【秋・紅葉風景】奈良・唐招提寺
唐招提寺は、南都六宗の一つである律宗の総本山である。
多くの苦難の末、来日した鑑真和上が、東大寺で5年を過ごした後、
新田部親王の旧宅地を下賜されて、天平宝字3年(西暦759年)に
戒律を学ぶ人たちのための道場として開かれた。
金堂は8世紀後半、鑑真和上の弟子の一人であった”如宝”の尽力により
完成したと言われている。現在では、奈良時代建立の金堂、講堂が天平の
息吹を伝える貴重な伽藍である。
紅葉の季節、多くの観光客が境内を歩いていた。
井上靖の「天平の甍」で描かれた苦難の物語が、多くの人の感動を呼んだ。
銀色に光る甍が秋の深まりを引き立てていた。
秋色に染まる木々が、優しく柔らかだ。
唐招提寺の秋景色は、ぬくもりを感じさせる柔らかさがあった。
紅葉に染まった木々の葉は、淡く静かだ。
寺を訪れたのは大分前のことだが、落ち着きのある風景は今でも
鮮明に残っている。