森かずとしのワイワイ談話室

平和・人権・地球・子育て・教育・くらし・そしてまちを語る

第35回祭享、禮山郡平和友好訪問

2008-05-03 03:01:32 | 平和のために
 もう5月3日に入っています。27日から30日まで、お知らせしたように韓国独立運動の英雄ユン・ボンギル(尹奉吉)(初訪韓報告参照)生誕百年を記念する第35回祭享(さいりょう・祈念式典)に参加する韓国訪問から帰沢しました。ソウル小松便の出発が9時10分!禮山郡を4時に出てくる強行軍(前夜は別れを惜しむ李光壽民族音楽院長夫人の崔銀淑さんや月進会役員の方々と24時まで飲み語ったので、ほとんど眠れませんでした・・・)

 それはともかく、6年連続、6回目の禮山郡訪問で認識を新たにと言うか、確信を持つことが出来たことがありました。それは、尹奉吉義士のたった一人での抗日戦闘行為に、どんな意味が見いだせるのか、そして頭の片隅で考え続けてきた民族主義の象徴としての彼の存在をそこから解き放つ普遍性の獲得という問題についてでした。
 ここでは、多くを語ることは出来ませんが、5年ぶりに拝聴した月進会会長尹圭相さんの講演です。解放後ずっと月進会を牽引してきた尹会長も83才になり、尹奉吉義士生地である島中島での本部行事で、会長を引退することを明言されました。5年前に聴いた講演の中で、尹奉吉の思想に社会主義の影響を語っておられたことが鮮烈な印象として残ってきたのですが、今回、大統領選で三位と敗退した李会昌氏(李明博新大統領以上に右に位置する超保守派・民族主義と言われる)も参列する式典で、尹奉吉義士の心は韓国民族の解放にとどまらず、東洋平和、すなわち世界に平和をもたらすことにあったと力説し、義士の心を引き継ぎ、世界平和を目指す事業に参加するよう呼びかけたのです。
 29日夜、全日程を終えて私たちの泊地徳山温泉ホテルの部屋での講演の中で、よりはっきりと尹会長は以下の趣旨で語りました。「尹奉吉義士が心を痛めたのは、朝鮮の大地主制の元で重税にあえぎ、今また日本の植民地支配によって塗炭の苦しみを加えられた農民を救うことであり、その元凶となった日本の支配を断ち切ることであった。彼の夜学での学習方法や教材となった『農業読本』には、富の共有、民衆文化の回復といった社会主義思想の反映が観られる。ロシア革命の影響を受け、世界大の視点で彼は解放を構想した。彼が民族主義の英雄として封じ込められ、彼の世界平和を願う心が、韓国民衆、この生地禮山郡でもほとんど理解されて
いないことを嘆くようでした。
 彼は続けました。今世界の問題は格差である。国々が国境を持って対峙し、その国々の内部でも格差が拡大している。このあたりでいっそ国境を取り払ってみてはどうか。そうすれば軍備は必要なくなり、その金を持って世界の窮民を救済できるからだ。
 しかしながら、尊敬を集め、人徳を敬われる存在の尹会長でも、言葉を選び、相手を選んで発言してきたと述懐したことは、深く私の脳裏に刻み込まれたのでした。
 蹂躙した側の日本でもまた、彼をテロリストと呼び(因みに上海爆弾事件での白川大将は戦死とされ、逮捕された尹奉吉は軍法会議で銃殺刑に処された。日本軍自身が戦闘行為と認定したことになる。)、民族主義に立った感情的な反応を示す向きも少なくありません。ですから、あの植民地と軍事占領の時代に、民衆が世界の解放を求めて闘ったという意義付けを現代から未来に向けて見いだすことは重要なことではないでしょうか。もちろん、先駆的な憲法第9条をもつ私たちは、世界平和を獲得する方法を武力に求めないことを選択しました。今日にあっては、彼の時代の方法までを肯定するわけにはいきませんが、民族主義からインターナショナルな地平に尹奉吉の解放の理念を位置づけ直す認識作業が私たちにも求められていることを、他でもない尹奉吉義士の最大の顕彰者月進会会長からメッセージとして受け取ったことは大きな収穫でした。


 長文になってしまいました。読んで下さり感謝します。訪韓の詳細は追ってウェブサイト「森かずとしの直球勝負」に掲載報告します。

 明日、いえ今日は5月3日憲法記念の日。街頭演説、憲法集会です。

最新の画像もっと見る

コメントを投稿

ブログ作成者から承認されるまでコメントは反映されません。