『山に親しむ機会を得て、山の恩恵に感謝する』を趣旨として2014年に制定された
山の日だが、その由来については規定も明示もされていないそうだ。初めての山の日は
三嶺に登ったような記憶があるが、それ以降祝日はなかなか休みが取りづらく、今
日は何年かぶりに休みを取って出かけてきた。
太平洋上では台風6号と7号が変な動きをしていて、四国の天気も不安定な状態が続き
天気予報も右往左往をしていた。それでも少しはマシだったのが剣山(但し降水確率は
40%)。丁度キレンゲショウマも見頃だし、剣山なら雨が降ってもスタート時点の身
支度も駐車場の屋根があるし、昼食も雨になればお弁当はやめて山頂ヒュッテでランチ
を摂ることもできるので、奥様たちにそんな内容で案内をした。
お盆前後のこの時期、剣山はキレンゲショウマ目当てで登山客だけでなく、観光客が押
しかける。何なら見ノ越の駐車場に観光バスが数台停まることもある。第一駐車場が満
車になる前にと思って、今日は少し早めに貞光で待ち合わせをした。
ここ最近の待ち合わせは、貞光の道の駅ではなく街中を南に少し抜けた国道沿いの路肩
が広くなった場所。(以前に道の駅で不法駐車で張り紙をされたので)その広場に向か
う途中で木綿麻橋の電光掲示板の道路情報に『~桑平通行止め』のオレンジ色文字が見
えた。広場で奥様たちを待つ間にネットで『道路情報提供システム』を調べて見ると、
桑平と夫婦池の先にバツ印が付いていた。到着した奥様たちにもその話をして、取りあ
えずは先に行ってみる事にする。
『本当に通行止めかな?』なんて話をしながら走って行くと、木屋平への県道260号
線との分岐の先の道路に『異常気象時・通行止め』の看板が立っていた。但しその看板
は道路のセンターより左に置いてあり、右側は車が通れるようになっていた。後ろから
次々と車がやってくるので、廃屋の横の空き地に車を停めて暫く思案をする。ここから
木屋平を回って見ノ越というルートもあるが、たしかそちら側もバツ印がついていた。
どうしようかと考えていたら、後ろから来た軽自動車から女性が降りてきて、『どうな
んでしょうか?』と聞いてきた。二人で少し話をしているうちにその女性が、看板に書
いてある『県土整備部』の電話番号に電話をして問合せをした。すると電話口の男性が、
『通行止めになっていますが、異常気象時の通行止めなので通れますよ!』と言ってく
れた。但し道路状況の確認はまだできていないので自己責任でとの事だった。
そんなやり取りをしながら一路見ノ越へ。途中の道路は風で落ちた枝葉が少し散乱して
いた程度だった。そして見ノ越に着くとなんと何事もなかったように、かなりの数の車
が既に停まっていた。後には『高松市民登山学校37期生』のバスもやって来た。
予報通り空は曇り空。路面は少し前まで雨が降っていたのかけっこう濡れている。いつ
ものように劔神社の石段を登って行くと、登りきった脇の手水鉢はアジサイの花で飾ら
れていた。本堂の奥の簡易宿泊所の気温計は20度を指している。連日の猛暑の中から
のこの気温は別天地だ。
神社では涼しく感じた身体も、登り始めると直ぐに汗がでて暑くなってきた。いつもは
9時から営業のリフトも今日は1時間早く動いているようだ。
周りのブナやミズナラの木々も雨の後で瑞々しい。するといつも聞こえる鳥や鹿の鳴く
声は聞こえてこず、今まで聞いたことのない水の音が聞こえて来た。いつも枯れている
谷筋に音をたてて水が流れている。
西島神社の上の定点観測の場所からは、雲海荘の青い屋根も今日は全く見えない。普段
ならテンションが下がるところだが、『まぁ今日はお花が目当てだからね!』と奥様た
ちに言うと『そうそう!』と。
西島駅の脇の花壇には沢山の花が咲いていたが、この辺りも晴天が続いたのか、枯れか
かって縮んだ花弁が雨が当たって少しは生き返っているように見える。
クガイソウ
シコクフウロ
シロバナのシコクフウロ
