名企画といえる。監修者は、フォーレの《レクイエム》ネクトゥー/ドラージュ版のあのジャン=ミシェル・ネクトゥーとのこと。個人所有の展示品もあり、そこにはネクトゥーが所蔵するもののほかにフィリップ・アントルモンの名前もある。
10月14日まで開催されているので、もう一度行ってもいいなと思うくらいだ。
音楽ファンなら行くべし。
なおJR東京駅から行く場合は、地上ではなく八重洲地下街を歩くべし、とアドヴァイスしておく。
記念に買ったドビュッシーの顔の金太郎飴420円。コーヒー味だ。