きょうは本会議の最終日。公明党県議団を代表して討論に立ちました。
討論の内容は以下のとおりです。
<討論>
私は公明党県議団を代表し、意見・要望を交え、本定例会に付託された諸議案に対し、所管常任委員会の審査結果に対し賛成の立場で、討論を行います。
はじめに、定県第88号議案にかかる児童自立支援拠点の整備について申し上げます。
児童虐待の急増などにより、より専門的な支援を必要とする子どもが増えています。発達障害への周知不足から、保護者も精神的に追い込まれ、虐待に及ぶケースや、ネグレクトなどの経験が子どもに重い情緒障害を引き起こすとも伺いました。
こうした複合的課題を持つ被虐待児は、残念ながら増加の傾向にあると言わざるを得ません。県として早急に、児童・自立支援拠点の整備を進める必要があります。近隣の理解や、政令市との折衝など、山積する問題を解決し、可及的速やかに、候補地の決定、拠点整備に取り掛かかるべきであると考えます。
また、先駆性、専門性、広域性を持ち、養育機能、自立支援機能、医療機能、研究研修機能を充実させた整備を目指すということですが、これらの機能がしっかり連携し、子どもの自立支援に活かすためには、「コーディネーター」の設置が必要と考えます。施設内はもちろん、家庭や社会と緊密に連携するためにも、「コーディネーター」の設置を検討いただけますよう要望いたします。
2点目に、総合計画について申し上げます。
まず、課題認識の基本となるデータの提示についてであります。
今回提示された「かながわグランドデザイン 基本構想編」及び「実施計画編」素案では、課題認識の基本となるべき基礎的なデータの提示が不足しており、なぜこのような目標を掲げるのか、県民には理解できないのではないかと思います。
例えば、「多文化共生の地域社会づくり」の前提となる「多」文化については、外国籍県民のうち、どの国籍の方がどれくらいいるか、という基礎的データが示されておりません。
外国籍県民といっても、中華街で働く中国人と、来日したばかりのブラジル人では、例えば「コミュニケーションを支援するための日本語講座」を必要とするか否かなど、状況及びその対策はまったく異なるはずです。
施策の基礎となる情報がなければ、県民には「何が問題で、それに対して、どのように対応しようとしているのか」など、分かりようがありません。
「県民に分かりやすく」ということを第一に考えれば、「個別計画に示しているのだからいい」という姿勢ではなく、少なくとも課題認識の基となるデータは、総合計画の中に示すべきである、と考えます。
次に、計画の中に取り上げるべき課題及び、その対策についてであります。
今回の計画素案の中を見ると、そもそも、計画に入れるべきものが落ちているのではないかと思われる箇所があります。
例えば、少子高齢化による労働力の減少であります。これは、これからの神奈川を考えるにあたって、非常に重要な課題でありますが、これをどう解決するのかということについて、有効な手立てが全く示されておりません。少子高齢化による、将来的な労働人口の減少を課題として明示した上で、労働力不足への対策を示すべきではないかと考えます。
次に、計画における目標設定のあり方についてであります。
目標設定については、アウトプット目標ではなく、アウトカム目標を設定するようにした、とのことでありますが、目標と、それぞれの取組みの関係が非常に分かりづらくなっている部分があります。
具体的なアウトプット目標が書き込まれていないからこそ、それぞれの取組みが、目標達成にどのようにつながっていくのかを明確にし、プロジェクト全体の進捗を確認することができるような目標を設定すべきと考えます。
3点目として、「かながわスマートエネルギー構想」について申し上げます。
「かながわソーラーバンクシステム」については、提案・選考会の結果、12事業体の33プランが決定しましたが、パネル価格引き下げに県が関与したシステムであることからも、下請け泣かせという事態が生じないよう、責任を持って取り組まれるよう要望します。
また、県が「かながわソーラーセンター」を設置し、相談および受付業務をNPOに委託しましたが、太陽光発電パネルの設置を希望する県民が、パネルを選択する際に大きな影響を与える業務を担っていることから、県民の相談に対し、十分かつ公正な情報の提供に努めるとともに、県は相談者を対象に同センターについてのアンケートを実施するなど、県民が安心してパネル設置に取り組めるよう要望します。
4点目は、ポリオワクチンについてであります。
