上級韓国語 - ちょんげぐりの世界

韓国語の勉強もそろそろビジネスクラスへ乗り換えましょう。上級韓国語をめざして,古狸案先生の授業は随時更新中です。

注射はどこに打つ?

2010-03-03 | 動詞
昔,子供のころ,病気になると病院でお尻に注射を打たれました。
병원에서 주사 맞는 것을 좋아하는 사람은 한 명도 없겠죠?

さて,このときにお医者さんが注射を打つ場所はどこでしょうか。
궁둥이ですか엉덩이ですか。

方言では궁덩이,궁댕이,궁데이,궁딩이,また엉댕이,엉디,엉딩이などといわれています。

みなさん궁둥이と엉덩이の違いがわかりますか。
궁둥이と엉덩이は,同じに使えるのでしょうか。
日本語では両方とも「尻」ですね。

多くの人が궁둥이と엉덩이を区別しないで使っていますが,実際はきちんとした使い分けが必要です。

궁둥이というのは,床に座ると触れる肉の厚くふくらんでいる部分です。

そして엉덩이というのは,尻の全体を指す語です。人間や動物を後から見た時に,二つの足が胴体と合わさる部分,つまり腰の下からももの上部までを指す言葉です。ですから座った時に床に触れない部分も含みます。

つまり궁둥이は엉덩이の一部分と言うわけですね。

二本足で立つ人間には궁둥이がありますが,四本足の動物には궁둥이と엉덩이の区別がありません。

病院で,お医者さんや看護師さんが注射を打つときに「はいズボンを下ろして!」といいますね。
そしてズボンを少し下げた時に現われた部分の肉が엉덩이です。

韓国では注射を打つ前に,看護師さんが手の平でパチンとたたくそうです。
「あ痛っ!」と思う間もなく,すでに注射の針は엉덩이にズブっと刺さっているというわけです。

みなさんが男性なら,若いころスタイルのいい子を見て「あいついいケツしてるな」と思ったことはないですか。
分かりやすく言うと,この「ケツ」は엉덩이です。
女の子だって,男の子の「尻が格好いい」と思うことだってあるでしょう。

엉덩이の入った言い回しを見てみましょう。

못된 송아지 엉덩이에 뿔 난다ということわざがあります。
直訳では「行儀が悪い子牛は,尻に角が生える」というんですね。

「子牛だってお母さんの言うことを聞かないと,角が頭に生えないでお尻に生えてくるんだよ」という意味です。

「ちゃんと言うことを聞かないと,怖いことになるぞ!」という子供に対する「おどし」文句です。

同じような意味の言い回しに울다가 웃으면 엉덩이에 털난다(泣いてから笑うと尻に毛が生える)というのもあります。

みなさんも子供のころを思い出してください。
お母さんがお菓子買ってくれないと言って,ワアワア泣いて騒いだことはないですか。
そしてお菓子さえ買ってもらったら,すぐに泣き止んで笑い顔になったでしょう?

何でも自分の思い通りにならなくて,だだをこねる子供に対して「そんなに言うことを聞かないと,お尻に毛が生えちゃいますよ」と子供をしかるときに使う言葉です。

角が生えたり,毛が生えたりするところは엉덩이です。

みなさんは찌뿌드드하다という語を知っていますか。
風邪気味のようなけだるさを感じる時に使います。
似たような言葉に몸살 기운이 있다というのがあります。
日本語ではなかなかぴったりした訳がありませんが,よく使われる言葉です。

こんな時に一昔前の人は뜨끈한 아랫목에서 궁둥이나 지져야겠다と言ったそうです。

아랫목というのは,オンドル部屋で焚口に近いところ。つまり1等席です。
そこに座って궁둥이を温めると体調不良もすぐに治るというわけです。
オンドルの床に長く座っていると火傷をする部分は궁둥이です。

