川本ちょっとメモ

★所感は、「手ざわり生活実感的」に目線を低く心がけています。
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SMAPと天皇の共通性 / 「 君の名は。」と大衆の集合的無意識

2016-12-20 23:08:50 | Weblog


「発見」との出会い

文字を読んでいて、心からの喜びとしあわせを味わうときがあります。それは、自分の感性では及びつかないものの見方に出会ったときです。「発見」との出会いです。

自分で見るところ、私の人間性や感性は柔軟ではなく、どちらかといえば、「頭が固い」と言われてきました。感性の幅が狭く、固い。その分、逆に、本、新聞、ネットなどから文字情報を読んでいて、感嘆したり感動したりする「発見」がしばしばあります。今夜もそういうことがありました。


SMAPと天皇 アイドルの定義は日本国憲法に書いてある

きょうの毎日新聞夕刊コラムで、筆者・中村明夫氏はSMAPの年内解散に触れています。20年以上もトップにあった国民的アイドルグループがファンらの悲鳴に応えることなく、記者会見もなく解散公演もなしに終わることを、嘆いています。

そして今年の大きなできごとの中から、天皇が退位を望んでいることととSMAP解散との連想から、天皇とアイドルの共通性について下記のように観察しています。この点が、私にとって目をみはる「発見」でした。

<毎日新聞12/20コラム「日本への発言」から>

 「かつて私はアイドルの定義を訊かれ、日本国憲法に書いてあると答えた。
『第一章第一条 天皇は、日本国の象徴であり日本国民統合の象徴であって、この地位は、主権の存する日本国民の総意に基く。』

この天皇をアイドルと、国民をファンと読み替える。つまり主権はファンの側にあるのだ(そこが明治憲法=スターの時代と違う)。

天皇もアイドルも国民(ファン)の総意(想い)を受け止める役割である。いわばハードな感情労働だ。そもそも人間が長く“象徴”を生きることがいかに困難か? SMAPと今上天皇の件は、さまざまに考えさせられた。」



映画「君の名は。」大ヒットとお客さんの関係

同じ夕刊コラム「ニッポンへの発言」(文・中村明夫)で、アニメ映画「君の名は。」が興行収入200億円を突破する大ヒットになったと書いています。

これほどの大ヒットになるとは、この映画の川村元気プロデューサーにとっても想像外のことでした。彼はコラム筆者の中村氏にこう言っています。

<毎日新聞12/20コラム「日本への発言」から>

 「観客はほんとうに恐ろしい。個々では間違ったことを言っているように見えて、1万人レベルになると急に全体としてある正解を描く。自分の仕事は『大衆の集合的無意識』にアクセスすることだ」

これはエンターテインメントの話ですが、「1万人レベルになると急に全体としてある正解を描く」という言葉は、大衆への信頼を表しているのでしょう。

大衆への信頼。私は満19歳のときには、大衆こそ正しい、という考えを持つようになっていました。エンタメと無縁の経路から、大衆こそ正しい、という大衆を信頼する考えを持つようになっていました。それは今もまったく変わりありません。折々に節約をしながら日々暮らしているふつうの人々――私もそういう大衆の一人です。

コラム筆者の中村明夫氏は、「君の名は。」のことについて、次のようにしめくくっています。

<毎日新聞12/20コラム「日本への発言」から>

 「エンターテインメントは作品のみで自立しない。受け手(観客)との相互関係で成立する。同じ作品が、時代が違えばヒットしたりしなかったりする。『君の名は。』が5年前に公開されたらこれほど当たったか? この異例の大ヒットにこそ現在の大衆の(無)意識の変化を読み取りたい。」





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