牧師の読書日記 

読んだ本の感想を中心に書いています。

3月2日(日) 「現代教義学総説」 ホルスト・ペールマン著  新教出版社

2014-03-02 07:28:28 | 日記

 本書はドイツで神学生の標準的な教科書として用いられていて定評があるようだ。著者はドイツのプロテスタント神学者である。

 教義学(組織神学)について著者はこのように述べている。「教義学は、歴史的ー釈義的部門と実践的部門との間にあって、仲介する位置にある。再生産的ー生産的という二重の機能によって、教義学は歴史的ー釈義的神学を完成させ、実践神学を用意することによって、両者の間の移行の結び目のようなものである。」

 またエーベリングという人の文章を引用している。「神学の課題は、一方においてすでに起こった宣教に向けられる、より詳しくは、、、、暫時的宣教の証言としての旧約聖書に、究極的宣教の証言として新約聖書に、後続的宣教の証言として教会史に向けられる。他方において今起こっている宣教に向けられる、より詳しくは、、、宣教さるべき出来事(教義学)に、また宣教の出来事(実践神学)に向けられる。」


 神学には大きく分けて4つある。釈義学(聖書神学)、歴史神学(教会史)、教義学(組織神学)、実践神学(教会の実践)である。この4つの中での教義学の位置を分かりやすく、的確に定義づけていると思う。

 教義学はそれだけで独立しているものではない。もし独立してしまったら健全さを保つことはできなくなる。また教義学は釈義学(聖書学)に先行するものではない。教義学は聖書と結びつき、聖書を土台として、聖書の使信を要約するものである。それを歴史の中で見つつ、私たちの時代に対し新たに理解していこうとするものである。そこで終わらず、実践として、宣教の言葉として、要約された聖書のメッセージを伝え教えていくという、教会的学問と言えるだろう。