正々堂々blog

衆議院議員川内博史の日記。

BSE問題の本質

2006年02月16日 | Weblog
なぜBSEのリスクが問題になるのか?

それは、BSEという感染症が存在するからです。

牛から牛への感染は簡単に起こる。牛から人への感染は種の壁があるから簡単には感染しない、とされています。(異常プリオンは変異するので、簡単に感染するようになってしまうかもしれませんけど)

しかし、ひとたび感染すればヒトからヒトへの感染はあっ、という間かもしれません。死に至る病です。

だから、BSE問題を収束させるにはBSEという感染症そのものを封じ込めていかなければならないのです。

BSEリスクがゼロになるのは、BSEの牛がいなくなる時です。

BSEの原因は飼料だと言われています。レンダリングの成果物である肉骨粉、牛脂等です。

だから、日本やヨーロッパは厳しい飼料規制を実施してBSEリスクを低下させていこうとしているのです。 

昨日、川崎厚生労働大臣は

「議員も、ゼロリスクはあり得ないということはご存知でしょう」
とおっしゃいました。

しかしBSEリスクに関して言えば、飼料規制を完全にすればゼロリスク(BSEフリー=清浄国)を10数年後には達成することができるのは、科学的に明らかです。

ヒトへの感染、すなわちバリアントCJD(vCJD)リスクを考えれば、

1、特定危険部位(SRM)の除去

2、トレーサビリティー

3、スクリーニング(検査)

が追加で必要になります。

ドイツで得られた新しい知見によれば、日本だけでなくドイツでも末梢神経(お肉)からもプリオン
が発見されたという論文が発表されましたし、月齢とは関係なく感染後6ヶ月で、回腸遠位部(ホルモンの近く)
で、プリオンが蓄積されその後12ヶ月間かけて扁桃腺に出現する、と報告されています。

食品安全委員会の答申は、BSEリスクの同等性は評価困難である、と結論付けています。しかし、

1、特定危険部位の除去(100%除去できるなんて、あり得ないことは分かっていても、100%と仮定)

2、20ヶ月齢以下の牛のと畜(米国で100%月齢判別ができるなんて不可能だけど、100%できると仮定)

上記2つが100%できるなら、「リスクの差は非常に小さい」と結論付けています。

「リスクの差は非常に小さい」と言っていて「安全」とは言っていません。

ぼくは、日本の政府は、肉を売りたい米国政府に対して、科学的、論理的に闘ったのか?という
ことを問いたいのです。

食品安全委員会を隠れみのにして、輸入再開ありきで動いていたことは明らかです。

BSEの国内対策では、世界で最高の対策である

1、全頭検査(スクリーニング)

2、飼料規制

3、特定危険部位の除去

4、トレーサビリティ

この4本柱で、BSEリスク、バリアントCJD(vCJD)リスクに向き合っているぼく達の政府が、米国に対しては、3(しかもいい加減)だけで牛肉輸入再開をOKするなんて信じられないほど交渉力が無いのです。

牛由来の製品は、牛肉だけでなく、加工品、医薬品、化粧品等様々です。ヒトからヒトへの血液製剤の問題もあります。

この問題を、牛丼 牛タンの問題としてだけ捉えることは間違いです。

公衆衛生の問題として考え、米国内のBSEリスクを低下させる、すなわちリアルフィードバン(完全な飼料規制)を実施していただかなければなりません。(食品安全委員会の答申の結論への付帯事項にも指摘されています)

マスコミの報道や、国会での議論も特定危険部位の除去に偏っていますが、それだけではBSEリスクを低下させることはないどころか、米国内のBSEリスクが拡大することは食品安全委の先生方こそが一番よくわかっているはずです。

なぜなら、米国内では、特定危険部位もダウナー牛もCWD(狂鹿病)の鹿も全部レンダリングされて肉骨粉になり、回り回って牛に戻っているからです。

先生方は、あんな答申なんか出さなければよかった、と今頃後悔している筈です。

中国産、メキシコ産の牛肉を含めて、米国産ももう一度リスク評価を、データに基づいて
しっかりと評価しなければなりませんね。


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13 コメント

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Unknown (Unknown)
2006-02-16 22:50:12
感染を拡大させたのは肉骨粉でしょうけど、発生源は不明ですからから、ゼロにはなりませんよ。スクレイピーにしろBSEにしろ、弧発性CJDが元になっている可能性は否定されていません。



すみません、やめると言いながらまたくだらないことを書き込んでしまいました。もうこれで本当に去ります。



安全性を追求すること自体は良いことだと思っています。失礼いたしました。
Unknown (Unknown)
2006-02-16 22:51:32
孤発性でした。しかも家畜のであって、人ではありません。

失礼しました。
低いリスクでも管理によって膨大に増幅します (通りすがり)
2006-02-17 13:11:22
微量の病原体でも感染するのがBSEの厄介な点ですが、飼料においてその対策をしていない、抜け穴だらけなことをし続けているのが米国の管理方法です。



BSEのリスクは低いといいながら、感染牛が膨大に増えるような管理を認めていたら、そのリスクはどうなりますでしょうか?