さてここでもう一つ,尻を指す궁둥이,엉덩이と似たような言葉に볼기というのがあります。

みなさん태형という刑を知っていますか。
漢字で書けばすぐにわかります。

いまでもイスラムの世界では行われていますよね。笞刑です。
매로 볼기를 치는 형벌です。

ここに出て来る볼기はいままでの궁둥이,엉덩이とどこが違うんでしょうか。

むち打ちの刑は,服の上から打つのではなくて,裸にして尻を打つのです。
ちょうどふっくらとした「尻タブ」をビシッ,ビシッと打つのです。
この左右に割れてふっくらと突き出たぷるんぷるんとしたところが볼기です。
볼기というのは「裸の状態」でなければなりません。
パンツを脱いだ状態のこの部分を볼기といいます。

尻のつく言い回し,日本語でも韓国語でも同じ言い回しをするものがいくつかあります。

「尻が重い」といいますが,韓国語でも엉덩이가 무겁다といいます。

우리 형은 엉덩이가 얼마나 무거운지, 무엇을 시켜도 안 하려고 해.
(うちの兄は何をさせても動かないほど尻が重いんだ)

しかし韓国語では忍耐心があるとか,粘りがあるというようないい意味にも使われます。

우리 누나는 정말 엉덩이가 무거워. 일단 책을 읽기 시작했다고 하면 몇 시간이고 책상 앞에 앉아 있어.
(うちの姉は本当に尻が重い。いったん本を読み始めると何時間でも机の前に座りっぱなしなんだ)

コメント (2)    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 漢字語が元になった韓国語 | トップ | 大便を見る!?  »
最新の画像もっと見る

2 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
注射について (ちょんげぐり)
2017-07-04 16:28:36
コメントを見るのが遅れてしまい,ご返事が遅くなりました。韓国では,最近は昔に比べてあまり注射は乱用されなくなりましたが,以前は熱が出たとか,風邪を引いたとかいった場合には「抗生物質の筋肉内注射(俗にマイシンと言っていた=ペニシリンのこと)」が普通でした(今でも昔ながらの治療を行っている町医者はあるようですが)。この「抗生物質の筋肉内注射」を打つのに一番都合のいい場所が,肉が厚い臀部なのです。日本では原因菌を特定できていない場合,やみくもに抗生物質の注射を打つことはしなくなりました。また,抗生物質を注射する場合は点滴が主ですので,前腕部の静脈内に注射します。なお,日韓以外の国については,知識を持ち合わせていませんので,悪しからず。
返信する
注射を(腕でなく)お尻に打つことは・・・ (ヌルボ)
2017-05-07 14:04:08
 ずいぶんご無沙汰していますが、お元気のことと存じます。
 今回は、この記事に関連してお伺いしたいことがあります。

 5月4日に神保町のチェッコリで1974年の大ヒット韓国映画「星たちの故郷」を観てきました。その冒頭から約3分、主人公のキム・ムノ(申星一)が医師の診察を受ける場面があるのですが、注射を打ってもらう時にごく自然にズボンを少し下ろしてお尻に注射してもらうのです。
※この映画はYouTubeで観られます。 →
https://www.youtube.com/watch?v=PzM8EaZseYQ

 以前、何かで「韓国では大人でも注射はお尻に打つ」と書いてあるのを読みました。
 韓国語で検索して関連記事をいくつか見てみると、腕に打つ場合もあり、「どう違うのか?」とのQ&A記事もありました。「皮下注射、筋肉注射、静脈注射があって・・・」等々の説明は当然日韓共通ですが、たとえば韓国留学中の高校生のブログ記事を読むと、「胃腸の具合が悪くなって病院に行ったらお尻に注射を打たれた」ということが書かれています。 →
https://ameblo.jp/acopia-kpop/entry-12207654331.html

 やっぱり、韓国では「注射はお尻」が標準なのでしょうか? お医者さんが「じゃあ注射を打ちましょう」というと、患者さんはズボンを下ろすのがふつうなのでしょうか?
 もしそうだとすると、日韓の違いは何によるものなのでしょうか? また、日韓以外では注射はどこに打つのがふつうなのでしょうか?

 「韓国に詳しいお医者さん」にお訊きしようと思い、すぐ思いついた方が古狸案先生です。ご教示いただければ幸いです。
返信する

コメントを投稿

動詞」カテゴリの最新記事