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成田 正の楽屋入り口 by STHILA COMMUNICATIONS

配信とアナログだけの近未来

2010-01-20 22:33:41 | ●Weblog
 「LINN PRODUCTSは、DS製品への更なる注力のため、2009年末をもちましてCDプレーヤーの生産を完了いたします。1992年の処女作KARIK/NUMERIKより、数々の名機を発表して参りましたが、DS (Digital Streamプレーヤー)発売時に思い描いた音楽環境にまったく相違なく世界が推移していることを実感し、このタイミングでの決断となりました。」(2009年11月のプレスリリースから)。 そのくせLINNは昨年、アナログ・プレーヤーの新シリーズMAJIK LP12を新たに売り出した。「最後に残るのは、配信とアナログ・レコードだけになるのかも知れない」。しっかりした経験則からそう言う坂本龍一でさえ「かも」を付けるのに、LINNのこの戦略は「近々そうなる」と断言している。 仮にもし主流になっても今あるCDを捨てたりはしないが、買う増量はガタ落ちするだろう。マスター・クォリティで落とせる配信の方が確実に音がいいわけだから。ではその一方がなぜアナログかと言うと、配信でパッケージ・メディアが少なくなってしまうことへの最大限の反発と、好古趣味抜きのアナログ再認識の諦念とが錯綜的に合体することで、塩ビ盤への関心が揺り戻されていくように思う。 まあ、LINN派じゃないのがこれ幸いながら、アナログと付き合う時間が格段に増えたのは、こんな近未来像が見えてきたことと無縁ではない。第一、PCやデジカメと同じように日進月歩のリッピングやストリーム機器は、待てば待つほどいいものが出てくるだろう。それに比べアナログ・プレーヤーは、今なおヴィンテージものが、世話を怠らなければ元気でいてくれる。パラダイム・チェンジについて行くのはなかなか大変だが、慌てずに行くしかないってもうかなり後れを取っているのは承知の上です。写真はリンゴに釣られてやってきた、なんだろうこの鳥。