西島駅から刀掛けの松へと登って行く。周りは次第に霧雨のようになってきた。ザック
を背負った背中はそうでもないが、シャツの袖はもうびっしょり濡れている。
オトギリソウ
刀掛けの松では男性と女性二人が休憩をしていた。すると行場の方から男女がやってき
た。男性の顔を見て『どこかで・・・?』で思っていると、先に『KAZASHIさん!』と
声を掛けられた。以前に南高城山でお会いしたねこバスさんだった。キレンゲショウマ
の様子を伺うと『全体としてはそれほどではないけれど、個体としてはきれいに咲いて
いる』『群生としては下の群生地の方が良く咲いている』と色々と教えてくれた。
ねこバスさんとはお別れをして、教えてもらった通りに時計回りに回ることに。途中に
ある鶴の舞は、そそり立つ崖の上の大岩の周りをカニの横這いの様に岩を抱えて廻るの
が行だそうだ。その手前の岩の足元にはソバナがたくさん咲いていた。
行場の分岐を左に折れて下がって行くと、まだ多く蕾を残したキレンゲショウマの群生
地。蕾も花弁も他の花にはなかなかない肉厚さが何とも言えずに可愛らしい。
保護柵のネットの中では、キレンゲショウマより少し背の高いオタカラコウが所々で
頭を出して咲いている。平開はせずに下向きに花を咲かせているキレンゲショウマは、
黄色い花びらの中心部がほのかに赤く、何だが俯いて恥ずかしがっている少女の様だ。
刀掛けの松で一緒になった三人組さんは、ここから引き返す予定だったが、『この先
の道はどうなっていますか?』と聞いてきたので、『ぐるっと周回できますよ!』と
教えてあげると、予定を変更して我々の後をついて来た。
下っていた道から少し登って行くと剣山本宮劔神社の末社になる三十五社は、山護神を
総数三十五社祀ってあると言うが、岩の上の祠は意外と小さかった。その大岩の脇の
奥には注連縄を張った大岩がさらにあった。途中の道には小さな花たちがたくさん。
アキノタムラソウ
ソバナ
ツルギハナウド
三十五社からまた下って行くと、背後の大岩をご神体とした両劔神社。ここから先に進
むと1.5kmで一の森となる。奥様たちも以前に上の道を通ってここまでは来たこと
はある。そして直ぐ横には穴吹川の源流となる沢がある。
その沢も今日は滝のような勢いで水が流れている。その水の流れは一筋ではなく、幾筋
にも分かれて道の途中に流れ出ている。沢の上部には霧がかかり大きな音をたてて流れ
落ちる水は神秘的でもある。
しっかりと濡れた岩の足元に注意しながら登って行くとまた群生地となる。ここでは保
護柵のネットの奥に花を咲かせているのでアップの写真が撮りづらい。ハナウドの花に
は無数の小さな虫が群がっていた。
キツリフネ
群生地を過ぎさらに登って行くと行場のおくさり。岩の割れ目の中の鎖を登る行場。今
日はその割れ目の中の岩も鎖も濡れているので、さすがにあっちゃんも登ろうとはしな
い。(登りにくいのではなく服が汚れるから?・・・・。)
おくさりの前であっちゃんが声をあげた。『ヒャ~大きなカエルさん!』。指さす方を
見てみると大きなヒキガエルが微動だにせず石の上に座っていた。あっちゃんは初めて
見るらしく、珍しそうに何枚も写真を撮っていた。
おくさりから左手の巨岩の脇を登って行くと不動の岩屋。鉄製の梯子を下って奥に進む
と水の音が聞こえてくるが、その水源はどこなのか未だ分かっていないそうだ。
不動の岩屋の少し上が、刀掛けの松とおくさりの上部との分岐になる。先ほどから一緒
に歩いてきた三人組さんにルートが分れるのを教えてあげると、同じようにおくさりの
巻き道へついて来た。ここからは山頂近くまでほぼ直登、けっこうな急登が続いて行く。
それでも『私たち、後期高齢者なの!』と言っていた三人組さんもしっかりと登って来
ている。『まだ登り~!』とルリちゃんが言っている前方が少し明るくなってきた。樹
林帯を抜けると笹原の道になり、尾根道を歩いている人の姿が見えた。そして尾根道に