12月15日より不活化ポリオワクチンによる予防接種が始まりました。11月26日の予約受付開始から13日までで、すでに1,373人が予約をされたこと自体、不活化ワクチン接種を求める保護者の切実な訴えの表れではないでしょうか。
国は、不活化ワクチンの導入を、早くて2013年春としておりましたが、このたび、小宮山厚生労働大臣により「導入前倒し発言」がなされたことは、皆様ご承知の通りであります。神奈川県議会として提出した「不活化ワクチン早期導入のための意見書」が奏功したことも考えられます。
県としても、引き続き不活化ワクチンの早期導入を国に対し強く訴え、子どもの「健康・安全・安心のための施策」として、推進されますよう要望いたします。
5点目は、障害者福祉についてであります。
まず、「かながわ障害者地域生活支援推進プログラム大綱」に基づく障害者の地域生活支援について申し上げます。
在宅重度障害者等手当の経過措置が終了する来年度に向けて、多くの障害者や、そのご家族が注目しています。障害者団体等との意見交換会で示された意見を十分に踏まえ、施策の一層の充実を図るよう求めます。
また、重度障害者医療費助成制度の精神障害者への適用拡大については、当事者団体からも強く期待されているところであり、市町村と連携して、速やかに検討を進め、早期実現を図られるよう要望いたします。
6点目は、神奈川県住生活基本計画改定素案について申し上げます。
現行計画の策定から5年が経過する中で、今回、少子高齢化などによる、地域コミュニティの活力低下に対応するため、いわゆる「多世代近居のまちづくり」を通して、「居住コミュニティの創出・再生」を目指したことは、時宜を得たものとして評価いたします。
一方、貸主借主双方が安心して賃貸借関係を構築できるようにする「神奈川県あんしん賃貸支援制度」の運用や、高齢者や低額所得者等に対する、UR住宅や公社住宅など公的賃貸住宅を活用した住宅確保など、改善すべき課題も少なくありません。
多くの空き家が発生していることから、国も県も住宅は数として充足しているという立場ですが、空き家の中には居住に適さない住宅も多く、一定の居住水準を具えた住宅は、むしろ不足している状態です。改定にあたっては、県民誰もに、居住の安心を約束できる計画とするよう、強く要望いたします。
7点目は、特別支援学校・高等部における就労支援についてであります。
本県における就職率は、平成18年度と比べて約10ポイント上昇し、全国平均を上回る成果を出していることは承知しておりますが、新たな工夫として、企業に学校内のスペースを提供することにより、生徒にとって身近なところで、働くことの意味や社会性を学んでもらうという方法を、我が会派で提言したところであります。
今後一層の就労支援に取り組み、障害のある生徒の自立と、社会参加を進めるよう求めます。
8点目は、高い指導力のある教員の育成についてです。
学校現場には、いじめ・不登校や暴力行為など、様々な教育課題があり、こうした課題を解決していくために、教員の資質・能力の向上は不可欠であります。特に大量退職・大量採用時代にあっては若手教員の育成が喫緊の課題であることから、総合教育センターで行う研修や、県立高校における校内研修の充実を図るべきであると考えます。
また、優秀授業・実践教員表彰制度を活用し、実施している授業の公開やDVD化をさらに進め、授業以外のキャリア教育や生活指導等においても、優れた指導方法が活用できるようにしていただきたいと思います。
最後に、知事が先ほど今後の方向性を明らかにされた東日本大震災の災害廃棄物についてであります。
復興の大前提である災害廃棄物、いわゆる震災がれきの処理が進んでいません。行き場を失った大量のがれきは、仮置き場に山積みになったまま異臭や自然発火の実害をもたらし、被災地の状況を一層深刻化させています。
公明党神奈川県議団では、去る12月5日、東京都において被災地から運び込まれた廃棄物を選別・破砕している東京臨海エコ・プラントを視察し、安全性を確認してまいりました。こうした現場視察などを踏まえ、震災対策調査特別委員会では、震災がれきの受け入れについて、神奈川県が単なる調整役ではなく、積極的にリード役を果たすよう、繰り返し強く求めてきました。
「ひとつになろう、日本」という以上、わずかなリスクであれば広く薄く負担し合っていくことは、日本国民として当然のことと考えます。
神奈川県として、早急に震災がれきを受け入れる態勢を整えるよう要望いたします。
以上、意見並びに要望を申し上げ、公明党県議団として、本定例会に付託された全ての議案に賛成いたします。ご清聴、ありがとうございました。
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討論の内容は以下のとおりです。
