さて、ホームコンサート。
それは、7月5日の午後7時半から始まりました。ゲストは姪夫婦の知人9名。
音楽の経験者が多く、ビオラ、チェロ、コントラバス、ギターを弾く人達がいて、この人達も年に一度は自らホームコンサートを開くようです。
それに今回は驚きの特別ゲストK氏が参加してくださったのです。
K氏は姪の夫の友人で、バーゼル交響楽団で第一フルートを30年間吹いるプロ中のプロで東大卒業後すぐにチューリッヒ音楽大学に留学し、卒業後にバーゼル交響楽団のフルート奏者になったという経歴の持ち主です。バーゼル音楽大学でも教鞭をとるというエリート中のエリートで今回のゲストの唯一の日本人です。
ホームコンサートは、私が片言の英語で挨拶し、その後は姪夫婦が英語で通訳する形で進められました。
沖縄三線の曲はどれを聴いても同じ曲に聞こえるとよく言われ、延々と演奏を続けると飽きられます。それで曲間では三線にまつわる話題やら路上演奏の報告やら快晴のマッターホルンを巡ってきた話やらといろいろと入れました。さらに得意のけん玉ショーも。
プログラムは以下の通り、
沖縄の古い民謡
♪ 安里屋ゆんた Asadoya yunta
♪ てぃんさぐぬ花 Teinsagu nu hana
♪ なりやまあやぐ Nariyama ayagu
♪ 唐船どーい Tooshin dooi
けん玉 Kendama
沖縄のポピュラーソング
♪芭蕉布 Basyoufu
♪肝がなさ Chimu ganasa
♪童神 Warabi gami
♪島唄 Shima uta
私の演奏はトチリや歌詞忘れはいつもの通りですが、まずまず上手くできました。
聴衆は身を乗り出して固唾を呑んで聴いてくださいました。
プログラムが終了してもアンコールの拍手がなりやまず、再び三線をとり最後に「安波節Aha bushi」を演奏しました。
このへん、かっこいいでしょう。
ヨーロッパでは、儀礼でアンコール曲を要求するのだとわかってはいてもなかなか気持ちのいいものです。
コンサート終了後、三線をめぐって鋭い質問が飛び交いました。その一つ、
「演奏の途中で半音の半分の音がときどき聴こえたがどういうことか?」
ギター奏者のW氏が鋭い指摘。私はしどろもどろに答えました。
「沖縄の音階には四分の一音があるんです。私が未熟だから出た音じゃないですよ。」(笑)
特別ゲストのK氏がさらに助言してくださいました。
「インドネシアの音楽では三分の一の音階があって、これが人の耳に心地よいのです。
ヨーロッパでは、1オクターブを12の音階に切っていますが、それが絶対に正しいということではなく、世界にはいろいろな音階が存在しますよ。」
その夜は遅くまでパーティーが続きました。
帰りがけに特別ゲストのK氏が、
「きょうは感動しました。」
と言ってくださいました。私はうれしくなって姪に言いました。
「わしの三線も捨てたものじゃないだろう。K氏が感動したとよ。」
「おっちゃんそれは違うで。何かの勘違いやで。」
翌日、K氏から姪にお礼のメールがはいり、その勘違いが明白となりました。
『・・・おじ様の三線、歌、けん玉、そしてとても明るくおおらかに人生を送っておられるご様子に大変感動いたしました。・・・』
おわり