合流すると次から次と登ってくる人。その内の半分ぐらいは急遽ビニールポンチョを買
って着ている観光客の姿だった。当然足元はスニーカーだ。
剣山本宮の輪くぐりを通って参拝したあと、少し天気が回復してきたような感じがした
ので、『上のテラスででもお昼にしますか?』と言って、神社とヒュッテの間の階段を
登って山頂の平家の馬場に出ると、吹き抜ける風に濡れた身体で途端に寒くなり、『や
っぱりヒュッテで食事にしましょう』と引き返す。ヒュッテの中は食事を摂る人達で賑
わっていた。少し冷えた身体を暖めようと三人で温かいそうめんを注文をする。向かい
に座った北九州から来たという男性は、石鎚の方が天気が悪そうだったので剣山に来て
みたが、貞光からの道が通行止めになっていたので、祖谷を通ってやって来たという。
少し太めの半田そうめんと、塩分補給で出汁をしっかり飲んでヒュッテを後に山頂へ。
山頂の木道ではガスがかかってさらに南から風が吹き上げていた。体脂肪があと少しで
ひとケタになるあっちゃんが『寒い、寒い!』と言っている。当然山頂からの次郎さん
は姿を見せず。三脚を出して三人で写真を撮る間もなく、さっさと奥様たち二人で証拠
写真を撮って直ぐに踵を返す。
山頂からヒュッテの建屋の横まで来ると風が当たらなくなり少しは落ち着く。相変わら
ず下からは次々と登ってくる人の姿があった。
イブキトラノオ
トゲアザミ
西島駅までもすれ違い挨拶するけっこうな数の人。突発的に走る子供の後ろで、息を切
らして登ってくるおじいちゃんの姿もあった。西島駅ではリフトで賑やかに上がってく
る団体客の横で、リフトで荷揚げした荷物をキャタピラを付けた台車に移すヒュッテの
人がいた。その台車を指さし、『このキャタピラで登山道を登って行くんですよ!』と
あっちゃんに教えてあげると、駅横の階段状になった急坂を登るのを見てみたいと言い
だした。ヒュッテの人は荷物を移し替えながら『荷物の多いときはもちろんだけれど、
あまり急いでない時は台車で、急いでいる時は歩荷で運ぶ』と教えてくれた。
キンロバイ
キノコ?
西島神社からは前回と同じように左に折れて歩いて行くと、往路で見た谷筋の流れが下
流で一段と激しくなっていた。すると先頭を歩くルリちゃんが立ち止まり人差し指を立
てて『静かに!』とポーズをとった。そして指さす方向を見てみると可愛い鹿が一頭。
三人そろって眺めていてもじっとして動かない。ひょっとしたら他にもと思ったら、
さらに奥の方にもう一頭いるのをルリちゃんが見つけた。鹿の姿は今まで何度も見かけ
た事があるが、これでだけ長い時間じっとしていたのも初めてかもしれない。
予想していた通り祖谷川源流の沢でも勢いよく水が流れていた。行場の穴吹川源流から
流れた水は吉野川へと合流するが、香川用水の取水口となる池田ダムからは下流域とな
るが、この祖谷川源流域から流れ出た水は、吉野川そして香川用水を通って、何日後か
数カ月後には自宅の蛇口を捻ったら出てくるかもしれない。
山頂では濡れた衣服が冷えて寒かったが、速乾性のシャツはもう乾こうとしていた。身
体の熱を奪いながら乾いていくシャツと、山肌を巻いて吹いてくる風とで何だか爽やか
さを感じていた。前を歩く奥様たちは朝ドラの『らんまん』に出てくる植物の名前で盛
り上がっている。この根っこが絡み合っているようにしか見えない植物も、ドラマに出
てきた植物ではと言っている。そして来週は今日のキレンゲショウマが出てくるそうだ。
見ノ越の駐車場はまだほぼ満車の状態だった。シャツは乾いていたが、まだ濡れていた
ズボンを履き替え車に乗り込み帰路についた。
花音痴の三人もここにきて出来るだけ花の名前をブログに書き込むようにしったのと、
奥様たちは『らんまん』の影響で、少しづつ覚えるようになってきた。これから先、
山歩きの一つの楽しみとして花を探しての山歩きもいいかなと、山頂や眺望に拘らず
歩いた今日一日の感想だった。
モミジガサ
??
