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「岩盤を穿つ」 活動家湯浅誠の仕事 湯浅誠

2013-08-04 | 読書

数年前、派遣切りに遇って、年末、住むところのない人対象に「年越し村」が開かれ、話題になった。著者はその時初めて世間に名前が出てきたが、それ以前から貧しい人の支援活動を長くやっていた。

落ちこぼれた人は努力が足りない、自己責任という考え方もあり、小泉政権時代は不正規雇用者が増えた時代でもあったが、それは本人の責任でどうしようもない構造的な欠陥と著者は言う。

どんな劣悪な条件でも働く人が層として生まれれば、労働者全体の労働条件が悪くなる。人の問題ではなく、自分の問題。わかりやすい話である。

また将来、生活保護を受ける人が増えれば、社会全体としてコストを払うことになる。目先の利益を求めて悔いを将来に残す、そういう社会であってはいけないというところにも同感した。

活動家としての実践的なアドバイスもたくさん。たとえば生活保護申請、まずは窓口で追い返されるという。その時には「生活が苦しいので生活保護を受けたい」とはっきり言い、申請書を置いて帰ればいいそうな。書式などは特になく、氏名、住所(住民票がなくても可)、など書いて意思をはっきり示していれば、役所としては受け取らざるを得ず、受け取ったら審査を始めるしかないそうで。参考になった。実際に使える場面が来ないことを願うけど。

巻末には活動家になったいきさつがあって面白い。著者の強みは頭がよくて(何しろ東大博士課程単位取得中退だそうで)話が分かりやすく、既成観念にとらわれずフットワークの軽いことだろう。

この本が出たのは、岩波新書の「反貧困」が大仏次郎賞を受け、管政権で内閣府参与として、政権の中で活動した時期。

著者の講演会に行ったのは2009年11月頃だっただろうか。

http://blog.goo.ne.jp/samubuto/e/e7f82b17fd7adccaa06638c31f580e9c

あれから時代は変わったけど、いいようになったとは思えない。まだまだ出番は多そうである。

 

 

コメント (2)
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