もちろん、BSEは弧発性もあるでしょうから、飼料管理だけでは発生を止めることはできないでしょうが、飼料管理によって拡大を防ぐことはでき、それをしないのは英国の轍を無視した馬鹿なことをしているとしか私には思えません。



英国がBSEを沈静化の方向へ向かわせたのは、飼料管理を厳密にしたこと、危険と思われる膨大な数の牛を食物連鎖にまわさず、焼却処分で淘汰したことなどが理由にあげられると思います。



米国は、その危険と思われる牛や、死亡家畜まで肉骨粉にして家畜飼料にしているのですから、お話になりません。



英国で蔓延していた頃のリスクは低かったのでしょうか?クールー病の潜伏期間は50年に及ぶものもあるようですが、まだ結果は出てないということではないでしょうか。



牛からの感染が低リスクだとしても、英国では1人の患者の献血から血液製剤が作られて数千人に使われて、数千人に警告が出ているそうですね。どういう警告かというと、歯科や病院に行く時は前もって病院に連絡すること、理由は器具などに、プリオン専用の消毒が必要なためだそうです。器具などを通じてほかの人に感染させる可能性があるからだそうです。扁桃腺の手術器具などは全部使い捨てだそうです。大変な問題に発展していると思います。



松田食品安全担当相が重大なこと認めましたね (さて)
2006-02-18 12:04:33


【米国産牛肉】「食品安全委員会の評価は成立していない」 食品安全担当相答弁翻す

http://news18.2ch.net/test/read.cgi/dqnplus/1140229353/



これでは再評価をしないと輸入再開できないですね。
Unknown (某)
2006-02-19 01:33:35
僕は高校一年生ですが、

厚生労働大臣と同様、僕もゼロリスクはありえないと思います。

全く視点は違いますが、塾の講師が6年生の女児を殺害することもあり得るのです。

園児の母親が、同じ年齢の子供を、何故か殺すこともあるのです。

こういった命のバランスを見比べてみると、アメリカからの輸入牛肉が本当に危ないのか、

という素朴な疑問を持たざるをえません。



僕はマクドナルドのハンバーガーを普通に食べていますし、

同じハンバーガーをアメリカ人の高校生達も普通に食べて生活していると思います。

その場合のアメリカ人の食べているハンバーガーは、

BSEの危険性がどの程度日本より高いのでしょうか。

アメリカの高校生は、何も知らずにBSEの毒入りハンバーガーを食べさせられているのでしょうか。

アメリカには行ったことはありませんが、恐らく僕は、アメリカに行っても、

普通にマクドナルドハンバーガーを食べると思います。

その場合、そのハンバーガーを食べたら、僕は何年か先にバリアントCJDになり、

命を落とすことになるのでしょうか。感覚的に、そのようには思えないのです。



「死に至る病です」と言い切っておられますが、それではアメリカの高校生は死ぬのでしょうか。

その根拠は不明だと感じます。



「飼料規制を完全にすれば、ゼロリスクを達成することが科学的に明らかだ」と書かれていましたが、

本当に科学的に明らかなのか、僕にはよく分かりません。

一方で、分からないから評価が出来ない、評価が出来ないからそれが危険である、

というのが科学者の評価だったりして、

僕には何が明らかな「科学に基づいた危険性」か分かりません。



どうも国会で、アメリカの牛肉が危ないといったような議論をしていたようですが、

僕の生活とはあまりにもかけ離れているところで、

大人同士でゲームのような喧嘩をしているような感じさえしました。

僕の小学校の学級会のような印象を受けることもあります。







乱文失礼しました。
某君の意見に同感です (鹿児島市在住の一小市民)
2006-02-20 21:07:46
某君の意見、とても貴重だと思います。川内さんもこのような庶民の意見にもっと耳を傾けるべきだと私は思います。

