夢色

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基本ネタバレ注意。
火月 神の気まぐれ よろずメモ。

<壽 初春大歌舞伎@大阪松竹座>

2013-01-04 | 舞台

歌舞伎を見るのは、何年ぶりだろう・・・。
まだ祖父が生きてて大阪に来た時に一緒に見に行ったのが最後。
今回は、好きな俳優の香川さんの襲名披露もあるとのことで、前からチケット取って、楽しみにしていました



大阪松竹座の上に櫓が立てられてます。
お正月に櫓をくぐると、縁起がよいとされています。


今日は夜の部にやってきました。
 

入るときにカイロを頂きましたが・・・

先に入っていた母は もらえなかった。。。と、残念がってました。笑。
なんで配る時間が違ったのかしら。。。


上手寄りの前から4列目というすごく良い席で、ドキドキしながら開始を待ちました。
歌舞伎も不慣れなので、イヤホンガイドを借りてみたのですが、待ち時間にも演目の説明などがあり 飽きずに待つことができました。
演目の最中も、話している言葉やあらすじだけじゃなくて、着ている衣装や髷の結い方などの意味、音楽の意味なども説明してくれるので、舞台を見ながら 片耳で聞くのは少し難しいですが(笑)勉強になって面白かったです。

演目は、
1.操り三番叟 
2.小栗栖の長兵衛 
3.2代目 市川猿翁・4代目 市川猿之助・9代目市川中車 襲名披露 口上 
4.義経千本桜 川連法眼館の場   となっています。


まず、操り三番叟では、最初の翁として藤十郎さんが舞っていらっしゃいました。
歳を取られたなぁ とちょっと思いましたが、縁起の良い舞のようです。
そして、操り人形の「三番叟」と、それを介助する後見とが 舞台の上にいて、天井から三番叟を操って舞わせるという設定のものとなっています。
三番叟は、操り人形なので、上から吊られながらも飛んだり舞ったりする、難しい役です。
なにより、重心が宙にあることになるので、片足がついたとしても、その足がぺったりと地につくことができない、人形に見えないといけない、何とも言葉じゃ説明できない難しさだと思います。
なのに、本当に人形にしか見えない!
始まる前に、糸が張っていない時は舞台にぺったりと置かれていて、それが立ち上がっていく過程や、人形って首が定まらないから 張子の寅みたいに 首がふらふらと動く様子とか。
糸が絡まって きりきり舞いしているところや、宙に浮いているような身軽で、コミカルな演技。
何度も言いますが!笑。
本当に人形にしか見えない!

それだけじゃなく、後見もすごかった。
途中糸が切れてしまったときに、後見が糸を撚って繋ぎ直すところとか、口で少し湿らせて・・・とするのですが、本当に糸が見えるみたいだったです!

すべての人の演技力に度肝を抜かれました。
1番目だけで、すごすぎて 大興奮。笑。


次は、中車さんが主役をする「小栗栖の長兵衛」。
どちらかというと、吉本新喜劇みたいな?現代劇風な構成で、言葉も口語なので 解説なくてもストーリーは理解できる範囲です。
まあ、歌舞伎の世界に入っていきなり本格的な古典をやり遂げるのは きっと難しいだろうから、かな、と思いました。
破天荒な長兵衛の雰囲気が、中車さんによく合ってて(笑)声もでかいし
酔って暴れるところとか、笑いが入って、面白かったです。
やっぱり好きな俳優さんだったから、上手く出来るかなぁ~って、余計なお世話ながらドキドキして見てたので、無事に終わったときには、もう親のような心境でホッと一安心したものでした。笑。


幕間に、お弁当をかきこみ
いつも思うけど、トイレも行きたいのに、時間足りないよ~。
そして、この次の口上が終わった後にも30分あったのに、知らなかったという。。。失敗しっぱい。。。