山の日だが、その由来については規定も明示もされていないそうだ。初めての山の日は
三嶺に登ったような記憶があるが、それ以降祝日はなかなか休みが取りづらく、今
日は何年かぶりに休みを取って出かけてきた。
太平洋上では台風6号と7号が変な動きをしていて、四国の天気も不安定な状態が続き
天気予報も右往左往をしていた。それでも少しはマシだったのが剣山(但し降水確率は
40%)。丁度キレンゲショウマも見頃だし、剣山なら雨が降ってもスタート時点の身
支度も駐車場の屋根があるし、昼食も雨になればお弁当はやめて山頂ヒュッテでランチ
を摂ることもできるので、奥様たちにそんな内容で案内をした。
お盆前後のこの時期、剣山はキレンゲショウマ目当てで登山客だけでなく、観光客が押
しかける。何なら見ノ越の駐車場に観光バスが数台停まることもある。第一駐車場が満
車になる前にと思って、今日は少し早めに貞光で待ち合わせをした。
ここ最近の待ち合わせは、貞光の道の駅ではなく街中を南に少し抜けた国道沿いの路肩
が広くなった場所。(以前に道の駅で不法駐車で張り紙をされたので)その広場に向か
う途中で木綿麻橋の電光掲示板の道路情報に『~桑平通行止め』のオレンジ色文字が見
えた。広場で奥様たちを待つ間にネットで『道路情報提供システム』を調べて見ると、
桑平と夫婦池の先にバツ印が付いていた。到着した奥様たちにもその話をして、取りあ
えずは先に行ってみる事にする。
『本当に通行止めかな?』なんて話をしながら走って行くと、木屋平への県道260号
線との分岐の先の道路に『異常気象時・通行止め』の看板が立っていた。但しその看板
は道路のセンターより左に置いてあり、右側は車が通れるようになっていた。後ろから
次々と車がやってくるので、廃屋の横の空き地に車を停めて暫く思案をする。ここから
木屋平を回って見ノ越というルートもあるが、たしかそちら側もバツ印がついていた。
どうしようかと考えていたら、後ろから来た軽自動車から女性が降りてきて、『どうな
んでしょうか?』と聞いてきた。二人で少し話をしているうちにその女性が、看板に書
いてある『県土整備部』の電話番号に電話をして問合せをした。すると電話口の男性が、
『通行止めになっていますが、異常気象時の通行止めなので通れますよ!』と言ってく
れた。但し道路状況の確認はまだできていないので自己責任でとの事だった。
そんなやり取りをしながら一路見ノ越へ。途中の道路は風で落ちた枝葉が少し散乱して
いた程度だった。そして見ノ越に着くとなんと何事もなかったように、かなりの数の車
が既に停まっていた。後には『高松市民登山学校37期生』のバスもやって来た。
予報通り空は曇り空。路面は少し前まで雨が降っていたのかけっこう濡れている。いつ
ものように劔神社の石段を登って行くと、登りきった脇の手水鉢はアジサイの花で飾ら
れていた。本堂の奥の簡易宿泊所の気温計は20度を指している。連日の猛暑の中から
のこの気温は別天地だ。
神社では涼しく感じた身体も、登り始めると直ぐに汗がでて暑くなってきた。いつもは
9時から営業のリフトも今日は1時間早く動いているようだ。
周りのブナやミズナラの木々も雨の後で瑞々しい。するといつも聞こえる鳥や鹿の鳴く
声は聞こえてこず、今まで聞いたことのない水の音が聞こえて来た。いつも枯れている
谷筋に音をたてて水が流れている。
西島神社の上の定点観測の場所からは、雲海荘の青い屋根も今日は全く見えない。普段
ならテンションが下がるところだが、『まぁ今日はお花が目当てだからね!』と奥様た
ちに言うと『そうそう!』と。
西島駅の脇の花壇には沢山の花が咲いていたが、この辺りも晴天が続いたのか、枯れか
かって縮んだ花弁が雨が当たって少しは生き返っているように見える。
クガイソウ
シコクフウロ
シロバナのシコクフウロ
西島駅から刀掛けの松へと登って行く。周りは次第に霧雨のようになってきた。ザック