<討論>
私は公明党県議団を代表し、意見・要望を交え、本定例会に付託された諸議案に対し、所管常任委員会の審査結果に対し賛成の立場で、討論を行います。
はじめに、定県第88号議案にかかる児童自立支援拠点の整備について申し上げます。
児童虐待の急増などにより、より専門的な支援を必要とする子どもが増えています。発達障害への周知不足から、保護者も精神的に追い込まれ、虐待に及ぶケースや、ネグレクトなどの経験が子どもに重い情緒障害を引き起こすとも伺いました。
こうした複合的課題を持つ被虐待児は、残念ながら増加の傾向にあると言わざるを得ません。県として早急に、児童・自立支援拠点の整備を進める必要があります。近隣の理解や、政令市との折衝など、山積する問題を解決し、可及的速やかに、候補地の決定、拠点整備に取り掛かかるべきであると考えます。
また、先駆性、専門性、広域性を持ち、養育機能、自立支援機能、医療機能、研究研修機能を充実させた整備を目指すということですが、これらの機能がしっかり連携し、子どもの自立支援に活かすためには、「コーディネーター」の設置が必要と考えます。施設内はもちろん、家庭や社会と緊密に連携するためにも、「コーディネーター」の設置を検討いただけますよう要望いたします。
2点目に、総合計画について申し上げます。
まず、課題認識の基本となるデータの提示についてであります。
今回提示された「かながわグランドデザイン 基本構想編」及び「実施計画編」素案では、課題認識の基本となるべき基礎的なデータの提示が不足しており、なぜこのような目標を掲げるのか、県民には理解できないのではないかと思います。
例えば、「多文化共生の地域社会づくり」の前提となる「多」文化については、外国籍県民のうち、どの国籍の方がどれくらいいるか、という基礎的データが示されておりません。
外国籍県民といっても、中華街で働く中国人と、来日したばかりのブラジル人では、例えば「コミュニケーションを支援するための日本語講座」を必要とするか否かなど、状況及びその対策はまったく異なるはずです。
施策の基礎となる情報がなければ、県民には「何が問題で、それに対して、どのように対応しようとしているのか」など、分かりようがありません。
「県民に分かりやすく」ということを第一に考えれば、「個別計画に示しているのだからいい」という姿勢ではなく、少なくとも課題認識の基となるデータは、総合計画の中に示すべきである、と考えます。
次に、計画の中に取り上げるべき課題及び、その対策についてであります。
今回の計画素案の中を見ると、そもそも、計画に入れるべきものが落ちているのではないかと思われる箇所があります。
例えば、少子高齢化による労働力の減少であります。これは、これからの神奈川を考えるにあたって、非常に重要な課題でありますが、これをどう解決するのかということについて、有効な手立てが全く示されておりません。少子高齢化による、将来的な労働人口の減少を課題として明示した上で、労働力不足への対策を示すべきではないかと考えます。
次に、計画における目標設定のあり方についてであります。
目標設定については、アウトプット目標ではなく、アウトカム目標を設定するようにした、とのことでありますが、目標と、それぞれの取組みの関係が非常に分かりづらくなっている部分があります。
具体的なアウトプット目標が書き込まれていないからこそ、それぞれの取組みが、目標達成にどのようにつながっていくのかを明確にし、プロジェクト全体の進捗を確認することができるような目標を設定すべきと考えます。
3点目として、「かながわスマートエネルギー構想」について申し上げます。
「かながわソーラーバンクシステム」については、提案・選考会の結果、12事業体の33プランが決定しましたが、パネル価格引き下げに県が関与したシステムであることからも、下請け泣かせという事態が生じないよう、責任を持って取り組まれるよう要望します。
また、県が「かながわソーラーセンター」を設置し、相談および受付業務をNPOに委託しましたが、太陽光発電パネルの設置を希望する県民が、パネルを選択する際に大きな影響を与える業務を担っていることから、県民の相談に対し、十分かつ公正な情報の提供に努めるとともに、県は相談者を対象に同センターについてのアンケートを実施するなど、県民が安心してパネル設置に取り組めるよう要望します。
4点目は、ポリオワクチンについてであります。
12月15日より不活化ポリオワクチンによる予防接種が始まりました。11月26日の予約受付開始から13日までで、すでに1,373人が予約をされたこと自体、不活化ワクチン接種を求める保護者の切実な訴えの表れではないでしょうか。
