物理と数学:老人のつぶやき

物理とか数学とかに関した、気ままな話題とか日常の生活で思ったことや感じたこと、自分がおもしろく思ったことを綴る。

原発の即時廃止

2013-11-18 13:18:30 | インポート

東海原発の廃炉が先送りされたと今朝の新聞が報じていた。

要するに廃炉にしたときに出る廃棄物処分場が決まらないので、廃炉を見送らざるを得ないということだった。

それだけではない。運転をはじめて30年以上経つ原発は15基あるという。それらの廃炉にしたときの処分場はもちろん予定はない。ということはもう経済の問題ではなく、どうしようもないということである。

原発のあったところに当面そのまま置いておくしかない。これが現実である。ましてや、日本全体では54基の原発があるが、それらの対する放射性廃棄物処分場は決まっていない。

全国的に処分場の候補を公募したことがあるらしいが、公募に応じたのは高知県東洋町のみだという。その東洋町も住民の反対ですぐに撤回をした。

また、稼働が期待されていた、青森県六ヶ所村の再処理工場はトラブル続きで完成をしていない。これが完成するのかどうかも怪しい。

仮に完成をしたとしてもプルトニウムを抽出した後の廃棄物をどうするか。廃棄物処分場の目途は日本全国どこにもない。

また、仮に運よく、どこかに廃棄物処分場が決まったとしてもそこでは高レベル放射性廃棄物を短くでも2万年、長ければ20万年くらい放射線のレベルをモニターしながら、保管し続けなければならない。

こんなことを人間ができるのだろうか。素朴に考えてもそんなことは不可能だろうと想像がつく。

ましてや、原発を動かし続けるとその放射性廃棄物はどんどんと貯まっていく。どうするのか。

昔、私が応用物理学という講義で原子力工学のテキストにもとづいて大学で講義をしていたころ、放射性廃棄物は高レベル放射性廃棄物の方は高温で焼き固めてガラス状の固体としてどこかの炭鉱跡かどこかにモニターしながら、何万年も保管するというものであった。

ところが、地下深くに保管していた高レベルの放射性廃棄物が地下水を汚染してそれが地表に出てくる可能性を地学者に指摘されていた。その可能性は十分ある。

高レベル放射性廃棄物以外に低レベルの放射性廃棄物がそれこそ多量に出る。それはコンクリートで覆って日本海溝の海底に沈めるというものであった。そのアイディアは実際には実現していないと思う。

ともかく、地下100m近くの場所での余裕深度処分ができるところなど少なくとも現在全国どこにもない。

これでは原発即時廃止してもやはり大きな問題であり、政権の1つ2つが吹き飛んで済む話ではない。

無責任体制もここに極まれりである。朝日新聞がここにきて反原発に踏み切ったのには大きな理由がある。日本人の生き方をどうするのか。いま私たちは問われている。


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