ガトゥ・ハロゥ

八犬伝と特撮と山田風太郎をこよなく愛する花夜のブログ。

【凍る月】シリーズ

2010年06月08日 00時21分17秒 | おすすめBL




(【凍る月】【銀月夜】【花の慟哭】【花の残像】 夜光花 著)

「獣人」に変身する種族がいる。
その「餌」になる種類の人間がいる。

「契約」を交わして、「餌」と認めた人間と同化する。
「餌」の人間の身体にある「珠」に血を注いで身体に戻せば終了。
互いの痛みや居場所などが判るようになる。

最初のお話が出てから3年。登場人物が増え、
本によって、主人公になる獣人&人間も変化。
主要ストーリーでは、主人公側。
外伝ストーリーでは、敵の獣人組織側。

つい先月出た最新刊では、一つ前のお話に出てきたキャラが主役。
また別の獣人の視点から進む主要ストーリー。

平成特撮、特に【仮面ライダー】のように「変身する者」「戦う者」
の理由がそれぞれにあって、主人公側からでは敵になるけれど
敵側にも秩序があって戦う理由がある。それを「BL小説」として
括りたくない面白さを持つ要素にして取り込んでいるのがこの作品。

ルチル文庫の【犬としもべ】(玄上八絹 著)のシリーズ
…もとい「一水博士シリーズ」のように、このシリーズも
「BLっぽい濡れ場」を取り除いても充分面白い。


そういうシーンをすっ飛ばして読んでいる為、
BL小説の読み方としてはかなり邪道の横道外れ。

シェイクスピアと八犬伝  【八犬伝綺想】

2010年06月07日 00時37分59秒 | 八犬伝いろいろ

(【八犬伝綺想】 小谷野敦 著)

勧善懲悪でしがらみ絡みまくりの江戸大衆小説【八犬伝】を、英米文学と
比較しながら読んでいくとこういう発見もありますよ、と論じている本。
【ハムレット】や【トム・ソーヤー】と比較する視点等が面白い。

【クトゥルフ】+【八犬伝】などは極端過ぎとしても。
お江戸のライトノベルというか、日本の幻想ファンタジー文学としてみれば、
海外幻想小説の【ゴーメンガースト】(マーヴィン・ピーク著)とか、
【びっくり箱】(レイ・ブラッドベリ著)のような
”隔離空間世界ファンタジー”と【八犬伝】も絡めていけそうな。

山田風太郎版 【新装版 八犬傳】

2010年06月06日 01時36分34秒 | 八犬伝いろいろ

           (【新装版 八犬傳】山田風太郎 著 )
     
虚の世界・実の世界で八犬伝フリークには有名な風太郎版【八犬伝】。
また復刊のような形で今月中旬頃に文庫が出ます。
今度も廣済堂出版。でもイラストは違います。

2CHで現在進行中の

2chぱろでぃ 【やる夫が八犬伝のあらすじをきくようです】

の元ネタの【八犬伝】。

信乃の刀・「村雨丸」も流れ流れるいわゆる流転アイテムなのだけど、
荘助の刀・「小篠・落葉」(雪篠)も毛野の元にあったり、奪われたりの流転の刀。

その「落葉」を巡って、毛野 vs 荘助の場面まで。
実の世界では鈴木牧之の【北越雪譜】が出版されるまでの紆余曲折。の辺りまで。

キャラはやる夫達でエピソードごとにパロディ世界も変化。
Zガンダムだったり、絶望先生だったり。
なのに判りやすくよくまとめてあって感心してしまう。


もうすぐ「ピュアリ Vol.11 」も発売。【HYBRID BOYSLOVE 学園八犬伝】第2話。
残りの犬士達が出てくると良いな。短気集中連載らしいから内容とか量的には
単行本1冊で完結くらいの長さっぽい。 

あと、この舞台のキャストが一部変更。体調崩して降板した子がいたらしい。


芝居の世界 実の世界 【伏 ~贋作里見八犬伝~】

2010年06月02日 22時22分22秒 | 【伏 ~贋作里見八犬伝】
道節と浜路と船虫の3人は、お芝居の「怪盗玉梓」の世界に
引き込まれる。そして、そこにこっそりと紛れ込むように
やってくる冥土。

このお芝居では「玉梓」は正義の怪盗。
想うところのある船虫は感心したり共感したり。

美貌の歌舞伎役者・犬山黒白。
おそらくは、浜路を殺そうとした「伏」の信乃。

「犬山」の苗字がここで使われてしまったので、
道節が「伏」かも? となる確立がかなり下がってしまった…。



石の夢<2> ~【紅楼夢】~

2010年06月01日 00時59分10秒 | 八犬伝いろいろ

(要約【紅楼夢】 王敏 著)

【八犬伝】を集め始めてから30年近くになりますが、
その流れで興味を持ったのが【紅楼夢】。
中国四大奇書のひとつ。

下界に興味を持ったとある「石」。
光り輝く宝玉となって、同じく浮世の下界に興味を持った
「神瑛使者」と、彼を慕うコウ珠草、そして多くの仙女達と
共に下界に下る。仙人達は人間に転生し、「石」は彼らの
運命を見据えていく。

とても長い物語であるけれど、【源氏物語】の中国版と
例えられることもあるようにとにかく様々なタイプの
女性が登場して、主人公に関わり恋に落ち、狂死、刑死
惨死、行方不明、病死、様々な運命をたどっていく。

人生のはかなさの例えとされるような。
夢と幻と泡と影。”夢幻泡影”の世界。

受験期に「中国四大奇書のひとつ」として知り、あらすじを
見たならば「宝玉をめぐる物語」とあって是非これは!
…と思ったら、翻訳本はほとんどが絶版。
(まさかの発禁対象本で書店に訳本無しと言われた)。
まだアマゾンもヤフオクも無い時代で、古本屋を巡りに
巡って【紅楼夢】(上・中・下)を購入。

喜び勇んで読んでみるも登場人物多すぎて挫折。
それでも文章からにじみ出ている紅色オーラというか
「紅楼夢中毒」と呼ばれる程の読者もいるというのが気になって。

その後、トランプと画集と中国語本を入手。
それでも、挫折。あらすじを大まかに的確に知ることが出来たのは
上記の要約本を読んでから。