そぞろ神の物につきて―日本列島徒歩の旅の記録

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徒歩の旅 第73日 風間浦村 菅原民宿へ

2009年06月05日 | 2008年日本海側の旅
6月22日(日) 雨 (「畑中旅館」~青森県・風間浦村 「菅原民宿」)



7時55分、小雨にて雨具を着用して出発。背後の恐山方面は、今日は濃いガスに煙っている。
8時05分、JR大湊線踏切をわたり、「斗南藩士上陸之地」を見に行く。




1870年(明治3年)6月、戊辰戦争に敗れ廃藩処分となった旧会津藩(斗南藩として再興)の藩士と家族が、新潟から船で下北半島のこの地に上陸した。


当時、この辺りは火山灰土の風雪厳しい不毛の土地、その艱難辛苦如何ばかりか。


読んでみると、記念碑は鶴ヶ城の石垣にも使用されている慶山石で出来ており、正面からは会津若松市を望む方角に設置されている、と。また、記念碑を取り巻いて、むつ市の花である「はまなす」と会津若松市の木である「アカマツ」が植えられているなど、むつ市の心遣いが感じられる。


大湊漁港の空は雲が垂れ込めどんよりとしている。これで陸奥湾も見納めである。


昨日通ったむつ市内を行く。雨の日曜日の朝とあって、人通りもなく静かな街並みである。ここにもツツジが咲いている。


途中で、今夜と明日の宿泊地を公衆電話の電話帳を調べながら予約する。今夜は下風呂の民宿で素泊まり、明日は函館のライダーハウスというところに初めて泊まることになる。
9時、大橋交差点を左折、はまなすラインの方の国道279号線を行き、
9時40分、むつバイパスの国道279号線に合流。
やや小降りとなるものの相変わらず降り続く雨の中を黙々と北上する。恐山はガスに覆われてしまって、もはや全く見えない。
9時40分、緑の景観の中を進み、藤掛レイクサイドヒルキャンプ場入り口通過。
10時、朽ちかけた茅葺き屋根の家がある。


10時30分~45分、樹林の中を進み、関根パーキングで小休止。四阿で雨を眺めながら、昨日買っておいたコッペパンを2個食べる。
11時30分、出戸川にかかる新出戸橋をわたると、下北半島のマサカリ形の天辺部分を歩くことになるのだが、大畑バイパスは海岸沿いでないため津軽海峡は見えない。相変わらず雨にぬれた並木の緑を眺めつつ歩く。
11時45分、今夜の素泊まりに備えて、コンビニで買い物。食パン、ミニかつ重。
一時雨が上がるが、再び霧雨が降り出し、その後も降ったり止んだりする。
12時50分、大畑川にかかる青い朝比奈橋をわたり、
13時、湯坂にて薬研(やげん)温泉への道と交差し、その後はアップダウンの道を行く。
高台から見下ろすと、大畑の空も目の前に広がる津軽海峡も灰色で、波が白く打ち寄せている。


やはり津軽海峡が見えると、本州の歩き旅もあとわずか、第一幕の九州に続く、第二幕もいよいよ最終段階に来つつある感を強くする。


13時30分~40分、バス停にて食事。
その先の緑の木野部峠の駐車場で、15匹ほどのニホンザルの群れに遭遇。テレビなどで見る北限のニホンザルである。とは言え、こちらは一人きりなのでちょっと慌てる。どうしようかとしばらく立ち止まって見ていると、集団で林の中に移動していくので一安心。デジカメで撮っておけばよかったのだが、残念ながら、今日は雨天なので行動中はザックの中。休憩時のみ、ゆとりがあれば出して撮る程度なり。
14時、相変わらずの津軽海峡の景色。


大畑漁港遠望。


14時20分、峠を越え、下りに入ったところで北方の見通しが利く。海岸線が遥か彼方、雨に煙る中に遠く伸びているのが確認できる。あの先が本州最北端の大間崎か。


14時45分、この天気の中、サーフィンをやっている若者たちのグループがある。「元気だねー。」と声を掛けると、「おじさんの方こそ元気だよ。」と返事が帰ってくる。雨にぬれながら15キロのザックを背負って歩いているのだから、やはりこちらも「元気」なのだろう。
15時、風間浦(かざまうら)村に入る。本州最北の村である風間浦村は、1889年に、下風呂(しもふろ)、易国間(いこくま)、蛇浦(へびうら)の各地区の一文字を取って名づけられた、とのこと。


道路わきに函館の病院に関する案内を見かける。ここでは青森市へ行くよりも北海道の方が近いというわけか。たしかに大間まで行けば、そこから函館まではフェリーで1時間40分である。


あとは海沿いをどんどん歩き、
15時50分、下風呂の「菅原民宿」に到着。
素泊まり宿泊費の3000円から300円バックして、坂の上の共同浴場へ、とのこと。共同浴場では、やはり日焼けのあとが異様らしく、70歳の男性から話しかけられる。旅の話をし、また彼の旅の話を聞いた。彼は、今でも魚を売りに本州にも行っているとのこと。北海道のタラバガニ漁についての話など、興味深かった。タラバガニは、今ではもっぱらロシア人によって獲られ日本に持ち込まれているが、彼らは十分に生育しないうちに捕獲してしまうので、昔よりも随分と小ぶりになってしまった、とか。こちらの翌日の行程についても、他の客や番台のおばさんに大間のフェリーの時間を照会してくれるなど、いろいろと親切にしてもらう。

経費  10,617円    累計  272,507円
歩数  46,914歩    累計  3,614,336歩
距離  33km       累計  2,388km

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