友人のご夫婦がいつも経験しているという、モーニングコーヒーを飲むことができた。軽食のサービスもついて、嬉しい気分だった。厚切りのトーストにバターがジュワッと塗られ
ている。南に面した民芸調の窓枠から朝の日ざしが差し込む。トーストのバターに光が反射して、何とも美味しそう。朝食は、もうすんでいるのだが、モーニングサービス、を一度
味わってみたいと思った。ずっと以前に出した詩画集のなかに、2月の光の春の朝、バタートーストに朝光がきらめいた瞬間を短詩にしたものがある。ある時、共感しました、とい
う言葉を知人にかけてもらって、嬉しかったことがあった。あの頃は、落ち込んだ毎日が続いて、寒い冬が嫌いで、家のなかに閉じこもっていた。寒さのピークも過ぎようとしてい
て、春を感じさせる明るい日ざしにほんとうに救われる思いだった。今は、あの頃に比べると、随分活動的になった。何倍も仕事量が増えている。どこに行っても、何かに出会って
も、いつも絵がこころの中心を占めている。絵を忘れて、リラックスするということがなかなかできない。
モーニングサービスのコーヒー店行きも、実は仕事がらみ、そこで個展をされている方の作品を見るのが目的である。でも、お陰で、つかの間、楽しめた。ちょっとゆとり感を味わ
うこともできた。コーヒー、とても美味だったし。コーヒーを飲みながら思った。少し、休養も必要かな、と。ほんとに一週間休み無しだ。遊びのある絵を、描きたいと思っている
作者の日常は、忙しすぎる。
トーストが またたいた 光の春 『ある日のある日』 1997年 鳥影社刊
NATURE 2015-13 手透きハガキに油彩