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「父の形見草」 堀口すみれ子

2015-02-08 | 読書

詩人堀口大學の長女、堀口すみれ子氏の父の思い出が中心のエッセィ。四半世紀以上前、詩人の没後しばらくして婦人雑誌「ミセス」に連載したものを一冊にまとめている。

なかなか読みごたえがあった。娘の目から見た晩年の詩人の生活、娘や孫とのかかわり合いが愛情込めて回想されている。

優雅で文化的な詩人の暮らし。毎回挟まれる写真もオシャレ。著者は詩人が50を過ぎて生まれたので、愛情いっぱいに可愛がられて育てられる。言葉の魔術師は虹を見てきた娘に「よかったね。虹を見るときれいになれるよ」と言葉をかけ、人にはいい子でしょう、きれいでしょうと自慢する。

若い頃外国暮らしが長かったので、こういう言い方をするのかなとも思ったが、これって大切なこと。親に褒められるのがその子の何よりの心の栄養になると私は思う。

堀口大學は「努力もしたけど恵まれていた」と親への感謝を忘れないし、歳とって生まれた子をとても大切にしている。優しい人だと思う。

成人を迎えるに当たり、両親は京都に注文して二年がかりで振袖を作る。鳳凰の柄の豪華なもの。でも目が怖くて、自分の披露宴のお色直しに一度着たきりだとか。親の愛情のこもったその写真も見たかったけど、この本には写真がない。残念だけど、それしてしまうとこの本全体に漂う上品な雰囲気が損なわれ、単なる持ち物自慢になってしまう。

そうしないのがこの本の持ち味。著者はもう70歳になられると思うが、父の思い出の詰まった葉山の家で暮らしているのだろうか。

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