あまでうす日記

あなたのために毎日お届けする映画、本、音楽、短歌、俳句、狂歌、美術、ふぁっちょん、詩とエッセイの花束です。

若竹千佐子著「おらおらでひとりいぐも」を読んで

2018-03-20 10:13:37 | Weblog


照る日曇る日 第1045回


世上では本作が芥川賞を受賞したというので、幻冬舎ならぬ「玄冬文学」の誕生だとかいうてはやし立てる莫迦な奴がいるようだが、騙されたと思いつつも勢い込んで読んでみると、ただ最愛の夫を天に奪われた婦人の悲嘆を、紙背にたぷり塗り込めた小説、というより上手に書けた自分史、ありいは私小説風のエッセイみたいな文章だったので、なんでこんな作品に栄えある金時計が授与されたのかといたく怪しんだ次第。

思うに、内容よりは、著者の郷里の岩手言葉を(井上ひさちに倣って)取り入れた語り口の巧みさと、スタッカートでずばり断ち切った鮮やかなエンディング?!が評価されたのだろうが、全体的には同時受賞した石井游佳の「百年泥」に一籌を輸す出来栄えだと思った。

誰が選考委員をしているのか知らないが、最近の芥川賞は、ハリウッドのアカデミー賞同様、「これがそれかよ!」と驚くような愚策凡作を果敢に選んで、わたしらを唖然茫然とさせてくれる。

読者と同様、プロと称される選考委員も目明き千人、めくら千人ということなのだろう。


    アッキーが足を運べば役人が忖度せぬと誰が思うか 蝶人

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