国は、不活化ワクチンの導入を、早くて2013年春としておりましたが、このたび、小宮山厚生労働大臣により「導入前倒し発言」がなされたことは、皆様ご承知の通りであります。神奈川県議会として提出した「不活化ワクチン早期導入のための意見書」が奏功したことも考えられます。
県としても、引き続き不活化ワクチンの早期導入を国に対し強く訴え、子どもの「健康・安全・安心のための施策」として、推進されますよう要望いたします。
5点目は、障害者福祉についてであります。
まず、「かながわ障害者地域生活支援推進プログラム大綱」に基づく障害者の地域生活支援について申し上げます。
在宅重度障害者等手当の経過措置が終了する来年度に向けて、多くの障害者や、そのご家族が注目しています。障害者団体等との意見交換会で示された意見を十分に踏まえ、施策の一層の充実を図るよう求めます。
また、重度障害者医療費助成制度の精神障害者への適用拡大については、当事者団体からも強く期待されているところであり、市町村と連携して、速やかに検討を進め、早期実現を図られるよう要望いたします。
6点目は、神奈川県住生活基本計画改定素案について申し上げます。
現行計画の策定から5年が経過する中で、今回、少子高齢化などによる、地域コミュニティの活力低下に対応するため、いわゆる「多世代近居のまちづくり」を通して、「居住コミュニティの創出・再生」を目指したことは、時宜を得たものとして評価いたします。
一方、貸主借主双方が安心して賃貸借関係を構築できるようにする「神奈川県あんしん賃貸支援制度」の運用や、高齢者や低額所得者等に対する、UR住宅や公社住宅など公的賃貸住宅を活用した住宅確保など、改善すべき課題も少なくありません。
多くの空き家が発生していることから、国も県も住宅は数として充足しているという立場ですが、空き家の中には居住に適さない住宅も多く、一定の居住水準を具えた住宅は、むしろ不足している状態です。改定にあたっては、県民誰もに、居住の安心を約束できる計画とするよう、強く要望いたします。
7点目は、特別支援学校・高等部における就労支援についてであります。
本県における就職率は、平成18年度と比べて約10ポイント上昇し、全国平均を上回る成果を出していることは承知しておりますが、新たな工夫として、企業に学校内のスペースを提供することにより、生徒にとって身近なところで、働くことの意味や社会性を学んでもらうという方法を、我が会派で提言したところであります。
今後一層の就労支援に取り組み、障害のある生徒の自立と、社会参加を進めるよう求めます。
8点目は、高い指導力のある教員の育成についてです。
学校現場には、いじめ・不登校や暴力行為など、様々な教育課題があり、こうした課題を解決していくために、教員の資質・能力の向上は不可欠であります。特に大量退職・大量採用時代にあっては若手教員の育成が喫緊の課題であることから、総合教育センターで行う研修や、県立高校における校内研修の充実を図るべきであると考えます。
また、優秀授業・実践教員表彰制度を活用し、実施している授業の公開やDVD化をさらに進め、授業以外のキャリア教育や生活指導等においても、優れた指導方法が活用できるようにしていただきたいと思います。
最後に、知事が先ほど今後の方向性を明らかにされた東日本大震災の災害廃棄物についてであります。
復興の大前提である災害廃棄物、いわゆる震災がれきの処理が進んでいません。行き場を失った大量のがれきは、仮置き場に山積みになったまま異臭や自然発火の実害をもたらし、被災地の状況を一層深刻化させています。
公明党神奈川県議団では、去る12月5日、東京都において被災地から運び込まれた廃棄物を選別・破砕している東京臨海エコ・プラントを視察し、安全性を確認してまいりました。こうした現場視察などを踏まえ、震災対策調査特別委員会では、震災がれきの受け入れについて、神奈川県が単なる調整役ではなく、積極的にリード役を果たすよう、繰り返し強く求めてきました。
「ひとつになろう、日本」という以上、わずかなリスクであれば広く薄く負担し合っていくことは、日本国民として当然のことと考えます。
神奈川県として、早急に震災がれきを受け入れる態勢を整えるよう要望いたします。
以上、意見並びに要望を申し上げ、公明党県議団として、本定例会に付託された全ての議案に賛成いたします。ご清聴、ありがとうございました。
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