大人が絵本を読んだっていいじゃない。
ってことで、新聞で紹介されていた「絵本屋さん大賞第1位」の
「くまとやまねこ」という絵本を書店で開いて見ることもなく、
買って来たのです。
いきなり小鳥が死んでました。
中学生の頃からずっと、インコを飼い続けている私にはわかります。
小鳥はたいてい夜の間に、ひとりひっそりと死んでいます。
狭い鳥かごの中で空を翔る夢も見ただろうに、
それとは反対に、たいてい足が空を向いたまま、
小さな目を閉じて死んでいます。
小鳥と仲良しだったくまは森の木を切って箱を作ります。
きれいな花びらを敷き詰めて、小鳥の柩を作るのです。
でもくまは、小鳥を土の中に埋めてしまうことができないまま、
その箱を持ち歩きます。
箱の中を見た森の仲間たちは困った顔をして、
「小鳥はもう死んでるんだよ」
とくまに言います。
くまは家に入ると、
そのままくらい家の中に閉じこもってしまいます。
このくまの悲しげな背中・・。
そこには愛する者の死を受け入れられない不幸な悲しみ、
そう、愚かな私がいるのです。。
昨年10月23日に、とてもとても大好きだった犬を亡くしてから、
心を閉ざしている私がいるのです。
家に帰ってから絵本を開いてみるまで、
この絵本がこんな内容だとは全く知ることもなく、
買って帰ってから愕然としました。
まるで私のために書かれた絵本のような気がして・・。
ある日、ようやく外に出たくまは
見知らぬやまねこと出会います。
バイオリンを弾きながら旅をしているやまねこが持っていた、
古びたタンバリン、
それはきっと、やまねこが愛し、
一緒に旅をしていた誰かが使っていた物でしょう。
人はいつか愛する人を見送る日が来る。
それを受け入れ、立ち直る姿、
ようやく小鳥が眠る箱を思い出の場所に埋め、
やまねこと一緒に旅に出ることを決めたくまの姿に、
生きていく者の尊い勇気を見る思いでした。