クリスマスイブだっていうのに
ピザの配達 アルバイト
彼女と過ごしたかったのに
先輩め！仮病なんかして
冷たい風が吹き荒れる
心に追い打ちかける
なんだよ その電話の態度
「30分ジャストで来い！」って
何が面白くて
サンタの格好なんかして
”Merry X'Mas！！”
愛想笑い 悲しすぎるぜ！
ドアを蹴る真似したら
足首ひねって
バイクにまたがり男泣き
顔にあたる風は容赦なく
肌をチクチク 鼻はズキズキ
赤花のトナカイじゃあるまいし
これ以上みじめにしないでくれ
信号待ちで
携帯電話のベルが鳴る
次の配達 休む暇なし
悲しすぎるぜ！
薄っぺらの服の上
粉雪が積もるよ
くしゃみひとつ
ため息ひとつ
やっと仕事が終わり
家に着いたのは零時過ぎ
玄関に座り込んだその時
”Merry X'mas
”
振り返れば
可愛いサンタの彼女
クリスマスにお仕事の皆さん
風邪をひかないよう
頑張ってくださいね
風香・・
クリスマスの朝
俺はサンタになった
夢かうつつか幻か
目覚めたら
真っ赤な服に白いひげ
羽の生えたトナカイに乗り
空を飛びまわってた
なのに
生きる意味を失った俺は
驚きも あわてもせず
どうなってもいいやと
なすがまま・・
そんな俺の瞳に飛び込む
不思議な光景
世界中の
見知らぬ子供達の姿が浮かんできた
生活の為の水を汲んだ
重い水がめを頭の上に乗せ
長い道のりを歩いて帰る女の子
ゴミの山から
売れるものを拾い
食料にかえてる子供たち
幼い顔を真っ黒にして
トンネル工事を手伝ってる男の子
サンタの存在など
とうに忘れてしまっている
厳しい目をした子供たち
こんな幼い子供たちが
汗を流して働いてるっていうのに
俺は・・俺は・・
甘えてばかり・・
涙が止まらない
”Merry X'mas”
自然と口から出た言葉
君たちの未来に
たくさんの幸せが待っているように
俺 祈るから
俺 頑張るから
負けないように くじけないように
俺 生きていくから
見せかけのサンタクロース
プレゼントも何にも持ってない
ごめん・・
代わりに
俺のハート置いてくよ
安っぽいけど
まじ色のハート
受け取ってな・・
世界には
華やかなクリスマスとは無縁の
幼い子供たちがたくさんいます。
そんな子供たちにこそ
サンタさんに来てほしい
そう願っています。
風香・・