を背負った背中はそうでもないが、シャツの袖はもうびっしょり濡れている。
オトギリソウ
刀掛けの松では男性と女性二人が休憩をしていた。すると行場の方から男女がやってき
た。男性の顔を見て『どこかで・・・?』で思っていると、先に『KAZASHIさん!』と
声を掛けられた。以前に南高城山でお会いしたねこバスさんだった。キレンゲショウマ
の様子を伺うと『全体としてはそれほどではないけれど、個体としてはきれいに咲いて
いる』『群生としては下の群生地の方が良く咲いている』と色々と教えてくれた。
ねこバスさんとはお別れをして、教えてもらった通りに時計回りに回ることに。途中に
ある鶴の舞は、そそり立つ崖の上の大岩の周りをカニの横這いの様に岩を抱えて廻るの
が行だそうだ。その手前の岩の足元にはソバナがたくさん咲いていた。
行場の分岐を左に折れて下がって行くと、まだ多く蕾を残したキレンゲショウマの群生
地。蕾も花弁も他の花にはなかなかない肉厚さが何とも言えずに可愛らしい。
保護柵のネットの中では、キレンゲショウマより少し背の高いオタカラコウが所々で
頭を出して咲いている。平開はせずに下向きに花を咲かせているキレンゲショウマは、
黄色い花びらの中心部がほのかに赤く、何だが俯いて恥ずかしがっている少女の様だ。
刀掛けの松で一緒になった三人組さんは、ここから引き返す予定だったが、『この先
の道はどうなっていますか?』と聞いてきたので、『ぐるっと周回できますよ!』と
教えてあげると、予定を変更して我々の後をついて来た。
下っていた道から少し登って行くと剣山本宮劔神社の末社になる三十五社は、山護神を
総数三十五社祀ってあると言うが、岩の上の祠は意外と小さかった。その大岩の脇の
奥には注連縄を張った大岩がさらにあった。途中の道には小さな花たちがたくさん。
アキノタムラソウ
ソバナ
ツルギハナウド
三十五社からまた下って行くと、背後の大岩をご神体とした両劔神社。ここから先に進
むと1.5kmで一の森となる。奥様たちも以前に上の道を通ってここまでは来たこと
はある。そして直ぐ横には穴吹川の源流となる沢がある。
その沢も今日は滝のような勢いで水が流れている。その水の流れは一筋ではなく、幾筋
にも分かれて道の途中に流れ出ている。沢の上部には霧がかかり大きな音をたてて流れ
落ちる水は神秘的でもある。
しっかりと濡れた岩の足元に注意しながら登って行くとまた群生地となる。ここでは保
護柵のネットの奥に花を咲かせているのでアップの写真が撮りづらい。ハナウドの花に
は無数の小さな虫が群がっていた。
キツリフネ
群生地を過ぎさらに登って行くと行場のおくさり。岩の割れ目の中の鎖を登る行場。今
日はその割れ目の中の岩も鎖も濡れているので、さすがにあっちゃんも登ろうとはしな
い。(登りにくいのではなく服が汚れるから?・・・・。)
おくさりの前であっちゃんが声をあげた。『ヒャ~大きなカエルさん!』。指さす方を
見てみると大きなヒキガエルが微動だにせず石の上に座っていた。あっちゃんは初めて
見るらしく、珍しそうに何枚も写真を撮っていた。
おくさりから左手の巨岩の脇を登って行くと不動の岩屋。鉄製の梯子を下って奥に進む
と水の音が聞こえてくるが、その水源はどこなのか未だ分かっていないそうだ。
不動の岩屋の少し上が、刀掛けの松とおくさりの上部との分岐になる。先ほどから一緒
に歩いてきた三人組さんにルートが分れるのを教えてあげると、同じようにおくさりの
巻き道へついて来た。ここからは山頂近くまでほぼ直登、けっこうな急登が続いて行く。
それでも『私たち、後期高齢者なの!』と言っていた三人組さんもしっかりと登って来
ている。『まだ登り~!』とルリちゃんが言っている前方が少し明るくなってきた。樹
林帯を抜けると笹原の道になり、尾根道を歩いている人の姿が見えた。そして尾根道に
合流すると次から次と登ってくる人。その内の半分ぐらいは急遽ビニールポンチョを買
