物理と数学:老人のつぶやき

物理とか数学とかに関した、気ままな話題とか日常の生活で思ったことや感じたこと、自分がおもしろく思ったことを綴る。

配位空間か配置空間か

2008-09-15 11:19:55 | 物理学

力学や統計力学等で出てくるconfiguration spaceの訳語だが、大学では「配位空間」と教わった。ところが本によっては「配置空間」と訳している本もある。位置空間と訳したいところだが、そういう訳語にはなっていない。なぜか「配」という字がついて位置のうちの一語のうち「位」か「置」がついている。

この言葉の関係から位置に関係した空間だということがわかる。configuration を辞書で引いてみると意味として輪郭とか形状とかあって、分子の配置といった訳は後の方に出てくる。

configuration spaceはphase spaceと対照して出てくる語でphase spaceの方は「位相空間」という訳語があてられている。これは座標と運動量とをあわせた空間である。それに対してconfiguration spaceは座標だけの空間である。

とはいっても粒子がたくさんあれば、それぞれの粒子に3つずつ座標が付与されるから、n個の粒子に対しては3n個の座標があることになる。一方、phase spaceでは1個の粒子に対して位置座標が3個、運動量が3個の合わせて6個の変数がつき、そのような粒子がn個あれば、6n個の変数が現れる。

実は訳語としては「配位空間」でも「配置空間」でもどちらでもいいのだが、一つの本の中ではどちらかを一貫して使う方がいいだろう。いま校正刷を読んでそういうことを思っている。

ついでといってはおかしいが、「配向」という用語もあって、これは何かと思うが、要するに向きorientationの訳語である。なぜ配がついているのかわからないが、物質の電気的な分極の向き等を表す語として使われる。どうも日本語というのはやっとその対応する英語を知ってその意味がわかるという難解な言語である。因みにこれらの語は普通の辞書には載っていない。

と書いて、いま「配位」を広辞苑で引いてみると2版には何も出ていなかったが、5版では分子の配位といった意味で載っている。辞書も進化している。しかし、当然のことながら「配向」はまだ載っていない。

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4 コメント

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phase space を物理では位相空間と訳しますが、そ... (M)
2008-09-15 14:01:30
phase space を物理では位相空間と訳しますが、その一方で phase diagram は相図と訳します。いっそ位相図とでもしてくれた方が一貫性があって良いと思います。ただ、そうなると phase shift を相のずれと訳さなければなりません。これはこれで落ち着かない感じがします(個人的に)。

個人的には phase space を相空間と訳していますが、ある時(当時の)指導教官に「間違っている」と怒られた挙げ句に理由の説明を求めても無視されました。歴史的事情と言えばそれ迄かもしれませんが。

その後、江沢洋『よくわかる力学』(東京図書)の脚注で「位相空間という言葉は数学の’トポロジー’のためにとっておこう」という趣旨の一文を見つけた時、嬉しかった事を覚えています。で、江沢は前掲書の中では【相空間】で通しています。同じく江沢の『解析力学』(培風館)ではどのようにしているかは未確認のため分かりませんが、個人的には相空間で通して欲しいと思っています。

数学者の深谷賢治氏はその著書『解析力学と微分形式』(岩波)の中で、相空間という言葉を使っています。数学ではそれが標準的で、位相空間という言葉は別の事に使っているという理由です。で、configuration space は配位空間と訳しています。
そうですね。江沢先生の力学(『よくわかる力学』... (aoyama)
2008-09-16 13:22:37
そうですね。江沢先生の力学(『よくわかる力学』(東京図書)の改訂版(亀書房))を今朝ちょっと眺めたばかりですが、そのところは見ませんでした。江沢さんのその言はどこか別のところでも見たような気がします。

専門分野によって訳語が違うのは仕方がないかもしれませんが、Mさんの先生も何のことはないただそう習って来たというのが理由かもしれませんね。

相空間と物理の位相空間を訳するのはいいですね。ただ経過措置として、いまは位相空間は仕方がないかもしれないですね。

本屋さんに行く機会があったので調べてみました。... (M)
2008-09-23 19:14:05
本屋さんに行く機会があったので調べてみました。山内『一般力学』(岩波)、江沢『解析力学』(培風館)では「相空間」でした。山内は最近復刊したようです。

伏見康治の『量子統計力学』でも「相空間」でしたが、同じく伏見の『現代物理学を学ぶための古典力学』では「位相空間」でした。何時頃から「位相空間」と訳すようになったのか、興味が出てきました。

江沢の『力学』(亀書房)では、相空間の話の所の脚注に「位相空間は数学の~」の話が有りました。ページ数は忘れました。この本は近いうちに購入しようと思います。旧版の『よくわかる力学』も図書館で見ただけで、当時既に品切れでしたので。
Mさん。 (あおやま)
2008-09-24 11:25:11
Mさん。

コメント有難うございます。そういう風にみると相空間と位相空間との両方が存在すると言うわけですね。

位相という日本語の意味がよくわかりませんが、phaseを位相と訳するということからきているようですが、先回phase shiftを「相のずれ」と訳するのはちょっと違和感を感じるとおっしゃっていましたが、それは私も同様です。

でも、topologyを数学で位相と訳すとすれば、位相は数学に譲った方がいいと私も思います。数学の位相はどういう意味かよくは存じませんが、距離の概念をいれないで、位置関係だけを論じているのでしょうか。

しかし、振動のinitial phaseを初期位相と訳していますね。これからもわかるように位相という訳は意外と根深いものかもしれません。

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