ホームレス中学生
刊:ワニブックス(2007/9) 著:田村裕(麒麟)
★★★★★
中学2年の1学期の始業式の日、家に帰ってみると、家具が外に出され、ドアには「差し押さえ」の黄色いテープがはられていました。
呆然としていると、戻ってきた父親は、3人をテープの前に並べ、
「ご覧の通り、まことに残念ではございますが、家のほうには入れなくなりました。厳しいかと思いますが、これからは各々頑張って生きてください。・・・解散!!」と宣言。
その日から私はホームレスになりました。
∞∞∞∞∞
もう5年以上前の作品です。
先日聴いた「子供電話相談室」のラジオ番組のゲストの方が、「とにかく読んでほしい」と絶賛していたので、恥ずかしながら初めて読んでみました。
とてもいい作品ですね。
なにしろ素直で愛にあふれている。
そして、誰もが「ホームレス」という境遇になるリスクを抱えているのだ。と気付かせてくれる作品でした。
永遠のゼロ
2013年日本 監督:山崎貴 キャスト:岡田准一 原作:百田尚樹
★★★★☆
祖母の葬儀の席で会ったことのない実の祖父・宮部久蔵(岡田准一)の存在を聞いた佐伯健太郎。
健太郎は、天才的な技術を持ちながら“海軍一の臆病者”と呼ばれ、生還することにこだわった祖父がなぜ特攻隊に志願したのか。調べていくが・・・
∞∞∞∞∞
原作を読んでの観賞です。
原作を崩さず、CGで迫力の戦闘を表現しつつよく撮った!と言うべき作品。
岡田准一さんも好演です。
ただ、さすがに原作を読んだ身としては「駆け足」感が否めななく、真珠湾、ガダルカナル、ポートモレスビー、それぞれの戦闘エピソードが短く、かつ、かつての戦友のエピソードも短め。って感じに映ります。
が、それでも十分当時の若者の苦悩は表現されていて、観終わった後、特攻に散る瞬間の宮部の気持ちに思いを馳せます。
子供から老年者まで広く観ていただきたい作品でした。
エヴァンゲリヲンと日本刀展(東京都上野 上野の森美術館)
会期:2013/11/23~2013/12/23 入場料:大人1000円、高大生800円、小中生600円
※同時開催:海洋堂エヴァンゲリオンフィギュアワールド 別料金 大人500円、高大生400円、小中生300円
★★★☆☆
日本全国の刀匠たちが、エヴァンゲリヲンの世界に挑む!
作品に登場する槍や刀剣、さらには作品からインスパイアされた武器などをホンモノの刀で再現する。
∞∞∞∞∞
どんな展覧会かと思ったら、本物の刀鍛冶の方が、アニメの世界観を表現する。ってものでした。
会場には通常の刀も展示。「重さ体験」のコーナーもあって実際持ってみたのですが、重いですね~
昔の人はこんなの振り回して闘っていたのでしょうか?
本展覧会には併設されて(料金は別)海洋堂のジオラマ展示会も開催されていました。
大恐竜展 ゴビ砂漠の驚異(東京都上野 国立科学博物館)
会期:2013/10/26~2014/2/23 入場料:一般・大学生1500円、小・中・高校生600円
★★★★★
モンゴル・ゴビ砂漠は、1922年から1930年にかけて、アメリカのアンドリュース調査隊が、数々の発掘をしたことで、世界有数の恐竜化石産地として世界に知れ渡ることとなりました。
本展は、アジア最大の肉食恐竜「タルボサウルス」、大型植物食恐竜「サウロロフス」の全身骨格など、ほとんどが非常に良質な実物化石で構成されます。
∞∞∞∞∞
何の気なしに入ったのですが、これが大当たり!!!
大迫力!しかもホンモノ!!保存状態ヨシ!!!です。
さすがに親子連れが多いのですが、いやいや「みんな大好き恐竜クン♪」なので、カップルも老夫婦も、もちろんシングルもさまざまです。
よく「恐竜展」っていうと「精密なレプリカ」ってのが多いんですが、本展示会はなんたってホンモノが多いのがびっくり。
しかも保存状態がよくて、ほぼ元の形に形成されているので、大迫力です!!!
