ねこに ねこじゃらし

ねこのそらの話を中心に、ぽつぽつゆっくり更新しています。

そらが来てから 2

2013年09月22日 | 日記
 まだブチのコをどうするか決めかねながら、夕方、3匹をケージに入れて、
約束の場所へ行くと、昨日お会いしたばかりの猫田さん(仮名)は、
探検隊の出で立ちで、長年の友人のような笑顔で待っていてくれた。

 午前中の捕獲の様子を話しながら、同じ場所へ行くものの、
やはり2匹の姿はない。

 話すことならネタは尽きない、猫好き同士。
小声で話しながらも、あたりを伺い、待つこと1時間。

 騒がしかった工事の音がピタリと止んだ午後5時。
捕まえられる確信がなぜかお互いに湧いてきて、
頷き合うと、そっとバリケードを潜り、草むらに潜む。
と、がさがさと草を分ける微かな音!


「来た!」
「やりましょう!」
アイコンタクトを取って、二手に分かれた。


 読みは大正解!
でもすばしっこさが半端じゃない。筋力もびしびし伝わってくる。
あのコたち、ろくに食べて無いはずなのに。
たった30センチの草むらがジャングルのように、逃げるコたちの姿を隠す。
でもこっちも必死だった。
やっと、1匹捕まえて、猫田さんの持つランドリーバッグに入れた。


 兄弟が4匹再会して、賑やかになった鳴き声で、あのコも来てくれればいいけど。
でも最後の1匹は、昨日もひとりで奥に逃げて行って、崖から滑り落ちたあのコだろうか。
ブチ以外は、本当に真っ黒黒で区別が出来ないけど、強敵が残ったようだ。
耳の横で蚊の羽音がうざったくなってきたし、早く捕まえたい。


 そのとき、猫田さんが崖を降り始めた。
「危ないよ」
「へいき、へいき。 こっちにいるみたいよ」
そう言われたら、こちらも挑むしかない。
崖に張り付いて、挟み込む体勢をとった。

 と、「いきましたよ!そっち」
すぐにこちらに向かってくる5センチくらいの黒い頭が見えた。
わたしの気配に気づき、コース変更したけどもう遅い。
腕を思いっきり伸ばし、草ごと掴んで、
「お願いします」と上に上がった猫田さんに差し出し、無事、そのコがネットに収まると力が抜けた。


 道に戻り、兄弟5匹、ケージに入れると
「ばんざ~い」とハイタッチ!
夕暮れのうちに山から降りることが出来た。


 


 猫田さんの家には、庭に猫専用の大きな庭付きの小屋まであり、もらわれなかったコたちも含め
25匹も一緒に暮らしていた。

 黒いコ4匹は、お言葉に甘え預かっていただくことにした。
4匹の里親探しを、わたしももちろんすることにして。


 結局、ブチはまた家に連れて帰った。
もう少し、momoとの様子をみることにしますと言ったものの、
もう結果は明らかな気がした。


 momo、ごめんね。
今まで、捨て猫を見ても、見て見ぬふりできたけれど、
今回だけは、どうしても無視できなかったんだ。
だって、会った場所が場所だったから。



 連れて帰ったコは、もううちの家族の顔をして寝込んでいる。



 さっきまで一緒にいた兄弟がいないのに、こんなにくつろいで寝てる。



 このウサギも気に入ったみたいだし。




 momoがそっと降りてきて、寝ているブチをじっと見た。

「momo、無理に仲良くしなくてもいいよ」




 momoが普通にしていられれば。

そんなの、人間の甘い考えで、勝手なお願いだと思いながら、

3人と2匹の生活が始まりました。