重い論議はそちらの方々にまかせて、我々庶民は、庶民レベルの会話を交わし、理解を深めるべきだと思います。

知識をひけらかすのもいいですが、庶民はそんなむずかしい理屈を理解するほどの勉強をする時間も暇もありません。我々庶民は生活していかなければならないのです。その方面を専門とする方々と同等のレベルで論議する気はさらさらないのです。

この高校生の貴重な意見こそ、民主党が耳を傾けるべき意見だと思います。川内さんもそう思いませんか?あまりにもむずかしいことを言ってしまったという後悔をすることはありませんか?たとえ、むずかしいことでも、我々庶民の言語と知識レベルで話せるようでなければ、絶対に説得力はないと思います。

どこかのフリーターあがりの自民党議員のように、何も知らなさ過ぎるのを売りにしているようでも困るのですが・・・。知り過ぎて自分の知識をひけらかすのも、庶民から見て、あまり好印象は受けません。

こんな毎日のようにジャンク・フードを食べているような若者の意見も聞いて欲しいものです。

川内さん、頼みましたよ。
川内議員の質疑ご覧になりましたか? (あのー)
2006-02-23 08:19:04
国会で鶏のうんこ問題を指摘してくれるような庶民的議員はおりませんよ。



2月8日の衆議院予算委員会の質疑をぜひご覧になったらいかがでしょう?

http://www.shugiintv.go.jp/jp/video_lib2.cfm?u_day=20060208



ゼロリスクについては、飼料管理を徹底しないで肉骨粉入り鶏のうんこを牛に食わせまくっていたら、感染牛だらけになって、感染牛を食べるリスクがどんどん増します。さらに、米国で危険部位除去をする労働者は、移民も少なくなく、給料が安く(年収2万ドルだって)離職率が高いから、ちゃんと取り除けるかどうかも心配なわけです。そうやってたらどこが「ゼロリスク」の話になりますかね?すごいリスクは高くなると思うのは小学生でもわかりますよ。おサルに危険部位を5g食わせたら2頭中1頭が感染したそうです。



そんなもん、子供に食わせられますか?

それが庶民の感覚です。

川内議員には今後もさらに庶民の感覚で国会で活躍いただきたいです。よろしくお願いします。
高校生さんへ (あのー)
2006-02-23 08:22:43
アメリカのマクドナルドですが、



「今の米国のBSE対策はヤバすぎるからなんとかしてくれ」という手紙を米国の厚生労働省にあたる食品医薬品安全局(FDA)に送ってますよ。



【牛肉】米国政府による狂牛病対策は不十分─米マクドナルド、研究者などのグループ [01/04]

http://news18.2ch.net/test/read.cgi/bizplus/1136435606/l50



若い人のほうが感染しやすいんですから、もっと勉強すべきです。今の時代、自衛しないとやられますYO! 悪い大人がたくさんいるんですから。

BSEの勉強サイト (あのー)
2006-02-23 08:29:36
高校生君へ こういうBSEの勉強サイトもあるので、ぜひ見て勉強してください。



スーパーマーケット協会のえらい人がいってたけどね、アメリカでは所得のある人はオーガニックとか安全な肉食べてて、所得の少ない人が鶏のうんこ食った肉なんかを売るようなスーパーで買い物をするようなすみわけが起きているっていってたよ。

高校生でもベジタリアンが増えてるというニュースもみた。勉強して知っている人は食べてないよ。世の中、大事なことでも、スポンサーの意向によってテレビなどで報道されないことは知ってるよね。肉骨粉入りうんこ肉のことをアメリカの高校生が知ったら食べない人は増えると思うよ。



ではがんばって。



農 業 情 報 研 究 所

http://www.juno.dti.ne.jp/~tkitaba/bse/index.html

http://www.juno.dti.ne.jp/~tkitaba/



アルツハイマーとヤコブ病の誤診・集団発生など、情報リンク

http://blog.goo.ne.jp/infectionkei2/e/c094e704f8b3b1260ca616eb4c1dcb97



http://blog.goo.ne.jp/infectionkei2/

参考までに (あのー)
2006-02-23 08:35:04
米国の精肉加工労組の告発



こういうのも読んどくべきです。

こういう重要な告発がなんで報道されないかも、考えてみてください。



タイソン・フーズ社の安全な職場・安全な食品に関する事実

http://www.labornetjp.org/labornet/worldnews/namerica/usnews/20040720local556fact

ローカル556から農水省への申し入れ

http://www.labornetjp.org/labornet/worldnews/namerica/usnews/20040720local556doc