夢色

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基本ネタバレ注意。
火月 神の気まぐれ よろずメモ。

<「終の信託」試写会>

2012-10-15 | Movie

高校の友達に誘ってもらって、観てきました
実は正直言うと、医療モノだし、「尊厳死」というナイーブなテーマだったので、観ないでおこうって思ってたくらいだったんですが
折角誘ってもらったし、そうじゃなければきっと観ないまま終わるから、、、と思って連れて行ってもらいました。

案の定、重かった~ぁっ

いやはや なんというか
どうなんでしょうね。
こういう医療モノって、別に手技が嘘くさいとかそういうツッコミは 割り切ってるから あまりしないのだけど。

どうしても医療者サイドに立って観るから、きっと一般の人の感覚とは違うんだろうな~ って。
検察なんか、完璧 敵ですから
まぁでも実際に、訴えられた時はホントに こちらの人格を完全に破壊するような 犯罪者扱いで喋ってくる らしいけどね。
「医療に関して素人なのに!そんなにエライんかいっ!!ヤな奴 やなヤツっ!!」って思ってました(笑)

でも、別に同業者をかばうつもりじゃなくて、じゃあなんでも患者さんや一般人の希望に応えるのが義務なのかって なってくるし。
正直、自分達でも専門外は分からない事も多いのに、一般の人が本当に理解しようと思えば6年間医学部行って勉強してから出直してくれってゲンナリ思わざるを得ないこともある。
別に感謝されたくてやってるわけじゃないけど、こちらの仕事のモチベーション保てないと続かないのに、“ありがとう”もない世の中だし。
買いたいものがあればお店に行って、食べたいものがあれば飲食店に行って食べる。
それと同じで、しんどくて困ってるのだから 病院に行く、っていうのはギブアンドテイクだと思うのだけど。
だから患者様っていうのは違うと思うし、こちらが頭を下げて診させてください!っていうのも違うと思うし、だけど別に医者が威張るのも違うと思うし。
専門職に対する正当な感謝と評価をしてもらいたい、それだけなのに。
なんだか変な世の中。


だから、とっても複雑な思いで見てました。
大体、後でなんやかんや 訴える!だのなんだの言いだすのは、「お見舞いにも来ない」「本人の話も聞こうともしない」「仕事が忙しい」「遠方の」家族が「自分に都合の良くない結果」だから だったりするしね。

奥さんが「なんであんなところに倒れてたんでしょうねぇ」って言うセリフ。
転地療養を勧めた時の息子の対応。
そういったものが如実だと思った。
主治医には心の内を話せてたけど、奥さんや家族には話せてなかった。
だから主治医はあんなこと=本人の希望を叶えた。
でも、それを知らない 知ろうともしない家族は、、、そういうの、本人の代わりの意思決定者としてふさわしいのだろうか。
なんて。
でもきっと現実は理想論では片付かない。
家でずっと祖父母の介護を見てきてると、それは分かってる。

逆に、主治医が思い入れが強すぎた、のかもしれないなって思った。
例えばどれほど酷い家族であっても、主治医が家族になることは出来ないのに。
同僚の中での立ち位置はどんな人だったんだろう。
もしかしたら周りと上手く相談できない、もしくは相談しない医者で、ひとり 突っ走ってしまった人の結果 だったのかも?なんて想像したり。


「死期が迫ってる」という アバウトな言葉。
司法にとって都合の良い 嘘でもないけど 本当でもない 事実。
精神的苦痛 は加味されないという司法の定義。

こうやって、余分な親切心を出さないスタンダード医療が安全であり、正解になるんだろうなって。
余計なことはしない。
もしかしたら という 不確かな希望には 賭けない。
そういう医療。
今後は、そういったものになっていってしまうんだろうなって。
良いとか悪いとか そんなこと分からないけど、そういう未来。

でも・・・医療なんて、命なんて 所詮 不確かなモノなのに・・・。

いつも、きっと20%ほど理解してくれてたら御の字くらいの、山盛りの同意書を説明する場面を思い出す。
自己保身に走っている気になって、そういう時は無性に空しい気持ちになる。
だけど、自分に対して 患者さんに対して 誠実であるしかないって思いながら、ひとつひとつその時に最善だと思う事をやるしかないんだ。

日記の最後に書かれた一言が、リビングウィルであったことが救いであり、でもそれでさえも100%認められるわけではなかった。
救いなのか そうじゃないのか。

この映画を見た人たちが。
願わくば、いつか自分や家族の身に降りかかるかもしれない事であり、その時にどうして欲しいかを少しでも話し合ったり表明したりするきっかけにしてくれれば。
その程度の想像力さえ 失っていない事を。
そう願って。

重かったなぁと 終わってからも暫く友達と無言となる映画でした。笑。
きっと立場が違えば、また違う見方を皆してるんだろうなって。
秋の夜長には良いかもしれませんが、まかり間違ってもShall we dance?みたいには終わらないです。はい
勉強になりました。



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