って着ている観光客の姿だった。当然足元はスニーカーだ。
剣山本宮の輪くぐりを通って参拝したあと、少し天気が回復してきたような感じがした
ので、『上のテラスででもお昼にしますか?』と言って、神社とヒュッテの間の階段を
登って山頂の平家の馬場に出ると、吹き抜ける風に濡れた身体で途端に寒くなり、『や
っぱりヒュッテで食事にしましょう』と引き返す。ヒュッテの中は食事を摂る人達で賑
わっていた。少し冷えた身体を暖めようと三人で温かいそうめんを注文をする。向かい
に座った北九州から来たという男性は、石鎚の方が天気が悪そうだったので剣山に来て
みたが、貞光からの道が通行止めになっていたので、祖谷を通ってやって来たという。
少し太めの半田そうめんと、塩分補給で出汁をしっかり飲んでヒュッテを後に山頂へ。
山頂の木道ではガスがかかってさらに南から風が吹き上げていた。体脂肪があと少しで
ひとケタになるあっちゃんが『寒い、寒い!』と言っている。当然山頂からの次郎さん
は姿を見せず。三脚を出して三人で写真を撮る間もなく、さっさと奥様たち二人で証拠
写真を撮って直ぐに踵を返す。
山頂からヒュッテの建屋の横まで来ると風が当たらなくなり少しは落ち着く。相変わら
ず下からは次々と登ってくる人の姿があった。
イブキトラノオ
トゲアザミ
西島駅までもすれ違い挨拶するけっこうな数の人。突発的に走る子供の後ろで、息を切
らして登ってくるおじいちゃんの姿もあった。西島駅ではリフトで賑やかに上がってく
る団体客の横で、リフトで荷揚げした荷物をキャタピラを付けた台車に移すヒュッテの
人がいた。その台車を指さし、『このキャタピラで登山道を登って行くんですよ!』と
あっちゃんに教えてあげると、駅横の階段状になった急坂を登るのを見てみたいと言い
だした。ヒュッテの人は荷物を移し替えながら『荷物の多いときはもちろんだけれど、
あまり急いでない時は台車で、急いでいる時は歩荷で運ぶ』と教えてくれた。
キンロバイ
キノコ?
西島神社からは前回と同じように左に折れて歩いて行くと、往路で見た谷筋の流れが下
流で一段と激しくなっていた。すると先頭を歩くルリちゃんが立ち止まり人差し指を立
てて『静かに!』とポーズをとった。そして指さす方向を見てみると可愛い鹿が一頭。
三人そろって眺めていてもじっとして動かない。ひょっとしたら他にもと思ったら、
さらに奥の方にもう一頭いるのをルリちゃんが見つけた。鹿の姿は今まで何度も見かけ
た事があるが、これでだけ長い時間じっとしていたのも初めてかもしれない。
予想していた通り祖谷川源流の沢でも勢いよく水が流れていた。行場の穴吹川源流から
流れた水は吉野川へと合流するが、香川用水の取水口となる池田ダムからは下流域とな
るが、この祖谷川源流域から流れ出た水は、吉野川そして香川用水を通って、何日後か
数カ月後には自宅の蛇口を捻ったら出てくるかもしれない。
山頂では濡れた衣服が冷えて寒かったが、速乾性のシャツはもう乾こうとしていた。身
体の熱を奪いながら乾いていくシャツと、山肌を巻いて吹いてくる風とで何だか爽やか
さを感じていた。前を歩く奥様たちは朝ドラの『らんまん』に出てくる植物の名前で盛
り上がっている。この根っこが絡み合っているようにしか見えない植物も、ドラマに出
てきた植物ではと言っている。そして来週は今日のキレンゲショウマが出てくるそうだ。
見ノ越の駐車場はまだほぼ満車の状態だった。シャツは乾いていたが、まだ濡れていた
ズボンを履き替え車に乗り込み帰路についた。
花音痴の三人もここにきて出来るだけ花の名前をブログに書き込むようにしったのと、
奥様たちは『らんまん』の影響で、少しづつ覚えるようになってきた。これから先、
山歩きの一つの楽しみとして花を探しての山歩きもいいかなと、山頂や眺望に拘らず
歩いた今日一日の感想だった。
モミジガサ
??
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