昨日は4年生の卒論発表会があった。
昨年度より学科では卒論の在り方を見直して、論文完成に重きを置かず、プレゼンテーションに力を注ぐことにして卒論発表会を始めた。
今年は全員がパソコンによるプレゼンと言うことになった。
思い返すと1期生の頃はまだまだパソコンは一般的ではなくてワープロを使っている学生が多かった。
当時はパワーポイントを使ったプレゼンなど考えもしなかった。
我々指導する側がパースエイションというソフトを使ってスライドを作っていた時代だったからだ。
それから考えるとプレゼンの在り方は飛躍的に進化した。
昨日の学生の発表もほとんどの発表が十分学会発表にも耐えられるような見事なものだった。
ソフトが良くなったのか学生のレベルがアップしたのか分からないが明らかに進歩している。
私がスライド作りを始めたのは1985年の医学部卒業後医局に入局してからである。
当時はすさまじかった。
発表が決まるとまず和文タイプでガッチャン、ガッチャンとスライド原稿を打つ。
それを自前のニコン一眼レフで撮影する。
撮影したフイルムを暗室にこもって自分で現像する。
現像できたフイルムを天井に吊して乾かす。
乾いたら6枚ずつ位に裁断して、それを特殊なフィルムに重ねて紫外線を照射する。
その後、その特殊なフィルムをアンモニアのケースに入れておくと下地がきれいなブルーに変色して文字が白く抜けたフィルムができる。
これを一枚一枚ハサミで切り離してスライドホルダーにマウントする。
これをローラーにかけてスライドのできあがりである。
これとは別にカラースライドは色紙の台紙に焼いた写真を貼り付けて文字を書き、それをリバーサルフィルムで撮影して現像に出していた。
私は整形外科に所属していたので、教授はお金をかけてレントゲンフィルム自体をコピーしてそれを切り貼りして文字を書き込みシャウカステンにかけて撮影するという豪華なスライド作りもされていた。
自分の発表スライドを作ることは希であったが、教授の方針で何でも自分でできなければ一人前ではないということで、先輩の指導を受けながらスライド作りを極める毎日だった。
私の人生でフィルムの現像を行ったのは後にも先にもあの頃だけである。
今からは考えられないような手間と予算をかけていたのである。
その後、簡単にきれいなスライドが作れるMacのシステムが登場して、我々は驚喜した。
それも今となっては昔話である。
いずれにしても一旦発表用のスライドを作って予行を行い、教授から指導を受けて作り直しとなると徹夜はあたりまえだった。
それに比べると今の学生は楽ちんだ。
あっという間にスライドなど修正できる。
私も最近はスライド100枚くらいの講演は何と言うこともない。
これまでに作ってきたスライドを流用してアレンジすればあっという間にできてしまう。
全く世の中はどこまで進化するのだろう。
話が飛んでしまったがとにかく4年生はご苦労様。
後は早く卒論を提出して国試の勉強を頑張って下さい。