夜の暴風でなつめの実が辺り一面に落ちている。道が赤みがかった茶色の果実の色になっている。このごろの気候はなんて激しく、突然に変化をみせるのだろう。
穏やかな日になったかと思うと、次の日は突如として空に黒雲がかかり、嵐のような風が吹いたりする。月日が経つのがあっという間で、駆け足状態に感じるのも
このメリハリのつき過ぎた最近の気候の変動が影響しているのかしら、とも思う。
なつめの実の味を今の住まいに来てから知った。それまでは、なんてまずいもの、なんの味もない粉っぽい食べ物と思っていた。小学校のころだったか...なつめ
の実をザル一杯もらったことがあった。私よりいくつか年上の男の子からだった。家に帰って、食べたら全然美味しくなかった。(後日分かった話、それは地面に
落ちていた実をザル一杯拾ってくれたらしい )それ以来、なつめには全く関心がなかった。ところが、何十年ぶりになつめを食べてみてびっくりした。美味しいの
だ。青リンゴの味に似て甘酸っぱくてなんとも言えない歯ごたえがある。粉っぽい感じなど全くしない。すっかりなつめファンになって、ゴミ出しの帰りに、なつ
めの木から一つ、二つ実をいただいている。このなつめ、ご近所の方が管理されている。どうぞ取ってくださいと言われているので、お言葉に甘えている。なつめ
は薬効高い漢方薬になるらしい。これも、今年になって知ったことだ。大棗(たいそう)という成分が、漢方の風邪薬に入っているが、これはなつめの実を乾燥させ
た生薬とのことだ。
小学生の私になつめの味は届かなかったけれど、漢方薬が大いに気になっているこの年齢になって、すっかりなつめの印象が変わった。必要な時に、物事の理解が
深まっていくのかもしれない。そういえば、落雁のような、地味な味わいも、このごろ分かるようになってきている。苦手だったものが減りつつもある....。
フォト 2014