引幕が、毎回違うのですが、このときに福山雅治さんデザインの、3人の隈取を重ねた引幕が引かれていました。


口上は、私 襲名する人だけが出てくるのだと思っていたら、他の幹部の方も並んでいらっしゃって、お祝いの言葉とこれからの応援のお願いと を述べられていました。
その日によって話す内容はまちまちらしく、きちんと決まっているのは藤十郎さんの最初の言葉だけなのかしら?
他の方は最初と最後以外は割りとフランクなことを話してはったので、会場は結構大爆笑でした。笑。
「猿之助さん(となる亀治郎さん)は、小さい頃から歌舞伎を愛し、熱心で、ごんたくれの子でした。大物役者となるにはそのくらいが必要です。ちなみに私は小さい頃、歌舞伎を愛し、熱心で、おとなしい子でした。残念なことでございます。」とか。笑。
「慶應卒業が何人もいるけれども、東大には敵いません」とか。笑。
和やかな雰囲気で、それぞれの役者さんの素の雰囲気が垣間見えるもので、皆さん頭の回転が良いというか、機転が効くのだなぁと 楽しく拝見しました。
途中、他の方が口上を述べられているときに、上手の方の何人かが、肩を震わせて笑ってはったのが、また可笑しくて(笑)
そのくらい近くで見ることが出来て、ラッキーです
中車さんは、一番頭を低く下げていらっしゃって、やっぱり歌舞伎界では色々と気を使ってしないといけないし、年下であっても皆が先輩になるし、歌舞伎独特のものを辛抱強く教えてもらわないといけないし。
すごく大変なんだろうなって、でも子供のために、と決断されたんだろうなって、本当に頭がよく、そして素晴らしい人なんだろう、と胸が詰まりました。
猿翁さんは体調不良で、終日お休みとなっています。
でもとても楽しい口上となっていました。


最後は、義経千本桜です。
これは猿之助さんの早変わりと宙乗りが目玉といわれているので、私はこちらを観たくて夜の部にしたくらい。
話としては、親子の情を語るもので、鼓の皮とするために狩られた親を慕って、義経の部下に化けて静御前を護衛していた小狐と、本物の部下(忠信)の二役を猿之助さんが演じます。
文語調というか、本当の古典歌舞伎のように ぱっと聞いただけでは分からない言葉も多く、こちらはイヤホンガイドを重宝しました。
真面目な忠臣であることがよく分かる、硬い演技の 本物の忠信と、狐言葉でコミカルな動きの多い狐忠信。
その2つを演じ分けるのも難しそうです。
本物の忠信が舞台から捌けて、狐忠信が出てくる瞬間。
絶対 とんでもないところから出てくるんだろうなぁって思って待機してて、花道の入り口で ばんっ!って大きな音が鳴ったからそっちを見た瞬間、舞台の真ん中に狐忠信が登場!!
しまったーっ!!
やられたー!笑。
マジックと同じだョ~。騙されたぁ~。めちゃ 悔しい。笑。

狐のすばしっこい所を表しているんですね。
あー 悔しいよぉ・・・自分で笑ってしまったわ~

静御前が奏でる鼓からは親の言葉が聞こえるらしく、ちょっと首を傾げて音に聞き入る動作とか、気づいたら手が狐の手に戻ってしまってるとことか、すっごく可愛いの!
髪を結ってある白い飾りが、狐の耳を表していて、本当の子供みたいで!
そして、人間の着物姿から ふさふさの狐の姿に戻るときの早変わり
平伏している間に黒子さんがごそごそしてるから、きっと袴を脱ぐんだなって思ってたけど、ホントに早着替えで、真下の扉から転がって出てきたときには もう ふさふさになってる!
すごいわぁ。。。
全ての息が合わないと出来ないもの!

鼓をころころと嬉しそうに転がしてるところとか、子供が玩具で遊ぶみたいに とっても楽しそうで。
手すりの上に乗って、ちょこちょこと歩いたり!

なぜ騙していた、と問い詰められ、本物の忠信に迷惑をかけるから古巣に戻れと親に言われたことで、観念した狐忠信が真相を語ります。
その親を慕う心や その語り方が、胸が締め付けられて、本当に不憫になる。
そして、もう帰りますと言ったものの、何百年も待ち焦がれてやっと再開できた親との別れを惜しんで何度も振り返る姿が 可哀想で、泣きました。
義経が鼓をやると行った時の、狐の喜びようといったら・・・。
跳びあがって喜んでいました。
そして、鎌倉に味方する山法師たちを幻術で騙してやっつけるシーンは、軽快な音楽に合わせて ひょこひょこと動いて、戦いのシーンなのいに 茶目っ気たっぷり
山法師も飛んだり跳ねたり、3連で股くぐりしたり、それをどんどん速くしたり。
ドキドキするのに、楽しい見せ場でした。
猿之助さんが、ちょこちょこ音頭を取りながら、ウインク!笑。
本当に 楽しい人だなぁと思いました。

最後にもう一つの見せ場の宙乗りで、花道の上をワイヤーで吊られながら 桜の花吹雪の中を退場
会場の拍手を煽るように、吊られながらバタバタと動くものだから、落ちやしないかと本気でドキドキしました
最後、拍手に応えて、あっという間に舞台に回って来はったのでしょうが、舞台から出てきてくれました!
もっと拍手してたら応えてくれたような気がするけど、観客がイマイチだったかな~


もう大満足で、あっという間に時間が過ぎた!
すごいものを観た、という感動でいっぱいです
家帰ってからもずっと興奮して喋りすぎた。笑。
これからも、どんどんすごくなる人たちだと思うので、また観に行きたいです!