目玉は「タルボサウルス」。じーっと標本を見上げていると、ぐいっと首をこちらに向けて口を開けそうな雰囲気です。
バスツアーで仙台に来ました。
石巻河南I.Cで降りて、ほどなく走ると・・・東日本震災屈指の被災地「女川町」の女川湾に出ました。
さすがに2年半以上も経っているので、がれきの山はなく、ただただ空き地が海に向かって広がる。という感じ。
そしてその先には・・・
「本当に猛威を振るったの?」と目を疑いたくなるような、それはそれは静かな女川湾が広がるのでした。
バスツアーには「語り部」と言われる、地元で震災当時ただ中にいた被災者の女性が途中から同行してくださいました。
「ここ、なんにもないでしょ?しかも、こんなもの?ってくらい狭く見えると思います。でも、震災前にはここに街があって、マリンパルっていう大きな施設もあったんですよ。私はそこで当日も働いていたんです」
と話し始めました。
今回のこのツアーに参加するにあたって、いちおう予習として当時の映像や被災後のがれきの山となった女川町の写真とかを見たのですが、確かにその映像を見る限り、それなりに建物も建った街。
今見ると、とても狭くて、なんにもない。それこそ、町の野球グラウンドが数個入るくらいのように見えます。
よく、家を建てる前の土地は、異常に狭く感じてがっかりする。って言うけど、それと同じ感覚なのかな?
語り部さんは当日の話を始めました。
「津波警報が出て、屋上に出たんです。私はてっきりすごく大きい波が来るんだと思って、びくびくしていたんですけど、実際の津波はとても静かに来ました。海が少し盛り上がったな。と思ったら、街に少しずつ、お風呂の水があふれるように海水が入り始めたのです。拍子抜けした私は、なんだ、こんなものか?これならすぐに収まるわ。って楽観的に思っていたんです」
確かに入り組んだ湾の中の女川町は、高波というより、水位が徐々に上がった、という感じだったようだ。
「そしたらね。水位が下がらないんです。どんどんどんどん上がる。そうすると、フワっと車が浮く、家が浮く。そんな車や家が音を立ててあちこちにぶつかって、いろんなものが壊れる。そしてまた流れる。水位はそれでも上がって、まるで崖を駆け上がるかのように、町立病院の1階部分まで差し掛かったんです」
・・・と言って指をさす先には、15メートル以上はある高台の上に病院がありました。
いやいやいや・・・映像で見て知識はあっても、実際に見ると信じられない。あの高台の上まで水位が上がるって・・・
「次に引き波です。これはすごい勢いでした。ぐおぉぉぉって水が湾に向かって引いていくの。なにもかもを飲み込んで」
恐ろしい・・・映像に残されているのを見たけど、実際にその真っ只中にいた人は、どう見えたんだろう。
「引き波で引いた後、それこそ湾の半分くらい水がなくなっちゃって、それは、次にすごいのが来るぞって予感をするに十分な光景でした。私も、もう死を覚悟しました」
と、結局、マリンパルの建物は耐えて、語り部さんは無事だったようですが、そんな波の行き来が一晩中続いたそうです。
「早く朝になってくれ。って思いました。夜中はあちこちで、ゴン、ガシャン、って音が聞こえるんです」
こ、怖ぁ~・・・
翌日になったら、何もなくなっていたそうです。友人も、友人の家族も、家も、鉄道も・・・
語り部さんは話し終わると泣いていました。
3年近くたっても、ぜんぜん気持ちの整理はつかないようです。
今、遺構として残っているのはいくつかの横倒しになった建物。
↑江島共済会館
↑女川サプリメント(左端の四角いもの)。
「まだ、私たちは幸せな方です。原発の地域の方は家にも帰れない。いつか、みんなが幸せに過ごせる日を私たちは待ち望んでいます」
こんな言葉で締めくくられ、私たちは仮設のマリンパル女川でお魚を買って帰るのでした・・・
<女川町ホームページより>
●最大津波高 14.8m:港湾空港技術研究所調査
●浸水区域 320ha:国土交通省被災状況調査
●被害区域 240 ha:宮城県発表
●人的被害 町人口:10,014名(H23.3.11時点)
死 者:569名(H25.7.11現在)
死亡認定者:253名(震災行方不明者で死亡届を受理された者)
行方不明者:5名
●住家被害数 総数:4,411棟
(一般的な家屋)全壊:2,924棟(66.3%)
大規模半壊:147棟(3.3%)
半壊:200棟(4.6%)
一 部 損 壊:663棟(15.0%)
●避難状況 最大25ヶ所 5,720名(H23.3.13時点)
●二次避難 延べ360名