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管理職の人事考課制度の現状と課題(11回シリーズその9)

2013年05月02日 00時00分01秒 | ブックレビュー

3-2 昇進・昇格の厳選化
 アンケート調査によると、「組織上、管理職の人数が多い」と回答した企業は65%に登り、「管理職登用の厳選化」を実施した企業が44%、今後実施したいと答えた企業が41%となった。

 従って、管理職への昇進・昇格の厳選化が進められていることは明らかである。では、どのような方法で、管理職への、あるいは管理職内での昇進・昇格の厳選化が図られているのであろうか。その答えは「卒業方式から入学方式へ」の切り替えが行われていることである。卒業方式というのは、現在の資格要件を十分満たす能力を発揮したことをもって、自動的に上位資格へと昇格させるものであり、他方、入学方式は、上位資格の期待要件に応えられるか否かを判断して、昇格させる方式をいう。卒業方式で昇格を行った場合には、例えば、「課長で優秀なので次長にしたところが、次長の能力がなかった。降格も出来ないのでそのまま定年まで次長で処遇した」という事態が起こりえるのである。従って、降格が実施しにくい企業にあっては、入学方式を採用し、上位資格の能力があって初めて昇格させることが管理職層のスリム化と組織の活性化にとって必要不可欠である。

 また、我が国企業では、降格の規定があってもよほどのことがない限り降格を実施しないのが一般的実態であるが、今後はこれを改め、企業が能力開発に努めてもなお、本人の責で当該資格に期待される能力が発揮・向上されない、あるいは能力が低下した場合には、勇断を持って降格を行っていくことが求められる。適宜に降格を行うことが可能となれば、卒業方式によって昇格させても問題はなく、むしろ「立場が人を育てる」という意味では、広く能力伸張の機会を与えることに繋がる。なお、昇格を判断する材料としては、資格在籍年数、人事考課結果、昇格試験(筆記、論文、面接)などを用いた上、幹部・上司と人事担当部の合議により決定する場合が多いとみられるが、今後は、資格在籍年数などのウエイトは極力軽減させて能力主義により、昇格遅速を拡大するとともに、昇格の参考とする人事考課については多面的評価を実施するなどして、慎重なる審査を行うことが望まれるところである。

 最後に、昇進・昇格の厳選化を進める一方で、管理職に常に夢を与え、努力心・向上心を持たせるためには、「敗者復活」の制度を整備しておくことが重要であることを付け加えておきたい。(次回へ続きます)


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